映画レビュー1172 『ラウンダーズ』

以前も書いた気がしますが、僕は一時期テキサスホールデム(ポーカーのルールの一つ)にハマっていたことがあり、その頃知ったポーカー映画としていつか観たいと思っていました。

この度JAIHOに来てくれたので、これ幸いとばかりに観ましたよっと。

ラウンダーズ

Rounders
監督

ジョン・ダール

脚本
出演
音楽

クリストファー・ヤング

主題歌

『Baby, I’m A Big Star Now』
カウンティング・クロウズ

公開

1998年9月11日 アメリカ

上映時間

121分

製作国

アメリカ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ラウンダーズ

ポーカー以外はド定番。

7.5
裏ポーカーから足を洗った男、しかし案の定すんなり引退とは行かず…
  • 裏ポーカーで全財産を賭けた勝負に負け、真面目に生きると決めた男だが…
  • 親友の出所により事態は急変。再び勝負の世界に引き寄せられていく
  • まさにポーカーがメインのポーカー映画
  • ストーリーとしては至って平凡

あらすじ

ポーカー好きとしては“普通に”面白かったんですが、ポーカーを知らない人が観てどうなのかは結構微妙なところのような気がします。本当に普通のアメリカ映画だな、って感じで大体予想通りの展開を見せる内容。ある意味では安心感があり、ある意味では例によってもういいかなと言う気も。

主人公のマイク(マット・デイモン)はロー・スクールに通う学生ですが、同時にニューヨークの裏カジノ界隈ではそこそこ名の知れたポーカーの強者です。

彼はある日、コツコツと貯めてきた全財産3万ドルを元手にポーカールームの経営者“KGB”(ジョン・マルコヴィッチ)に勝負を挑み、負けたことで全財産を失い、彼女(グレッチェン・モル)とのアレコレもあってポーカーから引退し、真面目に法律の勉強に励むことを誓います。

しかしそれからしばらくして、服役していた親友のワーム(エドワード・ノートン)が出所してきたことで状況が一変。

彼もマイクと同じくポーカーでお金を稼ぐ人間でしたが、その力の源泉は“イカサマ”。マイクが「ここではイカサマは辞めておけ」と忠告するも無視して窮地に陥ったり、マイクに黙って彼の名義で借金したりととにかくクズ野郎のため、当然ながらマイクにもその被害は及んできます。

「絶対に二度とポーカーはしない」と誓ったマイクですが、こうしてワームのせいでまた勝負の舞台に引き寄せられていくことになりますが…あとはご覧ください。

ポーカーが裏の主役

タイトルの「ラウンダー(ズ)」とは、「カードゲームで生計を立てている人」のことだそうです。まんまですね。

まあ日本で言えば“打ち子”みたいな感じでしょうか。って今「打ち子」って通じるのかもわかりませんが、要はパチンコ・パチスロで生活している人ですね。昔は僕のバイト仲間ですらその手の経験者がいたんですが、今の時代はいろいろ厳しいみたいだし今も存在するのかは知りません。

この映画の主人公、マイクはその「ラウンダー」としてコツコツ3万ドルを貯めていたものの一晩にして全額スッてしまい、それを契機に引退すると決めるものの…と言う例のパターン。

引退の動機もベタ中のベタ(劇中でも言われる)ですが、そこからの展開もまたベタであり、最終的にもベタなので物語自体はベッタベタです。ホント。

ただそこに人間ではない主人公としてポーカーが存在しているのがこの映画の珍しいところであり、今も…なのかはわかりませんが、あっちのギャンブル事情が垣間見えるところに面白さがあると言えるでしょう。

この映画…と言うか欧米で言う「ポーカー」が指すゲームは基本的に「テキサスホールデム」と言うルールで、これは簡単に言えば手札が2枚+場の共通札5枚でそれぞれ役を作って勝負するポーカーになります。

共通札は一気に5枚ではなく、3→1→1と開いていってその間にベット(賭け)の駆け引きが挟まるため、見えている情報以上に心理戦が勝負の鍵を握るゲームです。ちなみに「カジノ・ロワイヤル」でダニエル・クレイグマッツ・ミケルセンがやっているのもホールデムです。

(日本で言うところの)通常のポーカーと違い、最後まで行った場合に5/7は誰にも見えている状態なので、自ずと自分の手と相手の手が比較しやすく、相手が何を持っているのか想像しやすい=より駆け引きが生まれやすい…つまり“ギャンブル向き”のルールと言えるでしょう。面白いよ!

まあポーカーのルールはこの辺にしてですね、あとは映画の内容について…なんですが、これはもう本当にくどいようですが大体予想通りに展開していくので特に語ることもなく、ポーカー(とそれによる駆け引き)自体に興味が無ければ特に通る必要もないありふれた映画だと思いました。ぶっちゃけ。

ただ役者陣は今もメジャーな豪華キャストではあるし、唯一意外性と言うか…主人公の親友・ワームが「なんでこいつとずっと親友でいられるの!?」と思うぐらい清々しいまでのクズ野郎なので、そこが面白いと言えば面白いかなと。

あとはもう特に書くことも無いです。マジで。

至って普通の面白さ

そんなわけでポーカー好きなら、というところでしょうか。

マイクと同年代であれば…と言う気もしましたが「ラウンダー」と言う身分自体特殊すぎるし、かと言って勝負事の映画としてはもう一つ盛り上がりに欠けるしで、もう本当にポーカー好き対象の映画でしか無い気がするんですが、何を持ってJAIHOがこの映画をチョイスしたのかはよくわかりません。

いや面白いんですけどね。普通に。面白いんですが、ただわざわざJAIHOがピックアップするほどの映画なのかなと疑問に思う部分はありました。

正直今この手の“勝負モノ”を観たいのであれば、ネトフリの「クイーンズ・ギャンビット」の方が面白いかな〜と思います。

駆け引きが重要なゲームが描かれている割に勝負自体は結構あっさり目なのがね…もうちょっと勝負中心の話にしてくれた方が良かったような気がしますが、ただそうするとよりマニアックになっちゃう面もあるんでしょうね。難しいですね。

このシーンがイイ!

この映画で一番良かったのはマーティン・ランドーの存在感だと思うので、彼の元にマイクが行って頼み事をするシーンが良かったですね。割と終盤近くです。

ココが○

なんと言ってもポーカー。久しぶりにやりたくなりました。

ここまで多額のとは言いませんが、ごく少額で遊べるポーカールームがあったら面白いのになぁと思うんですけどね。まあ公営以外のギャンブルは(建前上)全般的に禁止している国だから難しいのも承知してます。

ただノーレートだとやっぱりどうしても真剣さと面白みに欠けてしまうのも事実なので、「健全にポーカーを楽しみたい」欲求を満たすことが難しい現状はなかなか悲しいものがあります。すごく一般的なゲームになれば協賛企業が賞品を出して、とかできそうだけど…さすがにホールデムは当分難しいでしょうね。爆発的に流行りそうな予感もしないし。

ココが×

もう本当にベタな話なので、もうちょっと意外性が欲しいところ。

あとは最後の勝負ももうちょっと時間をかけてもよかった気がします。結構あっさり。

MVA

相変わらずマット・デイモンはしょっちゅう見かけるんですが、それも納得の安定した演技はさすがでした。

クズっぷりがこれまたさすがだったエドワード・ノートンもいいんですが、今回はこの人。

マーティン・ランドー(エイブ・ペトロフスキー役)

ロー・スクールの教授でマイクの恩師。

この人の温かみのある存在感、素晴らしいですね。さすがマーティン・ランドー。良い配役でした。

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