映画レビュー0831 『ランナーランナー』

今回もですよ。(もはや言わない)

少し前にポーカーにハマっていた時期があり、「ポーカーが出てくる映画」として名前が上がっていたのでいつか観ようと思っていました。が、結局ポーカーはほとんど関係ない映画だった、っていう。

ランナーランナー

Runner Runner
監督
脚本
デヴィッド・レヴィーン
音楽
公開
2013年10月4日 アメリカ
上映時間
91分
製作国
アメリカ
視聴環境
Netflix(PS3・TV)

ランナーランナー

学費をオンラインポーカーで稼ごうと全財産を突っ込むも無残に負けてしまったリッチー。データを解析した結果、不正の証拠を掴んだ彼は「オンラインカジノ王」として名を馳せる運営会社トップのアイヴァン・ブロックに直談判、彼の度胸を買ったブロックは彼を雇い入れ、リッチーはブロックの右腕として頭角を現していく。

テンポ良く楽しめるが割とザル。

6.5
胡散臭いオンラインカジノ王と彼に取り入った部下の頭脳戦
  • よくある「ボスとFBIの引っ張り合い」の間で悩む男の話
  • テンポもよく、いかにもハリウッド的なまとまりは観やすくて○
  • 振り返ると気になる点がポツポツ出てくる程度の完成度
  • ポーカーは最初にちょろっと出てくるだけ

オンラインポーカー及びオンラインカジノは、一応建前上は「日本では違法」になってはいますが、アダルト系のよくある言い訳と同様「運営元が海外」だと(多分)グレーゾーンなようで、実はこの映画で描かれるオンラインカジノそのものは「日本人には縁がないし」とも言い切れない、身近なテーマだったりもします。そんなオンラインカジノ運営会社が舞台のお話です。

主人公のリッチーは、元々ウォール街で働いていて7桁の賞与(ということは単純計算で日本円にして1億円は下らない)をもらう寸前であのリーマンショックに直面し失業、やむなく再就職のために名門のプリンストン大学で修士号を取ろうと勉学に励んでいた…んですが、リーマンショックのせいで資産もあまりなく、おまけに元々稼ぎがあったせいで奨学金も出ないという立場のために卒業までの学費が払えない状態。

仕方なくオンラインカジノのアフィリエイトで稼ごうと学校の友達やら教授やらにカジノを斡旋して小遣い稼ぎをしていたんですが、そのせいで破産する人たちが現れ校長先生から「お前のせいだ」と咎められてしまい、やむなくアフィリエイトは手仕舞い。

しかし卒業するには稼がないと…ということで「じゃあ俺もカジノで稼いでやろうやないか」と鼻息荒く全財産を突っ込んでポーカー開始、最初は順調に増やしていたものの…まあおなじみのスッカラカン的展開によって追い込まれてしまいます。

しかし負け方に納得がいかないリッチーは知り合いに頼んでデータを解析した結果、どうやら運営側で何らかの不正が行われていたらしい…ということを突き止め、運営トップで「伝説のオンラインカジノ王」、アイヴァン・ブロックに直談判へ。

ブロックは「ネットに不正の証拠をアップされてたら危なかったけど直接言ってくれたお前はイイヤツだ」と彼を認めると同時に自らのカジノ運営に誘います。

かくしてブロックの部下として働き始めたリッチーは、お金も順調に稼いでウハウハな生活を送り始めたところ…突如としてFBIに拉致され、「ブロックの不正の証拠を出せ」と脅されることで次第に自らのポジションについて考え始める…というお話です。

そんなわけでよくあるボスとFBIの間で板挟みになった男が追い込まれて一発逆転を狙う、的なお話。イメージとしては「ラスベガスをぶっつぶせ」にかなり近いものがありました。思いつきませんが他にも似たような映画は結構あると思います。

その辺の映画同様、テンポも見せ方も悪くないので気楽に観られるしそれなりの面白さもあるしで全体的には悪くない映画だと思います。話の二転三転ぶりも良かった。

ただいろんな部分が結構ザルで、「アレなんだったの?」とか「それはちょっとおかしくない?」みたいな部分がボコボコ出てきます。その辺が許容できるか否かで評価が変わる映画かなーと。

例えばベンアフ演じる「オンラインカジノ王」のアイヴァン・ブロックさん。初登場のシーンで「隠遁生活は嫌だ」みたいな素振りを見せるんですが、劇中は別に隠れてる様子もなくパーティやらバスケやら遊びまくっててなんなの、みたいな。

もちろん彼は母国であるアメリカに帰りたい(アメリカではいろいろ法を犯しているらしく、今はコスタリカに拠点を構えている)って話なんだとは思うんですが、にしても部下がFBIに拉致されたりする割にはまったく危険な雰囲気もなく、のうのうと遊び呆けてる姿はやや違和感があり。

手を出せないのはわかるんですが、にしても危機感が感じられないので煽り的にも物足りないし、なんと言うかざっくり言うと小物感がすごい。全然大物っぽくない。おまけにあの凡庸な人間をやらせたらピカイチ(褒めてます)のベンアフさんだし。役柄でもアル中になってそうなぐらいそのままベンアフです感が強い。

その他FBIの動き方とかコスタリカのマフィア優しいね問題とかちょっと引っかかる部分がちらほらあって、勢い任せな感は否めません。ただ、世間で言うほどつまらない映画でもないとは思います。(もちろん個人差はあると思います)

最初に書いた通りこの手の話(上司と部下、そこに捜査機関+恋愛絡みの人間模様)はもうハリウッドにおける定番中の定番的なものでもあるので、「どっかで観たような構図がどっかで観たようなテンポでどっかで観たようなオチに終わる」既視感もすごいんですが、ただその分見せ方もこなれていて最後まで普通に観ていられるし、割と安定した「食べ慣れた味」的な良さはあったんじゃないかなと思うんですよ。

なのでもう題材に興味を持てるか否かで観るかどうかの判断をしちゃっていいような気がします。この映画の舞台はオンラインカジノなので、そういう世界に興味があるならちょっと面白く観られるんじゃないかな、と。

わかりきったことではあるんですが、「オンラインなのでいくらでも操作ができる」という、そういう世界で今カジノが盛り上がっているのはなかなか興味深いことだと思うんですよね。

誰もその公平性を担保できない世界で、それでもそこに全財産を投じるような人たちがいっぱいいるわけです。

少し扱いは変わりますが折しも今日本ではカジノ解禁の話もあるし、そういう現実世界との接点を考えつつ観ているとなかなかバカに出来ないお話だと思うんですよ。陰謀論的な側面もあるにせよ。

まあ、あくまで期待しすぎずに観ると「なんだまあまあじゃん」みたいにそれなりに観られる映画じゃないかなと。暇つぶしにはもってこいでしょう。

ちなみにタイトルの「ランナーランナー」とは、テキサスホールデムというルールのポーカーにおいて「最後の2枚で完成した役」のことを言います。ホールデムは各プレイヤーに2枚ずつカードが配られ、その2枚+他のプレイヤーとの共有カード5枚で役を作るポーカーなんですが、その共有カード最後の2枚で役を作る、まあかなり運が良いと言っていい形です。

劇中では「ランナーランナーでフラッシュを作る確率(4%)と同じぐらいしかウォール街の一流企業では働けない」みたいに使われていましたが、要はそれぐらいラッキーなのが「ランナーランナー」。別の言い方をすれば最後の2枚で勝ちに行く、かなり「綱渡り」な戦い方と言えるので、その「綱渡り感」を映画の内容に賭けたタイトルなのかもしれないですね。

このシーンがイイ!

まあ一応はラストシーンになるのかな。セリフが良い。

ココが○

とても観やすいテンポの良さと癖の無さなので、ひどく退屈することもなく割と入りやすい良さはあるかなと思います。

ココが×

やっぱりいろいろザルなところと、結局主人公の目線でしか語られない映画な点。もう少し他の人物目線での積み上げを観たかった気はします。この手の映画にしては素直すぎてミスリードが足りない気もするし。

MVA

ヒロインがジェマ・アータートンなんですが…無理に南米仕様にしていて浅黒く、これがちょっと似合ってない。なんというかその辺のエキストラギャルっぽくてあんまり良くないんですよ。

ここはやっぱり「アンコール!!」のときのような色白ミニスカで押して欲しかった。(単なる好み)

ベンアフさんは悪くなかったんですが、やっぱりなんか小物感が拭えないんですよね。「王」と言うには凡庸すぎる。やっぱりもっとへっぽこな役じゃないと。(褒めてます)

まあベンアフさんはポーカー好きで有名なので、ポーカーファンに向けてのマーケティング的な意味合いもあったのかもしれません。

ということで消去法的にこちらの方。

ジャスティン・ティンバーレイク(リッチー・ファースト役)

主人公。

彼もすぐ懐柔されるしものすごく鋭い感じもないしではっきり言って主人公としては物足りなさが強いんですが、ただその分リアルなのかもしれません。まだ20代設定なんだろうし。

優秀だけど優秀すぎないリアルな若者的な意味ではやっぱり適役なのかなと。なんと言っても本業は別ですからね。彼。その割にはいつも上手いと思います。

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