映画レビュー0757 『麗しのサブリナ』

この前「パディントン2」を観に行ったときに、ついでに三越で開催していたオードリー・ヘプバーンの写真展を見てきまして、これがまたものすごい賑わいでとても良かったんですが、当然ながらそのときに「こりゃやっぱりまたオードリーの映画観ないとな」と改めて思ったということで今回ようやくこちらを鑑賞するに至りました。

ちなみに調べたところ、なぜか通常上映は日本が最初だったようです。今は日本だけめちゃくちゃ遅かったりするのにね…。なんとかならないんですかね、あれ…。

麗しのサブリナ

Sabrina
監督
脚本
ビリー・ワイルダー
サミュエル・A・テイラー
原作
サミュエル・A・テイラー
出演
ジョン・ウィリアムズ
ウォルター・ハンデン
音楽
フレデリック・ホランダー
公開
1954年9月17日 日本
上映時間
113分
製作国
アメリカ

麗しのサブリナ

スーパーセレブ・ララビー家お抱え運転手の一人娘、サブリナ。彼女はララビー家次男でプレイボーイのデヴィッドに想いを寄せていたが、彼はサブリナにまったく興味がなく、家柄の良い女性と浮名を流す日々。やがてサブリナは想いを断ち切れないまま、料理の勉強のためにパリへ行くことに…。

オードリーの魅力も去ることながら、さすがのワイルダー映画らしいオシャレで軽快なラブコメっぷりが◎。

8.5

タイトルはもちろん知っていたんですが、監督がビリー・ワイルダーだと知ったのはつい最近のことで、「オードリー×ワイルダーだと!?」とハヨ観なハヨ観なと思いつつサロンシップ的にノビノビになりながらようやくオードリー展の余波冷めやらぬうちに鑑賞と相成りました。ちなみにモノクロ映画です。もう60年以上前の映画だってよ…。

主人公のオードリー・ヘプバーン演じるサブリナ嬢は、「ララビー家」というそれはもう現代的には考えられないレベルの大金持ちのお抱え運転手の娘さんでございます。屋敷は当然お城のように広く、ボートも大量に係留、車も高級車ばかり8台かな? 持ってたり、お抱え料理人も大量にいれば池の鯉の世話係も住み込みで働いているというとんでもない名家です。

しょっちゅうセレブをお招きしてのパーティも催し、本当にあり得ないレベルの大金持ちなわけですが、そのパーティでチャンネーとネンゴロになっているララビー家次男・デヴィッドを木陰から見つめるつぶらな瞳、それが我らがサブリナ嬢その人ですよ、と。

彼女は年齢的には二十歳ぐらいのようですが、ずーっとデヴィッドに想いを寄せているものの今以上に立場の差に厳しいご時世なだけに運転手としてララビー家に仕える父からも反対され、叶わぬ恋に身を焦がす女子なわけです。

彼女は物語開始直後に料理の勉強のためパリに行くことが決まっているんですが、デヴィッドと離れることになる上に恋も叶わないこの状況に悲観して自殺を図るものの途中でララビー家長男のライナスに見つかって助けられ、結局失意のままパリへ行き、2年ほど修業して帰ってきた頃には立派なパリジェンヌと化したサブリナにデヴィッドもびっくり、改めて彼女をパーティに招待する…というようなお話です。

「天下のオードリー・ヘプバーンなんだから最初っから美人だろボケ」とか野暮なことも思いつつですね、確かにパリ前とパリ後で女性らしさ、色っぽさみたいなものの変化に(髪型と衣装の違いが大きいけど)大したもんだと思いつつ、若かりし頃のオードリー・ヘプバーンの魅力たっぷりかつワイルダーらしいオシャレなセリフに畳み掛けるような前フリ回収の気持ちよさが際立つというさすがのラブコメに仕上がっていました。

「みにくいアヒルの子だと思ってたら白鳥になって戻ってきてさぁ大変」的なプレイボーイと、ようやく念願叶ってお近づきになれたドヤ顔女子のマッチングがスタートのお話ではありますが、問題のプレイボーイ・デヴィッドは良家のお嬢様・エリザベスと婚約中、おまけにこの婚約はララビー家長男・ライナスが経営する会社の戦略とも深く関わっているために戦略結婚の様相も呈していて、なかなかそうは簡単に「おっ、かわいくなったねサブリナ結婚しようぜ」とはいかないわけです。

会社のためにデヴィッドはエリザベスと結婚しなければいけない、けどサブリナの魅力にやられちゃって「運命の人だ」なんて思い込んじゃっている…という状況の中、会社を経営する長男・ライナスが二人をソフトランディング的に引き離そうと手を講じるわけですが、未だ独り身で堅物真面目男のライナスも次第にサブリナの魅力にやられつつあるんじゃないのか…!? 的な流れが飽きさせません。

まあこの三角関係的な流れはありきたりでいくらでも類似品が見つかりそうな内容ではありますが、少し前にレビューした「フィラデルフィア物語」同様、何せ男二人があのハンフリー・ボガードとウィリアム・ホールデンですからね。どっちに転がってもおかしくないぞと。それがまた面白かったわけですが。

ただこの映画はもうずっとサブリナはデヴィッドにぞっこんだし、デヴィッドもサブリナにぞっこんだし、ライナスは仕事人間だからサブリナに興味はなさそうだしで、すんなり収まるところに収まりそうな気配が強いんですよね。むしろ「この二人がくっつくとして、会社の方の話はどうなるんだ?」みたいな。その辺をどう落とし前つけるのかな〜と思っていたら…! とこれ以上は言えません。

とは言えやっぱり結末もありきたりではあるんですよ。読まないように観ていたところで。でもその「結末はこうなりましたよ」という結論だけ知ったときは普通だとしても、そこに持っていくまでの過程のうまさが本当にさすがワイルダーだなぁという展開力で、やっぱり最終的には「くぅー!」とニッコリなわけです。

はー、それが前フリになりますか、みたいな驚きもあるし、価値観的に「こういう人間良いよね」みたいな含みもあるのが素晴らしいですよね。いかにも昔の映画らしい、美学のある行動原理が見えるストーリーなのがとても好きでした。

またこれも「アパートの鍵貸します」他ワイルダー映画らしく、セリフがいちいちオシャレで良いんですよ。あまりにも大金持ちで身分が違いすぎるデヴィッドに夢中のサブリナに対し、「月に手を伸ばすのはやめなさい」と諭す父にサブリナが返す言葉は「月が私に手を伸ばしてるのよ」なんて素敵じゃないですか! そういう古き良きセリフの良さもまた見逃せないポイントだと思います。

やっていることはありきたりかもしれませんが、過程のうまさと価値観の良さ、そして何よりオードリーその人の魅力でいまだ色あせない魅力を持った映画ですね。

素晴らしい。ごちそうさまでした。

ネタバレのサブリナ

このシーンがイイ!

ラストシーンはやっぱり素晴らしいですね。ワイルダーの映画はとにかくラストシーンが良い映画が多い印象があって、それだけに観終わったあとの感動もひとしおになるんですよねぇ〜。

この映画も見事なラストシーンでした。

ココが○

単純に笑いの混ぜ方が良かったですね。コメディセンスというか。フリの生かし方にしてもいちいちセンスがあるのがニクイ。

あとはもうオードリーの魅力でしょう。いまだにこの人が持つ雰囲気って他にないんだよな〜。

あと細かいところですが、使用人たちが集まってサブリナの手紙を読むくだりとかものすごく好きですね。優しい世界。

ココが×

特に無いかな?

話自体は読めるかもしれませんが、やっぱりいろいろ巧みなので。古典的名作と言って良いと思うので、一度は観て損はないと思います。

MVA

ウィリアム・ホールデンはおっさんになってからの印象しかなかったので、こういうプレイボーイ役は逆に新鮮だったんですがこれがなかなか見事に似合ってましたね。

ハンフリー・ボガードもあんまりラブコメイメージがなかったんですが、これまた役に似合った堅物男っぷりが良かったです。今まで観た中では一番良かった気がするなぁ。

とは言えまあこの人なんですが。

オードリー・ヘプバーン(サブリナ・フェアチャイルド役)

ほんとにねー。なんなんでしょうね、この人は。

動きとか表情がやっぱりちょーっと違うんですよね。観客の同情を引く雰囲気が抜群にうまいと思います。

オードリー展でその人となりも結構紹介されていたんですが、やっぱり根が真面目で優しい人だったようなので、その真面目さが演技のひたむきさに出ている気がするし、そこがまた魅力になっているんでしょう。いやー、やっぱり唯一無二だと思います。

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