映画レビュー0406 『砂漠でサーモン・フィッシング』
さして興味のある人もいないとは思いますが、一応告知として、またBSの録画が貯まってきたため、今回でしばらくレンタルはお休み、当面の間、録画した映画のご紹介が続きます。
劇場に行かない限りはあんまり新しい映画が出てこないと思われますが、よろしくどーぞ。
砂漠でサーモン・フィッシング
軽めにさっくり楽しめます。
ちょっと良い話系ヒューマンドラマなのかと思って観ましたが、実際はヒューマンドラマ的味付けをした恋愛ドラマでした。ただ、恋愛嫌いでも登場人物の心情が自然に感じられたためか、なかなか悪くなかったぞ、と。
「砂漠で鮭釣りをしたい」というとんでもない依頼が発端のお話ですが、ただ単に「金持ちのバカげたお遊び」というわけではなく、依頼をしたイエメンの大富豪・ムハンマドには別の目的もあり、その目的を含めた彼の人柄が物語の中心に位置していた印象。
「ありえない」と一蹴していたジョーンズも、彼の依頼を受けてジョーンズに相談していたハリエットも、それぞれが彼の影響を受けて気付けば自分の居場所が変わっていた…という、まさに出会いの妙が人生を変えていく見本のようなお話です。
さて、その「恋愛」に関しては、当然キャスト的にもジョーンズとハリエットがどうなんねん、というお話になるわけですが、ハリエットはオープニングで軍人と交際を始め、ジョーンズは長い結婚生活を共に送る奥さんがいます。ただ、ハリエットの彼氏はいつ戻れるかもわからない戦地へ赴き、ジョーンズの夫婦生活もうまくいっていないため、不安定な環境で共に困難なプロジェクトに立ち向かう二人、というバックボーンからすれば、惹かれ合うのも自然の流れ…ではあるんですが、そこに「当たり前にうまくいくのか」わからなくさせるための展開がなかなか面白く、また説得力もあってうまかったように思います。
さらに政治的ポジションの食わせ者おばさんが加わってくるおかげで、ベースストーリーはなんならファンタジーっぽくもあるぐらいの絵空事でありつつも、人間同士の絡みはすごくリアリティのある内容になっていて、程よく軽快なテンポも相まって、さっくり気軽に楽しめました。
また、全体的に過不足なく、割合丁寧な作りだったのも○。この辺はイギリス映画感が出ている気がします。
非常に内容のうっすいレビューですが、もう他にアレコレ書くとネタバレになるのでこの辺で。まとめとしては「恋愛モノだけどド恋愛じゃないから万人にオススメできます」ってところでしょうか。主要登場人物を演じる面々も地味目で好感が持てるのも良かった。
このシーンがイイ!
これはもう、殿下がジョーンズに「でも残念だ」って励ましたシーンでしょう。ユアン・マクレガーはああいうシーンがまた似合う。気の毒な感じが。
ココが○
ただの恋愛にとどまらない、政治が絡んでくる辺りがこの映画オリジナルのうまさのような気がします。あの首相広報官の食え無さがイライラしつつも、でもそこが良かったなと。
ココが×
大きな盛り上がりには欠けるので、傑作・名作の類にはなりえないのが残念。
ただ誰が観ても観やすいだろうし、大外れはしないと思います。
MVA
主演二人がどっちも顎が割れているという顎割れムービー。どっちも丁寧でいい演技でしたが、この映画はこの人かな。
クリスティン・スコット・トーマス(パトリシア・マクスウェル役)
首相広報官。
人間的にはかなり友達になりたくないタイプですが、この人の存在はこの映画にとってはかなり大きなもので、この人がいなかったらそれこそド恋愛に終わったような気がします。演技ももちろん、申し分なし。