映画レビュー1147 『恋しくて』
やっぱりたまには80年代のアメリカ映画が観たいじゃない、ということで録画から…と思いきやまたもJAIHOだ! こういう映画もあるからみんな入るんだ!
恋しくて
ハワード・ドゥイッチ
エリック・ストルツ
メアリー・スチュアート・マスターソン
リー・トンプソン
クレイグ・シェイファー
ジョン・アシュトン
ジェーン・エリオット
マディ・コーマン
イライアス・コティーズ
スティーヴン・ハギュー
ジョン・ミューサー
1987年2月27日 アメリカ
95分
アメリカ
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

80年代らしい素直な映画。
- ジョン・ヒューズ脚本の青春恋愛映画
- 地味な男子が憧れの学園のマドンナにアタック
- 少しずつ好転していく彼を支える女友達の存在感が良い
- エリック・ストルツとリー・トンプソンの共演でざわつく
あらすじ
いやー80年代。いかにも80年代の青春恋愛映画。良いですねぇ〜。
やっぱりどうしても予定調和的に感じてしまう面はあるものの、むしろこれが源流なんじゃないかってぐらいに王道感溢れる良い映画でした。
画家を目指す物静かな高校生・キース(エリック・ストルツ)は、学園のマドンナ・アマンダ(リー・トンプソン)に憧れているもののいつも遠くから見るだけ状態。
アマンダにはいかにもクソナンパ野郎な恋人・ハーディ(クレイグ・シェイファー)がいるんですが、ある日2人が喧嘩したことでキースにもチャンス到来。意を決して話しかけ、デートの約束を取り付けます。
キースは親友の女友達・ワッツ(メアリー・スチュアート・マスターソン)に協力してもらいつつ恋を成就させようと頑張りますが、アマンダしか見ていないキースにワッツは複雑な面持ち。
一方でアマンダと喧嘩別れしたチンコ野郎ハーディはキースをパーティにご招待。そこには何やら狙いがありそうですが、はたして…。
BTTFの“幻カップル”が共演
80年代青春映画の代名詞的存在であるジョン・ヒューズ脚本による青春恋愛映画。もう雰囲気からして80年代感がほとばしっていて最高です。ヒロイン(アマンダ)の歌とか登場しますからね。「♪アマンダ〜〜なんとかな女〜〜」みたいな。すごい。
なにせ主役がエリック・ストルツ、ヒロインがリー・トンプソンと言うことで…BTTFファンとしてはざわつくこと間違いなし。こんな運命の悪戯的な映画があったなんてこれを観るまで知りませんでした。
一応知らない方のために説明しておくと、BTTFは当初エリック・ストルツ主演で撮影されていたものの、イメージが合わないと言うことで降板、その後(制作サイドが最初から希望しつつもスケジュールの予定で参加できずにいた)マイケル・J・フォックスに主演が移ったと言う経緯があります。そしてBTTFもヒロインはリー・トンプソン。
降板した大ヒット作の“やり直し”をこの映画でやっていた…となるとそれだけでなんとも言えない価値を感じるから不思議です。
冴えない主人公、学園のマドンナ、そして男勝りな親友女子の三角関係と言ういかにも王道感溢れる映画ですが、その他のメンバー含めてストレートで映画っぽいキャラクターが「これこれ」感あって楽しい。映画と言うより漫画っぽいと言った方が感覚的には近いかもしれません。
物語の展開自体はこの映画特有のものだったとしても、配置されているものが「いかにも青春映画」っぽい要素に溢れていて、それがなんかたまらないよねと言う。
言い方を変えれば「あらゆるフラグが立っている」映画に見えると言うか。いかにもワルそうなヤツが出てくると「これ意外と良いヤツパターンでしょ」みたいな。
全体的にそうやってなんとなくの立ち位置が見えてくる感覚が、懐かしいしこの頃らしい青春映画っぽさを増幅していてそれがなんかたまらないなと。
恋の行方にしても高校生らしく初々しく、等身大の悩みとともに友達関係もしっかりと描いていて過不足がない物語ですね。
歳を取ってから観るにはちょっと恥ずかしいような甘酸っぱさが味わえる、時代的にも純粋だった素直な物語に僕の汚れた魂も浄化された気がします。そろそろお迎えが来そうです。
この頃の青春映画が好きであればぜひ
あとは特段語ることもなくてですね。この頃の青春映画が好きであればぜひ観るべきですよと言うぐらいです。言っておきたいのは。
ところどころ自分自身の存在について鋭い問いかけをするセリフもあり、まさに同年代の頃に観ていればいろいろと感じ取れるものもありそうでした。
しかし残念ながらこちらは「子供が同年代です」と言っててもおかしくないぐらいのおっさんになってしまったため、己の不甲斐ない人生のみがエンドロールに浮かび上がり映画関係なく涙するような事態ですよ。誠にありがとうございます。
このシーンがイイ!
中盤に「これぞ青春!」的なめちゃくちゃいい練習のシーンがあるんですが、これは書いちゃうと興を削ぐと思うので割愛します。
差し障りのないところでは、ヤンキーくんが机に掘った絵をキースに見せるシーン。なんか良い。
ココが○
全体的に漂うザ・青春映画な感じがたまりません。どっぷり浸かれる感じ。
劇伴とかも当然この頃っぽい少し古い感じがあり、そこがまた良いんですよ。
ココが×
最後の展開はいかにも過ぎてちょっと残念でした。ただそうしないとダメだよなと言うのもわかるので難しいところ。
MVA
一応は物語の作りに乗って「冴えない主人公」と見なしてはいましたが、しかしそれにしてはエリック・ストルツはかっこよすぎでは。もうちょっと冴えない人の方が話としてはリアリティが増した気がします。
リー・トンプソンもやっぱり良いんですが、この映画はこの人でしょうね。
メアリー・スチュアート・マスターソン(ワッツ役)
キースの親友の男勝りな女子。
彼女の存在がすべての映画でしょう。複雑な心情を伺わせる表情も良かった。