映画レビュー0561 『お熱いのがお好き』
今日はまた古い映画、モノクロです。タイトルだけは知ってるけど観たことはないぞ、という方は多いんじゃないでしょうか。
お熱いのがお好き
普通に声出して笑っちゃう。
「アパートの鍵貸します」他同様、ビリー・ワイルダー×I・A・Lダイアモンドコンビのコメディ映画。そして主演の一人はまたジャック・レモン、と期待が膨らむこちらの作品ですが、やっぱり今観てもとても面白く、普通に声出して笑いました。
「女装して女性のみの楽団に入る」という無理筋な、いかにもなコメディではありますが、まあ面白いもんは面白いので細かいことは気にせず観た方がお得です。
主演はトニー・カーティスとジャック・レモン、そしてマリリン・モンロー。マリリン・モンローは当然ながら知っていましたが、ちゃんと映画で観るのは初めてでした。
いわゆる“セックスシンボル”の代名詞なので、もっと色気で画面が曇るような人なのかと思ってましたが、これが想像に反してものすごくキュートでビックリ。もうちょっと眠たそうな目をしてる印象が強かったんですが、ぱっちりでっかい黒目でちょっと抜けてそうな明るい女子像はなかなか魅力的で、こりゃー人気出るわな、と納得。
何度も書いているように、古い映画は女優さんの古臭さに悲しさを感じることが多い気がしますが、この人は古さを感じないタイプの人ですね。今までの写真やイラストで見るアダルトな印象とはちょっと違って、すごくかわいかったです。
あの、マリリン・モンローの代名詞とも言える超有名な曲「I Wanna Be Loved by You」を歌うシーンも出てきて、思わず「おお、これが!」と嬉しくなりました。
ププッピドゥ やで!
女装した二人が楽団でマリリン・モンロー演ずるシュガーと出会って惚れてしまい、でも女装したジャック・レモンに惚れる大富豪が出てきたり…とドコメディではありますが、きちんと一つひとつの要素を収束して「めでたしめでたし」なエンディングを迎える作りはさすがビリー・ワイルダーと言ったところで、今でも十分に楽しめます。
途中、若干ジャック・レモンが気の毒な気がしてモヤモヤしてたんですが、その気持ちのはるか斜め上を行く展開に驚くと同時にやっぱり笑えるという素晴らしいシナリオ。
「女装がバレないわけないだろ」とか野暮なことは考えないのが吉です。ジャック・レモンなんてすげーブサイクなんですがバレないんです。
逃げて追ってのシークエンスなんかにやや古いコメディ感はありますが、その辺を除けば、本当に今観ても普通に声を出して笑っちゃう面白さ。やっぱりビリー・ワイルダー作品は面白いですね。
「アパートの鍵貸します」と比べると、オシャレさだったり胸キュン(古)レベルだったり、感情を揺さぶる部分ではだいぶ譲るところがあり、ドラマ色の強いコメディだったあちらと比べると、こっちはあくまでも純粋なコメディという感じで、深さという意味ではあまり残りませんが、それでもエンターテイメントとしては極上の作品と言っていいでしょう。
タイトル的にもっとエロい話なのかと想像していた自分を叱ってやりたいところです。当然ながら、女子でも安心。今でもオススメ。
このシーンがイイ!
序盤の列車でのシーンはいろいろ良いシーンがあって、マリリン・モンローの「おやすみ、ハニー」の笑顔のかわいさったらなかったですが、同じく列車でのジャック・レモンが下に落ちてパンツ隠そうとする仕草とかもう爆笑。
それと、やっぱり船とダンスが交互に展開するシークエンス。ダンスシーンなんてもう笑っちゃうのなんのって。曲もノリが良くて忘れられません。
ココが○
全然飽きないんですよね。本当にあっという間の2時間で。やっぱり脚本力なのかなぁ。このコンビは本当にいい映画作りますね。
ココが×
特にありませんが、後に残る深さがないとは思います。でも面白いからいいんです。
MVA
そんなわけで初めて観たマリリン・モンローは見た目も演技もすごく良かったんですが、今回はこの人しかないかなー。
ジャック・レモン(ジェリー/ダフネ役)
もう顔ひとつで笑わせるコメディアンとしてのセンスが素晴らしいです。動きも最高。
女装主体のせいか、今まで観た中でもっともノッてた気がする。めちゃくちゃ面白かったです。