映画レビュー0545 『007 スペクター』

いやー、ついに始まりましたねスター・ウォーズ

世の中がスター・ウォーズで大騒ぎのこの時期、今さらこの映画を観に行ってきましたよ。元々スター・ウォーズよりも楽しみにしていたので、先行上映で観に行ってやろうかと手ぐすね引いて待っていたんですが、諸事情によりこんなタイミングで、ちっさいスクリーンでの鑑賞となりました。画面が血で赤く染まって見えたのは気のせいでしょうか。ナチュラルガンバレル系鑑賞。

ただ世の中が絶賛している前作はそこまで好きでもなかったので、監督続投の今作はどうなんだろうか…と若干警戒気味に鑑賞。

今さら参考もクソもねーよ、と言うご意見は重々承知しつつ、そもそも参考に読みに来るやつなんていねーよ、とカウンターパンチでお応えします。

なお、スター・ウォーズは来年観に行く予定です。これまた漂う今さら感。

007 スペクター

Spectre
メキシコシティでMI6の任務とは無関係の“事件”を起こしたボンドは、Mから無期限休養を言い渡される。マネーペニーにその件について問いただされると、彼は前任のMが他界した後に指令を受けたことを教える。独自に追った男の背後には、「スペクター」と呼ばれる悪の組織があり、今までボンドが対峙していた敵はみな、その組織のものだったことを知ったボンドは、決着を着けるべく、彼らが一堂に会する会議へ向かうのだった。

前作より上。でも不満もあり。

8.0

散々言われていますが今年はまあスパイ映画の当たり年で、僕が観ただけでも「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」「キングスマン」「コードネーム U.N.C.L.E.」そしてこれ、と4本もあったわけですが、その大トリにして個人的大本命の今作、結果としては(この中で一番では無いものの)素直に面白かったです。

ショーン・コネリー時代の007の宿敵である「スペクター」が、いろんな大人の事情をクリアしたおかげで復活させられ、過去3作のダニクレ・ボンドの敵はみんな俺が仕向けたやつだぜ、という豪快なこじつけにより一気に宿敵感を増したスペクターのドン、オーベルハウザーとの戦いを描きます。

そんな成り立ちもあり、過去3作の悪役はもちろん「007 カジノ・ロワイヤル」でのボンドガールであるヴェスパーや、ジュディ・デンチ演じる前任のMといったキャラクターも話や写真等で登場し、まさにダニクレ・ボンドの集大成という感じ。

ただ、事前に思っていたほどは過去作品の知識を必要としない、今から観始めてもなんら問題はないストレートな娯楽作品に仕上がっていると思いますが、それでも間違いなく過去3作は観ていた方が話も理解できるし楽しめるでしょう。特に印象の薄い(ダニクレ・ボンド)2作目「007 慰めの報酬」なんて再見しておいた方が良いのは間違いありません。僕はすっかり忘れちゃったのでマチュー・アマルリックの写真が出ても「ああ、こいつドエロなんでしょう?」と「毛皮のヴィーナス」の印象しか出てきませんでしたスマヌ。

さすがに後付け設定丸出しのため、「全部俺の仕業だったんだぜ? ジェームズ」とか言われても「は、はぁ(失笑)」ってな感じなんですが、その辺は大人の事情を鑑みて「うおー! そうだったのかこいつすげーなボス感すげー」と乗ってあげるべきです。なんせ演じる俳優もクリストフ・ヴァルツですからね。とても雰囲気があってカッコ良かった…けどなんとなく尻すぼみ感もあったのが残念です。

それはさておき、そんな「ダニクレ・ボンド集大成」となったこともあって、全体的に各キャラクターの重みが増していた印象があります。

マネーペニーやQ、M、ビル・タナーと言った同僚も役割が少し大きくなっているし、ヒロインとなるボンドガールも今までの消耗品的な扱いとは違い、ちょっと特別な扱い。この辺はやっぱり他のスパイ映画との兼ね合いもあるんでしょうか。前作からチームワークを押し始めた「ミッションインポッシブル」シリーズのように、少し個々のキャラを立たせつつのチームプレイも描く感じ。ただ、こっちはやっぱり「007」、ジェームズ・ボンド個人の立ち回りの比重がとても大きく、「MI6がこんなピンチなのに他の00連中は何してんだよ!」とツッコミたくなることウケアイです。

余談ですが、もし次ダニクレ・ボンドの後任を使ってイメチェンするのであれば、そろそろ別の00要員が出てきても面白いんじゃないかなという気もしますが、まあそういうことはしないでしょうね…。批判凄そうだしね…。

冒頭のヘリ格闘であったり、途中の飛行機vs車のチェイスシーンであったり、「新しいアクションを見せるぞ!」という意気込みは伝わるし、マンネリ感が無いと言えば嘘になりますが、それでもアクション映画としての作りはやっぱりよく出来ていると思います。迫力があるのは当然のこと、やっぱりダニエル・クレイグがカッコイイからまあ締まる締まる。ほっといても3割増しぐらいに見せちゃう魅力があるのが素晴らしい。

ですが、反面ストーリーが少し弱いのも相変わらず。勢いで不都合はふっ飛ばして進める、これまた最近の大作にありがちな作りのおかげで、ところどころ「えー」と言っちゃうような場面はありました。それはさすがにないんじゃないの、みたいな。進みっぷりもサクサクしてるし、サスペンス的な丁寧な展開は期待しないほうが無難です。なまじシリアス路線にしちゃったが故にそっちにも期待したくなるんですが、率直に言って中身はやっぱり薄めだな、と思います。

結構予告編では“隠していること”とか“ボンドの生い立ち”だとか思わせぶりな要素が見受けられましたが、あんまりそこまで深いものを期待しちゃうと肩透かしを食らう程度には内容が薄いです。あくまでアクションとして、そしてダニクレ・ボンドの集大成として楽しむレベルが適切でしょう。

ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ラストのボンドの選択に関しては非常に不満がありました。そうじゃないんだよ。そういう後味いらねーんだよ、と。ただ、これでダニクレ・ボンドが終わりなんだとしたら、それもまた納得だし、いい終わり方なのかもしれません。

一応以前の話では計5作・次の作品までの契約という話を聞いていましたが、この終わり方ではほぼ間違いなく今回でダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドは終わりでしょう。彼のボンド像に痺れた人間としてはとてもとても寂しいことですが、マンネリ回避という意味でも、またダニエル・クレイグの年齢的にも、いい引き際なのではないかなと思います。

独断によるシリーズ評価としては、カジノ・ロワイヤル>>>スペクター>>>>>>スカイフォール>>慰めの報酬、という感じ。もっともカジノ・ロワイヤルは「新しいボンドのスタート」という特殊要因と初めて見るダニクレ・ボンドの衝撃もあったし、オープニングのかっこよさに持って行かれた印象も強いので、ちょっと特殊かもしれません。

さて、次は誰がやるのやら…。聞いた話ではジェイソン・ステイサムが意欲を示しているとかいう話でしたが、ホントにやったら笑っちゃいそうで大変です。ハンサム・ボンドとか言って。まあそれはそれでイメチェンにはなるし大胆な決断だと思いますが…。でも多分もっと無名な人でしょうね。楽しみです。

そんなわけで、一時代を築いたダニエル・クレイグのボンドに敬意を評しつつ、お疲れ様でしたということで。

このシーンがイイ!

良いシーンは結構たくさんありました。良いセリフも結構ありました。一番は…そうだなぁ、なんだかんだ言ってオープニングの「死者の日」のシークエンスかなぁ。

すっごい地味なところで恐縮なんですが、ナオンを連れ込んですぐ外に出て、ベランダから結構な高さの縁を歩いて行くシーンがあって、それがめちゃくちゃかっこよくて。常人だったら高さで少し歩みが遅くなったり下を覗いたりしそうなところを、スタスタと普通のペースで歩く姿が、「ああ、ダニクレ・ボンドだよこれだよこれ!」ってテンションが上がっちゃう感じで。

オープニングだし、「そうそう!」っていうこれから始まる物語への期待を高める、小さいながらも素晴らしいシーンだと思いましたね。当然、ヘリでのバトルもテンションマックスで良かったですが、前作にしてもそうだったし、ちょっとオープニングに力を入れすぎてその後が霞んで見えちゃう感じはなんとかならないもんかな、と…。

ココが○

シリーズとしては珍しく、かなりはっきりと「集大成」を意識した作りになっているので、ダニクレ・ボンドが好きな人にとっては特別な感覚を覚える作品になっている気がします。前任のMの使い方もとても好きだし、シリーズファンへのファンサービスがしっかりしています。

ココが×

ストーリーの薄さ以外で言えば、やっぱりちょっと今のMが少しキャラ的に弱いのが残念。レイフ・ファインズは好きなんですが、どうも役柄的にちょっと官僚的で、もうちょっと芯の強さみたいなのが欲しい気がします。

ただこれは僕がジュディ・デンチのMを好きだったせいもあるし、やっぱり「女性ボス」に比べると、どうしても普通に見えちゃう辛さもあるとは思うんですよね。仕方がないところだとは思います。

MVA

(おそらく)ダニエル・クレイグ最後のジェームズ・ボンドということで、お疲れさまの意味も込めて彼に…と思いましたが、こっちのほうが今回いいな、と思ったのでこちらの方にします。

ベン・ウィショー(Q役)

前作よりも出番も多く、絡みも面白くて存在感あり。

Qに関しては前作で前任からかなり若返って話題になっていましたが、これが昨今のネットワーク系バトルへの親和性がすこぶる高く、とても時代にあっている良いキャスティングだな、と思います。爺さんが鬼のようにPCを使いこなすのもそれはそれでかっこいいんですが、やっぱりこういう人のほうがしっくり来る気はします。

それと二人のボンドガール。モニカ・ベルッチは登場シーンこそめちゃ少ないですが、50代のくせに色気たっぷりでかっこ良く、正直もっと観たかった印象。

ヒロインとなるレア・セドゥは、ポジション的にもとても重要ながら、それに負けないかわいさと気の強さを感じる演技がこれまたグッド。「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」でかわいいなーと思って見ていましたが、ライバルスパイ映画でこんな良いヒロインやっちゃうとはビックリ。

好きです。(告白)

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