映画レビュー0732 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

ついにやって参りましたエピソード8。

今回はなんとIMAX 2Dでの上映ということで大喜び、鼻息荒く予約しようとしたらなんといつもより早めに売り出していたらしくいつものエグゼクティブシート(いいやつ)は売り切れという憂き目に遭い、やむなく普通の席でこじんまりと観て参りました。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

Star Wars: The Last Jedi
ついにルーク・スカイウォーカーを探し出したレイ。一方その頃、レジスタンスの基地にはファースト・オーダーの魔の手が忍び寄ってきており、全滅の危機に直面していた。

師弟のアンサンブル。

9.0

そんなわけでスター・ウォーズナンバリングタイトルの最新作ですよ奥さん。

僕はかねてより書いていますが、スター・ウォーズシリーズについては「一応全部観てはいる」程度でそこまで強い思い入れも無く、あくまで一映画ファンとして楽しみにしていましたよ、というポジションです。ハリー・ポッターシリーズと似たような感じですね。自分の中でのポジション的には。

とは言えやっぱり世の中的には公開が近付くに連れてあちこちで盛り上がってきているのを目の当たりにしてもいたので、いわゆるお祭り感みたいなものからかなりハードルも上がりつつの鑑賞になりました。

事前に聞こえてくる評判としては「大絶賛」という感じだったのでなおさら楽しみにしていたわけですが、結論から言えば実際僕の感想としても大絶賛、めちゃくちゃ面白かったです。

ただ、やはりかなり骨太なスター・ウォーズマニアの方々からすればまったく許されない駄作だというような声も聞こえてきたりして、なかなかに賛否両論な映画のようです。賛否両論具合から言えば前作「フォースの覚醒」以上かもしれません。

なにせまだ絶賛公開中の超特大メジャータイトルなだけに、「入場予約制なのかな?」と思われるレベルで人が来ないブログとは言え、ネタバレは厳に慎むべきとの思いからあまり内容について詳細に触れることは避けようと思います。なので書くこともあまりございません。

が、ギリギリ興を削がない程度に少し思ったことをポツポツと書こうかな、と。

まず通して観た感想としては、何組もの師弟関係が物語に熱を加えていて、そのおかげで胸熱になってごちそうさまでしたよ、というのが僕の最初の感想でした。

師弟関係として誰と誰が、とかは書きません。やっぱり興を削いじゃうので。ただ、1組2組ではない師弟が何組も出てきて、「見方を変えればこの二人も師弟じゃね?」みたいなのも含めると結構な数の師弟が物語を彩っているわけですよ。

師弟というのは…つまり上下のある1対1の人間関係と言っても良いと思うんですよね。教える・教えられるという単純な師弟関係に限らず、上司・部下でもそういう関係は構築されるわけで、そういう目線で観ていると本当にあちこちで師弟関係が見えてくるお話でした。

で、その1対1の絡みがいちいち胸熱なんですよ。

師が何を思い、言葉や態度で弟子に伝えているのか、そしてそれを弟子はどう受け取っているのか…そういうことを考えながら観ていたら、もうなんでもないシーンでもウルウルきちゃったりして、自分でも想像以上に感情を揺さぶられる鑑賞でしたね…。

そんな部分に思いを馳せながら、まあやっぱりなんと言っても「スター・ウォーズ」なので、既視感のある展開がバンバン出てくるわけですよ。これどっかで観たな、これ何作目かでも出てきたな、みたいな。

で、そうなると「ああこれこうなるパターンか…まあスター・ウォーズだししょうがないか…」なんて思いながら観ているわけですが、これが結構頑張って予想を裏切るように展開するんですよね。おそらく否定する人たちはこういう部分も気に入らなかったのかな、とも思うんですが。

もうかなりの場所で「いつものようにはさせないよ」というライアン・ジョンソン監督の意志が見え隠れしていて、とは言えそれが(僕のようなニワカファンとしては)許せない形ではない、ギリギリのところで見切って違う答えを出してくる…けど納得の行く展開というのにすごく感心しました。

もちろん、言われているように「それはないだろ」とか「結局これいらねーじゃん」みたいなのもよくわかるんですよ。

おそらく僕もつまらなかったら、終わった後にいろいろグチグチあれはどうなんだこれはどうなんだフザケンナ、って言ってたような気がします。

全体を肯定できなくなるとアラが見えてくるのは事実なので、そう言いたい気持ちもわかります。

ただ、僕はもう単純にめちゃくちゃ楽しめたし、ギリギリのところでバランスを保ちつつ先を読ませないサービス精神にもう完全にしてやられちゃったんですよね。だからもう最高だったぜ、と鼻息荒く劇場から出てきたわけです。

この辺も過去作の精神面とかをじっくり消化してきた人たちからすれば、きっと「それはないわー」っていう点もすごく多かったんだろうと思うんですよ。

前作の時も書きましたが、やっぱりスター・ウォーズともなるともうとんでもないレベルのマニアが蠢いている世界なので、僕のような「全部観たけど4〜6なんてほとんど忘れちゃったよビローン」みたいな人間が「最後のジェダイやったな!!」とか言うのってもうそのこと自体が激怒される事案だろうとも思います。ごめんなさい。先に謝りましょう。

ですが、その一握りの超マニアの方たち向けに作っても早い話が商売にならないわけですよ。一人頭で言えばたくさんお金は落としてくれるかもしれないけど、やっぱり規模の経済には勝てないわけです。

ここで経済性を糧にクリエイティブを語るのは良くないのも重々承知しつつ、でもやっぱり「大衆向けに楽しめるものを」っていうのは路線として間違ってないと思うんですよ。で、その大衆っていうのはやっぱり僕レベルの「記憶は曖昧だけど一応観ました」ぐらいの人たちだと思うんですよね。

まったく観ていない人がいきなりここから、っていうのは難しい(少ない)と思うし。だから今回はもうかなりバチッとターゲットとして握られてしまい、その策略にまんまとハマったのが自分だったのかな、と。

上に書いた通り、確かにいろいろ後から振り返れば気になる点はちょくちょくあります。ただその場で違和感を感じさせるほどのスキがなかったんですよね。僕には。

きっとスター・ウォーズ上級者の方々はところどころ引っかかっちゃって、ノレないまま終わっちゃって「クソ陳腐だな」ってなったんじゃないかなぁと推測するんですが。

なんだかネタバレ回避のためとは言え周辺事情のお話ばっかりで申し訳ないんですが…。極力興を削がないように僕なりの印象をまとめると、

  • 一般的な映画ファンに対する「娯楽大作」としては申し分ない作り
  • 別ルートで同じ場所にたどり着くかのように、予想を裏切りつつ着地点は一緒になるようにまとめた力作
  • ただしマニアの間では賛否両論のため、スター・ウォーズ愛が強い人はそれなりに覚悟が必要

という感じでしょうか。

ただ、これを読んだルークはきっとこう言うでしょう。

「素晴らしい。すべてが間違っている」

ネタバレのジェダイ

この映画が気に入らないマニアの方々は、やっぱり過去を否定するかのような描写&スカイウォーカー家からの脱却が嫌、ってことなんでしょうか。相当好きであればその気持ちも不思議ではないと思いますが、ただ一般的には「乗り越えられるために師がある」っていうのはすごくカッコイイし良い言葉だと思うんですけどね…。

その師弟というのは、レイとルーク(描写としてはかなり物足りなかったですが)はもちろん、カイロ・レンとルークもそうだし、見方によってはカイロ・レンとスノークも師弟と言えなくもないし、レイア姫とホルドもそう言っていい部分がありました。

あとはなんと言っても、まさかのご登場ヨーダ(とルークの師弟関係)ですよ。あそこは本当にグッと来ましたね…。

それはさておき僕が引っかかった点としては、すっごく浅いとは思うんですが

  • フィンとローズのパート全部いらない
  • となるとデル・トロもいらない(ただ彼は次作で絶対美味しい役割で再登場すると踏んでます)
  • 延々とシールドに撃ち続けるファーストオーダーの無能っぷり
  • 「すべて読んでいる」と壮大な前フリを経てのスノーク最高指導者の無能っぷり
  • 何でもアリと化したフォース

辺りでしょうか。

特にフォースはやりすぎ…な気もするんですが、ただ「死んだジェダイが映像で出て来る」とかも前からやっていたわけで、実際のところこれはこれでアリなんだとは思うんですけどね。

結局のところ、序盤からしょっちゅう挟み込まれたレンとレイの「フォース通話」は二人が会った時の前フリではなくて、実は「フォースでこういうことができる」と同時に「お前ら若輩者とルークのフォースはレベルが違うんだよ」というフリだったのかな、とも思います。

ただあれでルークが(体力を使い果たしたんでしょうが)死んじゃう、っていうのもよくわからないんですけどね。おまけに消えるし。消えるってことはあの離島で暮らしていたルーク自体フォースだったのか? とか。そうするとフォースがフォースでレンを欺いてたのか?? とかいろいろ気になる部分は出てきます。まあ、単純に「倒れるだけ」より消えた方が劇的な死に様っぽいからやったよ、的な感じなんだと解釈しましたが…。

次作でまたルークも死後フォースとしてレイを導いたりするのかな〜。それはそれで観たい気もしますが。

最後に最も単純かつどうでもいいかもしれない不満として、ルークとレンのバトルをもっと見せて欲しかったというのは思いました。圧倒的な剣さばきでレンを追い詰めるルークが観たかった。あそこがちょっと急ぎ過ぎな気がして、すごくもったいないなぁと。

もっとも体力的なものその他諸々でマーク・ハミル自身があんまり動けなかったのかもしれませんが…。でも人間としてあり得ない動きも映像化してたし、その辺はどうにでもなりそうだっただけに…もっと観たかったよなぁ。「やっとルークのバトルが!!」って興奮をごっそり削ぎ落とされた残念感は間違いなくあったと思います。

それにしても予想外に(?)レイア姫は生き残りましたが…キャリー・フィッシャー亡き次作ではどうするんでしょうか。テロップベースで死にましたは悲しすぎるから苦しくても別の人を充てて出して欲しいと思いますが…。

このシーンがイイ!

まーいろいろありましたが…書いたらまたネタバレになるしなぁ。

あえてわかりづらく書きますが、超ベタに…やっぱり「雷が落ちる」部分はね…やられましたね。

それと終盤のバトルの舞台がとても綺麗で、あそこでの戦闘シーンもものすごく良かったです。塩。

ココが○

今回、僕の評価の基準にあったのはやっぱり前作なので、前作で「ただの焼き直しじゃねーか」と思ったが故にいろいろと「焼き直しのように見せかけて違う展開を」とチャレンジした姿勢がすごく良かったと思います。

何度も書いていますが“あの”スター・ウォーズですからね…。一つの(予定調和の)裏切りだけでも相当な覚悟がいると思いますが、そこに踏み込んでみせた勇気は褒められて然るべきじゃないのかなーと思います。

ココが×

これは否定しているマニアの方々のご意見を参考にするのが一番でしょう。もちろん僕としてもありましたが、イコールネタバレになっちゃうだけに書けないんですよね…。

ただ差し障りない程度に全体像の話として言えば、やっぱりちょっと都合良すぎる部分は結構あります。運ゲー的な要素というか。

ただそれはそれでもうこの手の娯楽大作には付き物というか…仕方がない面もあるので、そこを突っつくのも酷なのかなとも思います。

MVA

これはねぇ…予想外の大物登場他見どころもあって良い人多かったんですが…やっぱりちょっとなー。この人の映画だしなー。

マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー役)

順当すぎて申し訳ないところですが。

ただ役者としてはスター・ウォーズ初期三部作以外イマイチパッとしない彼が、再びルーク・スカイウォーカーをじっくり演じるというその点だけでも胸熱じゃないですか。もう僕のこの映画のキーワードは胸熱でしたからね。一番胸熱ポイントが高かったこの人にせざるを得ないですよ。

ただ書いておきたいのは、ファーストオーダーのハックス将軍とカイロ・レンの二人。

前作のレビューにも書いた通り、どうも二人とも優男感&小者感が出ちゃってイマイチ合ってないなぁと思ってたんですが…。今作を観て、その優男感があえてなのかなというのが見えたので、こりゃいいキャスティングだったんだなと納得しました。

きっちり前作が前フリとして機能しているし、そのためにこの二人を充てたのかと思うとなかなかやるなぁと唸りましたね。

特にアダム・ドライバーは前作でイマイチ好きになれなかったんですが、今回すごく良かったということは書いておきたいと思います。

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