映画レビュー1240 『スタートアップ!』

最近いろいろ他のことも忙しいのとあまり映画に興味が向かない状況でして、なんと2週間前のウォッチパーティから1本も映画を観ておらず、今回もウォッチパーティです。

圧倒的得票数で選ばれたこちらの作品。見た目のインパクトがすごいのなんの…。

スタートアップ!

Start-Up
監督

チェ・ジョンヨル

脚本

チェ・ジョンヨル

出演

マ・ドンソク
パク・ジョンミン
チョン・ヘイン
ヨム・ジョンア
チェ・ソンウン
キム・ジョンス

音楽

モグ

公開

2019年12月18日 韓国

上映時間

102分

製作国

韓国

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

スタートアップ!

後半の急展開が良いやら悪いやら。

8.0
母に反発して家を飛び出した少年、強烈な料理人と出会って世界が変わる
  • 飛び出して就職した先でいろんな人間関係を築き、成長していく少年
  • 群像劇っぽくいくつかの登場人物たちの話が交錯し、少々わかりづらい面も
  • 後半は怒涛の展開で予期せぬ方向に行くダイナミックさがすごい
  • 何をおいてもマ・ドンソクがひたすらズルい

あらすじ

おかっぱマ・ドンソクのビジュアルの強烈さから「これ絶対面白いだろ」と思わせる出落ち感、期待を裏切らず面白かったです。しかし一部惜しい気もしました。

母との喧嘩が絶えないテギル(パク・ジョンミン)は、自分で金を稼ぐと就職した親友のサンピル(チョン・ヘイン)に影響を受け当てもないまま自分も家出。

偶然飛び込んだ中華料理屋で住み込みのバイトを募集していることを知り、頼み込んで働かせてもらうことに。

しかしその店にはおかっぱ頭の大男、コソク(マ・ドンソク)という厨房長がいて、何かとバカにしてくる彼とは天敵のような間柄に。

とは言えその他優しい社長(キム・ジョンス)や先輩配達員たちとなんだかんだ楽しく暮らすテギル。

新たな出会いを経て社会を知り、それぞれの道を歩みだしたテギルとサンピルですが…果たしてこの先どんな未来が待ち受けているのか…そしておかっぱ厨房長の正体とは…!

青春マブリーコメディ

ジャンルとしては一応コメディなんですが、コメディ感強いのは中盤すぎるぐらいまででそれ以降は一気にジャンルが変わります。「そういう話だったのかー!」とびっくり。

主人公が少年(とは言っても演じているパク・ジョンミンは30過ぎててこれまたびっくり)ということもあって青春映画っぽくもあり、結構いろんなジャンルが入っている辺りは少しインド映画的な美味しさもあるとかないとか自分の中で話題です。

とは言えやっぱりおかっぱマ・ドンソクの破壊力が凄まじく、それ一つを持って「コメディだな」と感じさせる存在感。やはり唯一無二の存在です。

特に中盤までは思う存分彼を利用したコメディ感が素晴らしく、正直後半のジャンル変更は(それはそれで面白いんですが)ちょっと残念な気もしました。ずっとマ・ドンソクの美味しさをしゃぶり続けたかった、みたいな。

ウォッチパーティでは「世界のマスコット」という称号まで飛び出したんですが、確かに彼は「世界のマスコット」と言って良い魅力を持っていてたまりません。

今作では目を開けながら眠る強烈さに加え、TWICEにハマってダンスまで披露してくれるというファンサービスっぷり。人によっては鼻血が出そう。最高に笑いました。

また物語は少し群像劇っぽく進む面もあり、主人公のテギル(と中華料理屋の面々)を中心に、怪しげな金貸しに就職した親友のサンピル、ボーイッシュなピンク髪の少女・ギョンジュ、そしてテギルが出ていった後の母の話といろいろ唐突に差し込まれ、やや入り込みにくい面もあります。

当然最終的にはそれらがまとまっていく作りにはなってはいるんですが、少々何を意図しているのかわかりづらい展開ではありました。

またこれはネタバレになるので詳細は書けませんが、終盤の展開についてはちょっと不満もあり、「だったらそれいらなくね?」みたいな思いに囚われたことも書いておきたいと思います。

マブリーにおんぶにだっこ

決して悪くはないんですが、マブリーの存在感に頼りきりで詰めの甘い面も感じられ、素材は良いのにもったいない、もう一歩だなという印象。

後半の展開が割とシリアスになっていくので、であればもうそっちに振っちゃったほうが良いと思うんですが…微妙にコメディに乗っかって楽しちゃっている部分もあり、なんだかんだ振り返ると勢い任せな話という気がしないでもないです。

これマブリーがマブリーでなかったらもう全然話が変わってくると思うんですよね。

やや厳しい言い方をすれば彼の魅力に甘えちゃっているというか。それでもそれなりに観られるから大したもの…ではあるんですが、その分話としてはもう一歩、弱さが見える話ではないかなと。

反面マブリーについてはもう必見なので、それこそ「世界のマスコット」っぷりを知る意味でも観る価値はあるでしょう。

まあ端的に言って“ズルい”。そんな映画。

ネタバレアップ!

個人的には「実はヤクザの親分だった」っていうのは余計かなと思いました。そこでいつも通りのマブリーに戻しちゃうのはもったいないんじゃないかと。

ワケアリはワケアリでいいとしてもヤクザにしちゃうのはひねりがなさすぎて…。社長との関係性をもう少し工夫していればもっとグッと来る話になったと思うんだよなぁ。

結局最後もサンピルの組織とマブリーが繋がっているのかと思いきやまったく関係なく、助けにも来ないのでじゃあマブリーいらなくね? っていう。

もちろん当人が解決したほうが良いに決まってるんですが、であればいよいよ「ヤクザの親分だった」設定は必要ないんじゃないか、と。彼がヤクザに戻った時点で主人公サイド(母とサンピル含む)と完全に分断されちゃって美味しさがないというか。

彼の人生も含めての「スタートアップ(再始動)」なんだとは思うんですが、とは言え終盤いきなりマブリーと主人公が無関係な話になってきちゃうだけに、やっぱりただのコメディリリーフでしかなかったような気がしてすごくもったいないなーと。

ベタかもしれませんがあそこはやっぱりマブリーが助けに来てくれる、って素直な展開で良いと思うんだよな…。お母さんが急にコメディっぽくバレーボールの経験を活かしたビンタをお見舞いして解決しました、って結構無理矢理なので笑っちゃいましたけど。

どう考えても「裏社会の構成員」っぽい金貸しをビンタで解決し、おまけに割とさっくりやめられちゃってる(サンピルもその上司も)のも急に雑になった気がしたし、ピンク髪女子の揉め事もウヤムヤなまま唐突なハッピーエンドっぽくなってるしで…もうちょっと丁寧さが欲しいなと思いました。

このシーンがイイ!

これはもうやっぱりマブリーが踊るシーンでしょう。ズルすぎる。

あとはお菓子パクついてるのもズルいし、ビンタするためにのしのし歩いてくるのもズルいし、笑い方までズルい。いろいろズルかった。

ココが○

マブリーファンは必見レベルのコメディっぷりは間違いなく見どころです。もっとこういう役やってほしい。

ココが×

なんだかんだ結構バイオレンスではあるので、それが苦手な人は多少の覚悟が必要でしょう。女子に対して結構ひどいシーンもありました。

MVA

当然ながらマブリー…と言いたいところですがベタすぎるしズルすぎるしで今回はこの人にします。

キム・ジョンス(コン社長役)

中華料理屋の社長。

この手の話だとこの人はあんまりいい人ではないのでは…と思ったらめちゃくちゃ優しくていい人なんですよね。そして終盤明かされる過去がまたグッと来る。

地味な脇役ではありますが、その優しい存在感がとても良かったです。

あとテギルのお母さんもよかったなー。綺麗で芯が強そうな感じが。

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