映画レビュー1181 『中国超人インフラマン』
今回もJAIHOです。
特に観るつもりもなかったんですが、「カルト的人気を誇り…」とか書かれるとつい観ちゃう悪い癖。
中国超人インフラマン
ホア・シャン
ニィ・クアン
ダニー・リー
ワン・シア
テリー・リュー
ユアン・マンツー
ブルース・リ
チェン・ユン・ユー
1975年8月1日 香港
88分
香港
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

すべてが愛おしいチープさにツッコミまくりの90分弱!
- 怪人 vs ヒーローというおなじみの特撮映画
- パクリやらオマージュ(?)やらがふんだんに取り込まれた何でもアリの亜流ウルトラマン&仮面ライダー
- 香港映画なだけに一般隊員もカンフーがキレッキレ
- とにかくゲラゲラ笑える最高のエンタメっぷり
あらすじ
いやぁ衝撃でした…ものすごく面白かったですよ…。バカにした意味ではなく、純粋に娯楽として楽しめました。もちろん笑いについては意図したところとはズレてる部分も多いんだろうとは思いますが、それにしたって面白すぎたので大満足です。翌日即座に2度目の鑑賞に至ったぐらい面白かった。
ある日震度12の大地震が発生。街中がパニックになる中、「氷河期より地球に存在しつつ今になるまで潜伏していた」という氷河魔族が、氷河魔女に引き連れられ復活。人類に対し宣戦布告し、地球人との全面戦争に突入します。
地球側の防衛の鍵を握るのは香港にある科学研究所。そこでは所長のドン教授がかねてより改造人間の研究をしていたため、この危機を乗り越えるべく、優秀な所員であるレイに改造を施し「インフラマン」として怪人たちに対峙します。
しかし氷河魔族も所員の1人をスパイに仕立て上げ、インフラマンの設計図を盗み出して弱点を探ったりとなかなか狡猾。果たしてインフラマンは人類を救うことができるのか!?
ツッコミどころ満載でずっと楽しい
もーね、オープニングの「震度12の大地震」の時点で大爆笑ですよ。普通に滅ぶと思うんですけど。
当時の特撮モノ、ウルトラマンやら仮面ライダーやらのエッセンスがあちこちに散りばめられ、また実際制作に日本人スタッフも関わっているとのことで「ウルトラマンリスペクト」な映画なんだろうと思いますが、その辺に詳しくもない自分でも大変楽しめました。
これが正しい楽しみ方なのかどうかはともかく、まずとにかくツッコミどころが満載。
改造中にピコピコオーバーラップするインフラマン状態のハリボテ感のチープさたるや最高です。その他研究所内のチープさも70年代らしくて良いですね。
変身シーンでは怪人を目の前に捉えながら必ず空を飛ぶシーンが挟まってまず爆笑。どこに飛んで行ってるんだよ!
池近くでのバトルではインフラマン・怪人ともに自ら池に飛び込むサービス精神! 素晴らしい。
何死にしたのかよくわからないまま消えていく怪人がいたり、怪人の運転でボートに乗る所長であったり、もうあらゆるシーンが飽きさせません。
そもそも「秘密裏に研究していた」はずのインフラマンが初出の時点で隊員たちに「インフラマンだ!」ってご存知感出してくるのも爆笑ポイントです。
戦闘シーンこそカンフーを見せたいからか結構長めにやってくれるんですが、ストーリー自体は割とサクサク進むし終始ツッコミどころ満載のためまったく飽きること無く最後まで楽しめます。本当にかなり笑いました。
笑っちゃうのはひどすぎて、というのも確かにあるんですが、とは言え大真面目にちゃんと作ろうとしているものなのは伝わってくるし、結果的に笑っちゃうんだけどバカにするような笑いではなく、言ってみれば“愛すべき笑い”って感じなんですよね。ものすごく愛おしい映画でした。
これが例えば「狙って作ったB級」的な映画だったら監督の「どうだひどいだろう笑えるだろう」って顔が見えてきちゃって笑えないんですが、この映画はちゃんと全力で特撮を作るぞ! と頑張っているのが伝わってくるので、これぞ正しいB級(もしかしたらC級かも)映画の良さだなと感じ入りましたよ。
また「さすが香港映画」とでも言うべきか、雑魚っぽい所員&ショッカー的な敵の戦闘員も普通にいい動きでカンフーするのも見どころ。中でも(雑魚ではないですが)怪人がキグルミ着たままカンフーで応戦するシーンもあり、格闘シーン自体もなかなか魅せてくれます。
むしろ主人公であるインフラマンの方が後出しでどんどん必殺技を使ってくるためになんなら卑怯じゃねーか感すらあり、その辺の節操の無さもまた美味しさにつながるという「面白いから何してもいいよ」状態で大変楽しみました。
もちろん詳細は避けますが、ラスボスとの戦いもくどいぐらいに繰り返されるとあるシーンが笑っちゃって最高でした。
ショウ・ブラザーズの映画は良いぞ
こればっかりは観てもらわないと良さ(あるいは悪さ)が伝わらないので、もうぜひ観てねとしか言いようがありませんが、確かに「カルト的人気を誇る」のも頷ける、とにかく愛おしい映画でした。
一部楽曲の無許可使用があったりと問題もある映画のようですが、しかしその熱意は今になっても伝わってくる良さがあり、ところどころやりすぎちゃう点も楽しめました。
続編あったら観たかったなぁ。ちなみにこの映画の配給元であるショウ・ブラザーズはこの時代の香港映画を牽引した偉大な映画会社だそうで、この前の「釣金亀」もショウ・ブラザーズによるもの。
この時代の香港映画はショウ・ブラザーズを追っていけば間違いない…のかもしれません。また一つ賢くなりました。
このシーンがイイ!
終盤ですが、バイクを怪人にぶつけるシーンが一番爆笑しましたね。カンフーでもヒーロー技でもないバイクでなんとかするっていう。もう最高すぎる。
あと巨大化シーンの一連もやっぱり最高。踏み潰すのもめちゃくちゃ笑ったけど、その前に変電所みたいなところに怪人を放り投げるのも一般への被害をまったく配慮してなくてめちゃくちゃ笑いました。迷惑すぎる。
ココが○
これほど笑える映画もなかなかありません。良すぎる。全シークエンス面白かったですね。言い過ぎですけど。
ココが×
まあ話としては当然お決まりのパターンではあるのでそこには期待しない方が良いでしょう。そういう映画でもないし。
MVA
ブルース・リーのそっくりさんの“ブルース・リ”が出ていますがそんなに似ていなくてこれもまた笑いました。笑うポイントが多すぎる。
正直誰でも良いっちゃ良いんですが、この人にしましょう。
ワン・シア(教授役)
地球を守るキーマン。割と早めに死ぬかなと思って観ていましたがかなりの重要人物でした。
必死に改造を施す熱演も光ります。ほんのり漂うコント感。そこも含めてまたいい。