映画レビュー1588 『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』
(だいぶ時期がズレましたが)「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー公開記念・実写版も時々でいいから思い出してください企画」として伝説のこちらの映画を観ることにしました。
こういうニッチな映画もあるからU-NEXTはやめらんねえぜ…!
スーパーマリオ 魔界帝国の女神
ロッキー・モートン
アナベル・ヤンケル
エド・ソロモン
パーカー・ベネット
テリー・ランテ
ボブ・ホスキンス
ジョン・レグイザモ
デニス・ホッパー
サマンサ・マシス
フィッシャー・スティーヴンス
リチャード・エドソン
フィオナ・ショウ
フランチェスカ・P・ロバーツ
ダナ・カミンスキー
1993年5月28日 アメリカ
105分
アメリカ
U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

単体映画としては言われるほどひどくない。
- 「スーパーマリオブラザーズ」初の、そして2026年現在唯一の実写映画作品
- 今は大量に存在するアメリカ映画史上初のビデオゲーム実写映画化作品でもあるらしい
- マリオ映画としては中途半端、ただ単品映画としてはそこまで悪くない
- 今観ると出ている人たちもなかなか豪華
あらすじ
なにせやたらと黒歴史扱いされる映画なので、これまたアチーブメント的にネタとして観ることにしたんですが思っていたより全然マシでした。やはり食わず嫌いは良くない。
ニューヨーク・ブルックリンで配管工として事業を営むマリオ(ボブ・ホスキンス)とルイージ(ジョン・レグイザモ)の兄弟。
ひょんなことから知り合ったデイジー(サマンサ・マシス)に一目惚れしたルイージは彼女と親しくなっていきますが、彼女は出自に秘密があり、ブルックリンの別次元に存在する地下世界の支配者・クッパ(デニス・ホッパー)から狙われていました。
ある時一緒にいたところを連れ去られたデイジーを追いかけ、次元の狭間から裏世界的なダイノハッタンへ入り込んだマリオとルイージは、デイジーを取り戻すためにクッパと対峙しますが…あとはご覧くださいませ。
決して悪くはない
ここに来てマリオが映画として大きなIPになってきているわけですが、その際に必ず引き合いに出されるのが「実写版のことは忘れろ」的な扱いにされるこの映画です。もう公開当時から散々言われていたので僕としても相当なクソ映画なんだろうと震えておりましたが、観てみたところ全然まともでした。
もちろん「めっちゃ面白い!」というわけでもなく、ハードルが低かったが故に「え、全然良くない?」と印象が良くなったという…パンチパーマにグラサンの怖い人がしょうもないギャグ言ってきたから思わず笑っちゃった、みたいなギャップのおかげで評価が上がった面は否めませんが、1990年代らしい今からすると愛おしく感じるような絶妙なチープ感に、ちょっとだけ「インディ・ジョーンズ」シリーズっぽさを感じさせるようなギミック感はなかなか飽きずに楽しませてくれました。
マリオの映画なので子ども向けではあるし、さすがに今あえていい大人がわざわざ観るような映画でもないのは事実ですが、ここまでコケにされるほどひどい映画とは到底思えず、やっぱり観てみないことにはわからんなとしみじみ思いましたね。
今後観てもいないくせに「マリオは実写版がさ〜w」みたいにネタにしてくるやつがいたら階段に呼び寄せてから積極的に踏みつけて1UPしていきたいと思います。
ただ、やはりとは言え「マリオの映画化作品」なので、スーパーマリオ好きの人が観てひどくガッカリしたのは想像に難くないぐらいには設定の扱いや“マリオっぽさ”が中途半端で雑な面は否めません。
まず入口の時点で「なんでピーチじゃなくてデイジーなんだよ」と説教から始めなければいけないというのは誰しもが思うことでしょう。いきなり変化球すぎる。
なんならマリオはピーチのピの字もないダニエラとかいうセクシー系美女といい感じですからね。笑いますよこんなの。
勝手な憶測をすれば、主演(マリオ)のボブ・ホスキンスに追いかけさせるよりかは(ビジュアル的にも若い)ジョン・レグイザモ演じるルイージに恋愛させた方が無理がない=デイジーという流れなんだろうと思うんですが、それにしてもいきなり「原作を軽んじてる」と思われても仕方がないかなと。
その他の世界観という部分においてもかなり中途半端で、「(こっちの世界は)キノコの菌が悪」みたいな設定も出てくるもののキノコそのものはさして意味もなく当然デカくなったりもしないし、悪役の名前こそクッパなものの亀ではなく恐竜だったりといろいろと改変されていて「コレジャナイ」感も相応にあります。
舞台にしても完全オリジナルで「マリオのステージっぽさ」はまったくないので、それがハリウッド映画として観るのであればいいじゃんと思えるんですがマリオの映画として観ると微妙になってしまうのは確かでしょう。
時代を経た今になって観てみれば、この映画は「スーパーマリオの映画化」ではなく「スーパーマリオを原案にしたハリウッド映画」なのだなとわかるのでこれはこれでアリかもしれないと思うんですが、当時はそんな解釈はよほどこの映画に寄り添った擁護派でもなければまずしなかっただろうと予想されるだけに、酷評されてしまったことにもまた納得できるものがありました。
今遠くから「解釈の違いが良くわからない」と言っている声が聞こえてきましたが、そもそもマリオに限らず「原作のあるハリウッド映画」は原作とは別物というのは本当によくある話なので、その文脈と同じものと捉えればわかりやすいのではないでしょうか。例えば「オール・ユー・ニード・イズ・キル」とか。まるで違うらしいですからね。(原作未読ですが)
要は「ハリウッドはこういうことをしてくるよ」ということです。原作そのままで作ってこないよと。
その辺がわかっている人であれば「まあハリウッドならこういうマリオにしてもおかしくないよね」と思えるのではないでしょうか、みたいな。
もっともそれと「ハリウッドはそういうところなので忖度した評価にしてね」と言うのはまったくの別問題なので、この作りを見て非難するのもまた自由ではあります。
ただ観ないでネタとして「実写版ひどかったしww」とネタっぽくしちゃうのは違うんじゃないのというお話です。
マリオ映画として評価するものではないかも
まだ新作の方は観ていませんが、前作の「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は確かに任天堂全面バックアップでこれでもかとマリオっぽい世界に小ネタも満載だったので、あの映画と比較すると「これがマリオかよ」となってしまうのもわかるんですが、僕のような天邪鬼は逆にアニメ版のマリオにかなりあざとさを感じた部分があったので、逆にこの実写版の方が「映画らしい」と言える気はしました。
面白いか面白くないかはまた別問題ですが、少なくとも実写版の方がアニメ版よりも端的に言って“鼻につかなかった”のは事実です。
ただアニメ版のレビューのときも書いた気がしますが、そもそもターゲットが「おまえじゃない」という話なので、僕が鼻につこうがつくまいが子どもたちが喜ぶのであればそれが“マリオの映画としては正解”だし、子どもたちがガッカリしたのであれば実写版は失敗と断じて良いんでしょう。
なのでまあアレですね、この映画は早い話が「映画好きが“そういうもの”として観る分には悪くない」程度の評価に落ち着く映画ではないでしょうか。
世間で言われるほどひどくはないし、かと言ってマリオ映画として良く出来ているわけでもないし、数多あるハリウッド映画のキッズムービーの1本としてそれなり、というところかなと。
このシーンがイイ!
踊っちゃうシーンはバカバカしくていいですね。
あとエンディングがいかにも続編匂わせなのが悲しい…。
ココが○
誰が出ているのかも知らなかったので結構びっくりしたんですが、ボブ・ホスキンスとジョン・レグイザモがマリオとルイージを演じ、クッパはデニス・ホッパー、クッパの相棒(愛人?)がフィオナ・ショウとなかなかのメンバーなんですよね。
ちなみに余談ですがヒロインのサマンサ・マシスはあのリヴァー・フェニックスの最後の恋人だったことでも有名とのことで、その辺含めてなかなか豪華だなと。
ココが×
途中でお色直し的に服を着替えてくるシーンがあるんですが、マリオが黄色、ルイージが赤の服で出てきて思わず「なんでやねん!」とつっこんでしまいました。そこは赤と緑だろ!
その後ようやく例の衣装的な赤と緑のツナギ服で登場するんですが、別にそこ引っ張るところじゃないし普通に色味は揃えて出てくればいいと思うんですよね。
そういう感じで詰めの甘さが感じられる点はちょこちょこありました。
MVA
正直誰でもいいっちゃいいんですが、こちらの方に。
デニス・ホッパー(クッパ役)
言わずとしれたラスボスです。
まあもう「デニス・ホッパーがクッパやってる」ってだけで映画好きからすればすげーな、って話ですよ。全然クッパ感無かったけども。
クッパのキャラクターもまったくコミカル感のないただの暴君だったのでその辺も不満が出そうだなと思いつつ、でもデニス・ホッパーだよ!? と思うわけですよ。ようこんな役やってくれたなと。
なんだかんだしっかり演じていたと思うし、本人にとっては黒歴史かもしれませんがありがとうございましたということで。

