映画レビュー1079 『スーパーバッド 童貞ウォーズ』
今回もネトフリ終了間際シリーズです。ハイ。
去年のなんプロアワード1位の「ブックスマート」はこの映画の女子版だ、という話を結構見聞きすることが多かったので、であれば観ようじゃないかということで。
スーパーバッド 童貞ウォーズ

セス臭強めな分、ブックスマートよりもだいぶコメディ寄り。
- 高校卒業パーティーでそれぞれ童貞を捨てるべく奮闘する3人の青春コメディ
- 出演・脚本・製作総指揮のセス・ローゲンっぽさが溢れる下ネタ感
- 警官がひどすぎて笑う
- エマ・ストーンの映画デビュー作だよ!
あらすじ
間違いなく面白いんですが…ビミョーに乗り切れない感じがあり、期待ほどではなかったかなと言うところでしょうか。時代的なものもあるかもしれない。
高校卒業を間近に控えたセス(ジョナ・ヒル)、エヴァン(マイケル・セラ)、フォーゲル(クリストファー・ミンツ・プラッセ)の3人は例によって童貞であり、「卒業までにそっちも卒業するぞ」と息巻いているおなじみの感じです。
それぞれ狙いの女子はいるんですが、のっけから「友達以上恋人未満」な感じの存在がいるエヴァンを除けばこれまた例によってあまり芳しく無く、停滞状態。
しかしある日家庭科的な授業で(超かわいいのになぜか)一人だったジュールズ(エマ・ストーン)とコンビを“組まされた”セスは、授業終わりにジュールズ主催の卒業パーティーに誘われます。
いかにも女子を遠ざけそうな“非モテキャラ”のフォーゲルはほっといてエヴァンと二人で参加するつもりだったセスですが、そのフォーゲルが「完璧な偽造IDを作ったから酒を買うにも困らない」とアピールしてきたことでやむなく彼も誘い、酒をしこたま仕入れた後にパーティーに乗り込む計画に。
しかしフォーゲルが持ってきた偽造IDはいろいろとツッコミどころ満載、どう考えても無事進行する気配がない状況ですが、果たして…。
「ブックスマート」とは似て非なるもの
さすがに似ていると言われているだけあって、大まかな流れは「ブックスマート」と同じような形。ちなみに主演のジョナ・ヒルは「ブックスマート」主演のビーニー・フェルドスタインのお兄さんです。体型とか表情とかやっぱり似てる。
あっちはあっちでかなり下ネタも多かったとは思いますが、とは言えだいぶ“エモさ”や“新しい価値観”の描き方に力を入れていて、同時に数人のクラスメイトたちのキャラクターもしっかり描いていたのが印象的でしたが、こっちは(それよりも古い、言わばプロトタイプ的な映画ということもあって)もっとストレートにコメディ寄り、最後にちょろっと綺麗にまとめるという…こう言っちゃあなんですが「よくあるコメディ」のフォーマットに則った映画です。さすがに「ブックスマート」で感じたような“昇華”された、一皮むけたような見事さは感じられませんでした。面白いんだけどね。
ただまあこれは当然と言えば当然で、作られた年代が「ブックスマート」よりも一回り昔ということもあるし、そもそも「童貞3人組」という設定から来る方向性も影響してはいるでしょう。目指すものが違っただけで、どっちが優れているとか劣っているという話ではありません。
むしろこの映画を踏まえて「ブックスマート」が作られたことを考えれば、この映画の功績も少なからずあるわけで、そういう意味ではこの映画もまたお見事です。くだらなかったけど。
まあどうしても思春期の男が「童貞捨てるぞ!」となったらそりゃ品もないしコメディにもなるわけで、「ブックスマート」とこの映画の作風の違いはそのまま男女の(物語上の扱いの)違いもあるし、やっぱり何よりも時代の違いがかなり大きいと思います。この頃に「ブックスマート」を作ってたらもしかしたら進みすぎて評価されていなかった可能性もあるぐらい、あの映画はかなり「時代」というものに良くも悪くも左右される映画でしょう。
反面こっちの映画は割と普遍的な“男の単純さ”をそれらしく描いている分、あまり時代を選ばない映画なのかもしれません。多少今観るとアウトかな、というような部分はありましたが、それでも結局男なんていつの時代もこんなものだし。
ただそんな感じであーだこーだ言ってはいますが、最終的には「セス・ローゲンがいるかいないか」の違いだけのような気もする。
こっちはまあ「セス・ローゲンっぽいなー」という品の無さ、くだらなさがどストレートに出ているので、その言わんとするところがわかる人であれば、もうその時点で好き嫌いは判別できるのではないかなと思います。
特に彼自身が(ビル・ヘイダーと共に)演じている警官がまあひどすぎて、この当時ですら大問題になるであろうバカすぎ警官なんですがそこがまた面白くもあり、やっぱり「ブックスマート」とは似て非なるもの、違うジャンルの映画だなと思います。
エマ・ストーンのデビュー作
それとやはり触れずにいられないのがエマ・ストーンですよ。
今や名実ともに世界トップクラスの女優の一人だと思いますが、彼女の映画デビュー作ということでそれだけでかなり価値が高い。しかもちょい役ではなくヒロインですからね。
見た目は今とあんまり変わらず、10代とは思えないぐらいに完成度の高いルックスをしてますが、でもやっぱり今の方がかなり綺麗になっている気がするし、プロトタイプ感はありました。かわいいけど。
演技としても少し控え目な感じはあって、欠点はないもののエマ・ストーンらしい良さのようなものは少し弱めな気がします。そこが逆にレアな感じ。
ちなみに眼鏡の童貞フォーゲル役を演じたクリストファー・ミンツ・プラッセもこれがデビュー作で、彼はこの後「キック・アス」2作で悪い子を演じています。
端的に言えば「コメディとしては十分面白い、ただそれ以上のものではない」という感じでしょうか。
どうしても比較対象が良すぎた(なにせ去年の1位に選んだぐらいですからね)ので少々辛めの評価にはなってしまいましたが、好きな人はかなり好きな映画だと思います。その上エマ・ストーンのデビュー作なので、一見の価値はアリかなと。
このシーンがイイ!
一番笑ったのはセスが車に轢かれるシーン。ジョナ・ヒルの轢かれっぷりが最高。
ココが○
まあもう本当にバカバカしいですよね。特に警官の二人が。そこが良い。振り切っちゃってるのが。
ココが×
男の欲望丸出し系なので、果たして女性が観てどう思うのかは微妙なところ。男女で支持率にかなり差がありそうな気がする。
MVA
どの人も良い意味でひどかったんですが…結局この人かなー。
ジョナ・ヒル(セス役)
主人公。もう車の轢かれっぷりの良さに選出したようなもんです。
彼は「ブックスマート」と違ってそんなにクラスメイトと距離がある感じでもないんですよね。一部でいじめられてはいましたが。
人を惹きつける魅力を感じる面はあったし、やっぱりなんだかんだジョナ・ヒルいいよねということで。


