映画レビュー1148 『スウィング・キッズ』
例によってJAIHOです。っていうか今後は多分かなりの割合がJAIHOになります。そのために入ったわけだし。
ただこの映画は他の配信にもあったりするので、興味があったらぜひチェックしてみてください。
スウィング・キッズ

コメディとシリアスのバランスが絶妙。
- 国も性別も年齢もバラバラなタップダンスチームの話
- 戦時下故に戦争の影もうまく織り込んだダンス映画
- 各人の家族やドラマの入れ方もお上手
- 一部急すぎる部分もあり少々惜しい気も
あらすじ
これはいわゆる「誰が観ても一定以上は楽しめる」打率の高い映画だと思いますね。非常にこなれた良い作りの映画だと思います。
舞台は1951年、朝鮮戦争下の捕虜収容所。かなり規模は大きいようです。
この収容所に新たに赴任したアメリカ人所長(ロス・ケトル)は、収容所の対外イメージアップのため、ダンスが得意な元タップダンサーのジャクソン(ジャレッド・グライムス)に「捕虜たちから選抜したダンスチーム」の作成を命じます。
早速オーディションを開くも話にならない捕虜ばかり…だったものの、それなりに動けて意欲もある2人のメンバーを選出、さらに通訳を担当していたヤン(パク・ヘス)も参加させることに。
加えてなんやかんやありつつ収容所のトラブルメーカーで“英雄の弟”として有名だったロ・ギス(D.O.)も参加することになり、結果「北朝鮮人の英雄の弟」「太った中国人兵士」「民間人おっさん」「通訳女子」「アメリカ人兵士」のあらゆる属性がバラバラなチームが誕生。
ゆくゆくは収容所を出てツアーに出ることを夢見て練習に励む面々。しかし彼らチームにも当然戦争の影響は及んでくるわけで…果たしてこのダンスチームの行く末はどうなるんでしょうか。
入口の軽さでうまく感情移入させてくれる
捕虜たちによるチームの結成と言うことで、この手のテーマは僕もいくつか観てきました。パッと思いつくのはサッカーチームの「勝利への脱出」、アメフトの「ロンゲスト・ヤード」、楽団の「ファニア歌いなさい」辺り。
それだけ捕虜たちの士気高揚だったり対外的なイメージアップだったりに利用しやすく、同時に映画にしやすいんでしょうね。この映画もその流れに沿った内容になっています。
特に目的からして「ファニア歌いなさい」に近い気がしますが、あの映画の終始暗い雰囲気とは違い、こっちは程よく笑いも混ぜつつ戦争の悲惨さもきちんと描くバランスの良さが魅力的な映画と言えるでしょう。
僕は最近韓国映画を観る機会が増えたんですが、本当にこの辺りの「コメディとシリアスのバランスの良さ」が上手い映画が多いなと思います。入口は軽めのタッチで入り込みやすくしつつ、終盤に向けてシリアスで不可逆的なお話に転化していき情感を高めるような。
この映画はまさにそんな感じで非常に巧みな作りだし、あらゆる面で過不足がない作りの上手さを感じます。それは読みやすいベタさにもつながってはいるものの、きっちり感情移入させてくれるのであまり気にならないのもお上手。
ここ最近の感覚では、ガッチガチのベッタベタで「またこれかよ」と思っちゃうハリウッド映画よりも一歩先に行っているような「やりきる」良さが感じられ、いやはやさすが韓国映画は勢いがあるなと妙に感心した次第です。
いろんな人にオススメしやすい
またテーマがダンスなだけに、同じようなテーマでスポーツメインの映画よりも動きの良さもあるし何よりかっこいいのがポイント。
僕はタップダンスなんて「昔はよく見たな」ぐらいの印象だったんですが、まーかっこいいんですよ。キレッキレで。
当然ながらその見せ方も魅力的なのでタップダンス自体への興味も膨らむし、他のテーマ以上に“チーム感”が出るのもすごく良い題材だと思います。
国籍も性別もイデオロギーもバラバラな面々が一体になってタップダンスを踊る、そこにはやっぱり世界平和に対する願いのようなものも込められている気がするし、主人公が北朝鮮人であることからも南北統一への思いも透けて見えます。
綺麗事の理想論かもしれませんが、やっぱりこういう創作物である種“啓蒙”していくのは大事なんじゃないかなと思うんですよね。
アメリカの場合はそのプロパガンダが直接的過ぎて醒めちゃう映画も多いんですが、この映画はあくまでフレーバーとして「こういう世界の方が良いでしょ」と感じさせてくれる辺りがこれまたお上手だなと思います。
と言うことで総じてあまり欠点のない良作だと思うので、気軽に観てみても良いんじゃないかと。
一応は戦争映画ですが、戦争映画としては観やすい作りだし、とは言えきっちり戦争の意味についても考えさせられるしでいろんな人にオススメしやすい映画だと思います。良い映画でした。
このシーンがイイ!
終盤のステージシーンはやっぱりめちゃくちゃ良かったですね。うまくなったなぁ、って感慨もあって。
ココが○
笑いあり涙(?)ありで感情を満たしてくれる良さ。
本当にいろいろ上手くて観やすいので、戦争映画としてまず最初にオススメしても良いぐらいだと思います。
ココが×
「えっ、急じゃない?」みたいな場面が2度ほどあって、そこだけ少し気になりました。急展開すぎる、みたいな。
特に最終盤はもう少し先を知りたかったなと…。
MVA
紅一点のパク・ヘスがどんどんかわいく見えてきて困ったわけですが、しかしチームメンバーみんな良かった。
太った中国人兵士を演じたキム・ミノのかわいさも捨てがたいんですが、この人にします。
オ・ジョンセ(カン・ビョンサム役)
生き別れた妻を探す民間人のおっさん。
地味な脇役ではあるんですが、彼の奥さんへの思いだったり演技だったりがすごく良くて、この人がいなかったら少し平坦になったんじゃないかなーと思います。地味ながら重要な脇役の典型例と言う感じ。


