映画レビュー0383 『96時間/リベンジ』
前作はなかなか面白かったんですが、まさか続編をやるとは思っておらず、初めて知った時はびっくりしたわけですが、なんでびっくりしたのか…も含め、レビューしてやろうかと。
96時間/リベンジ
アクションまずまず、ストーリードイヒー。
あの「24」のジャック・バウアーを超えた…と一部で思われていたスーパーオッサン(元)工作員、ブライアン。彼に復讐を企てようと組織の魔の手が忍び寄り、そこからどう脱出するのか、さらに今回は娘に加えて元妻までも巻き込まれ、果たして両方救えるのか…というミッションの物語。
まず、なぜ「続編が出来ると聞いてびっくりした」のかというところから書きますが、前作の何が良かったって、もう完全に開き直って振り切った作りをしていた、その一点に尽きると思うんですね。
最強で躊躇なくテロリストを殺していくオヤジに清々しさすら覚えたわけですが、当然続編もまったく同じパターンで作るわけには行かないはずなので、となると前作のオリジナリティが消されて、つまらないただの二流アクション映画になるんじゃないか…と思ったわけです。
結果、その予想以上にどうしようもないストーリーになっていて、こりゃーいただけませんな、と。
まず単品映画で観た場合、「元CIA工作員」だとか協力者のサム(僕もイマイチ覚えてません)だとか、基本情報はまったく触れられておらず、もうカンペキに「前作を観た人向け」の映画になっているので、こっちから入るとサッパリわからないことだらけなのは間違いありません。つまり、前作ありきの映画。復讐する組織も前作絡みだし。
その不親切さは、おそらく余計な説明を省いて、前作の良さの一つであるスピーディーな展開を狙ってのことだと思うんですが、その部分はある程度狙い通りに行っているでしょう。ただ、いかんせんスピード云々以前に、ストーリーがもう決定的にだらしない。
細かいところを挙げるとキリがないんですが、まあ一番ひどく、誰が見ても違和感を覚えるであろうシーンとしては、ブライアンがテロリストに銃をつきつけられながら、なんと娘に電話をかけて「今すぐ逃げろ」って話をするんですが、その電話が終わるまで待ってくれてるんですよ。テロリスト。しかもご丁寧に「早く出ろよ!」みたいなシーンまで差し込まれて。もうこれは…口開いちゃいましたね。あんぐり。外部との連絡を許可するテロリストなんてどこにおんねん、と。
積年の恨みを晴らすべく拉致した男に対する監禁中の監視体制も緩すぎるし、テロリストに緊張感が無いというか、主人公に都合が良すぎるというか。
あとはやっぱり、前作との違いを出そうとしているためか、前作のようなシンプルイズベスト的な一直線の展開ではなく、微妙に込み入った感じにしようとしているのがまったくの逆効果で、やっぱり予想通り前作の良さを消す続編になってたな、と。
それもすべてはシナリオのお粗末さに現れているわけですが、なぜ「違うことをやろうとしてダメなシナリオ書いちゃった」ことに気付かないのか…。
前作の評価に対するリサーチ不足と、前作がうまく行ったから適当に儲けてやるぜ感が透けて見える残念な続編モノです。
一発で終わっていれば綺麗だったのにね…。もったいない。
このシーンがイイ!
タクシーでのカーチェイスは純粋に迫力があってよかったですね。アクションとしてのデキはなかなかじゃないかと。
ココが○
ちょっとごまかし的な編集っぽくはあるんですが、速いカットの連続はやっぱり迫力もテンポもあっていいですね。ここまで速割の続く映画は結構珍しい気がします。これはこのシリーズの特徴だろうし、アクションとしてはまずまずではないかと。
ココが×
まあやっぱりシナリオですよね。ちょいちょい「えー」ってところが出てきます。コワそうな組織のくせにあちこちで抜けすぎだろ、とか。なんでそこで殺さないんだよ、とか。アラを言い出したらキリがない感じが。
あと前作同様、娘がちっともかわいくない。
MVA
ザンダーさんすら出てこなくなっただけに、選択肢は非常に限られてしまい。娘かわいくないし。(2回目)
ということで。
リーアム・ニーソン(ブライアン・ミルズ役)
ここまで残念な映画になってしまうと、もはや「リーアム・ニーソンの無駄遣い」と言いたくもなりますが、まあでもやっぱりこのキャラ、強さが似合う。かっこいいしブイシー。
もうこのシリーズはもう一度、同じようにスカッとする開き直り映画で行ってよかったと思うんだけどなぁ…。3作目、あるんでしょうか。
。