映画レビュー0777 『あまくない砂糖の話』

[お知らせ]

悩んだ結果、サーバーをより良いプランに移行することにしたんですが、その移行作業が6月19日の火曜日に行われるそうなので、その頃一時的につながらなくなる可能性があります。

おそらくその日の夜、普通にドメイン設定すればそのままスムーズに移行できるとは思うんですが、万が一何かしらのトラブルでしばらく表示されない状態になるかもしれません。何せ勉強しつつの手探り運営なので、もし新プラン移行後のタイミングで表示されないようなら「ああトラブってんだな」と思ってください。先に書いておきますがやめません。

まあ見に来る人もほとんどいない(WordPressにしてアクセス増えるかと思いきやいまだに2ヒットの日とかあるよ)んですが、一応お知らせしておきます。

さて今回の映画ですが、これも劇場公開時からずっと観たかった(しょっちゅう言ってる気がする)ドキュメンタリー映画なんですが、ネトフリにあるのを知りつつも観ると後戻りできないような怖さを感じてなかなか踏ん切れずにいました。が、これまた配信終了が迫ってきていたので意を決して観ようじゃないか、と。

ちなみに劇場公開日は「2015年2月」までしかわからなかったので、便宜的に1日にしています。

あまくない砂糖の話

That Sugar Film
監督
デイモン・ガモー
脚本
デイモン・ガモー
出演
デイモン・ガモー
音楽
ジョジョ・ペトリーナ
公開
2015年2月1日 オーストラリア
上映時間
90分
製作国
オーストラリア

あまくない砂糖の話

糖質制限食で暮らす男が、ヘルシー食を中心に「世間一般の1日の糖質平均摂取量を摂る」生活を2か月送ったらどうなるのかを実験するドキュメンタリー。

「知らない間に摂取している」糖質の怖さを思い知る。

8.0
「ヘルシー食品」中心に糖質を摂り続けるとどうなるのか
  • 糖質制限食からヘルシー加工食品中心に変えたらどうなるのかのドキュメンタリー
  • わかっちゃいたけど直視しなかった現実を思い知らされる恐怖
  • 加工食品はなるべく控えましょう
  • 健康に興味がある人なら一度は観ておく価値アリ

(劇中では「糖質制限」とは明言していませんが)いわゆる糖質制限食で日々暮らしているオーストラリアの強そうな名前の俳優、デイモン・ガモーさんが、奥さんの妊娠を機に「糖質を摂り続けるとどうなるんだろう?」という素朴な疑問を自身の身体を使って実験するというドキュメンタリー。

奥さんの妊娠を機に、っていうのはアレね。生まれてくる子どもの食生活を考えた時に「(市販の)食品に対する知識が無いとまずいんじゃないか」というような親心的なアレね。偉いですね。

まず始めにお断りとして、「砂糖の話」と言いつつ当然ながらいわゆる精製された砂糖ばかりではなく、素材に元から含まれる糖類もカウントされているので、以下「砂糖≒糖質≒糖分」ってことで書いていきます。(厳密に言うといろいろ違うのかもしれませんが面倒なので各自適当に良い感じの解釈でお願いします)

さて、この実験の条件としては以下のような感じでございまして候。

  • チョコレートやアイスクリーム等のベタなスイーツは食べない
  • ジャンクフードのようなあからさまに身体に悪そうなものは食べない
  • 低脂肪やヘルシーをウリにしている食品を中心に摂取
  • 実験前から行っていた運動は同じペースで継続
  • 1日の平均摂取カロリーは変えない(2300キロカロリー)
  • オーストラリア人の1日における糖質の平均摂取量を摂る

このオーストラリア人の1日の平均的な糖質摂取量というのは160g、ティースプーン換算で40杯分という恐怖。「まあさすが欧米人、ってとこじゃないスかね」とハナホジ感丸出しで観ていましたが、一説によると日本人も大して変わらないそうです。恐ろしい。

で、その「日本人も大して変わらない」論拠の一つとなり得るのがこの「低脂肪やヘルシーさを売りにしている食品(もちろん飲料も含みます)を選んで摂る」点。これがものすごくポイントなわけですよ奥さん。

例えば日本でも大ブームを巻き起こし、定番朝食の一角を担うまでに成長したグラノーラのようなシリアル系食品。僕も食べていますが、ああいうものもかなりの糖質が含まれてんぞと。油断するなよと。

僕はそれにさらにヨーグルトをかけて食べていたりするわけですが、彼も同じくヨーグルトをかけて食べつつヨーグルトも油断するなよと。ビシッとね。キメてくるわけです。コエー。

ただこの映画で選んでいたヨーグルトは低脂肪をウリにした市販品、僕が食べているのは自家製の無糖ヨーグルトなので…必ずしも一致はしないと思いますが、ただ原材料である牛乳自体にも糖質は含まれているので、実際のところあんまり変わらないのかもしれませんコエー。

話が多少前後しますが、そもそもなぜ彼が「低脂肪」その他ヘルシーさをウリにした食品を中心に摂取することにしたのかと言うと、劇中でも語られる通り、かつて世の中では「身体に悪いのは脂肪なのか糖質なのか選手権」というような争いがあり、それに敗北した脂肪軍が悪者として世間から追いやられるようになったことで「低脂肪」その他をウリにする食品が増えてきた、というような経緯があるわけです。んで、果たしてその低脂肪、そもそもユーはミーのボデーにグッドなのかい? と。

あからさまに身体に悪そうなものを摂って「いやー太っちゃって太っちゃって角界入りしちゃおうかなー男で良かったわー」なんてバカみたいなドキュメンタリーを撮ってもしょうがない、というわけでもないんでしょうが、「普通の人々が身体に良いと思って摂っている食品」が実は…っていうのはやっぱりテーマとしてもイイじゃないですか。そこがこの映画のミソだぜ的な。

それでですね、ここからが重要なわけですが…低脂肪はそのままだとウマくないわけですよ。

そりゃそうです。塩分と糖分と脂肪分がウマイ、これは世の中の真理です。焼肉だってタレは甘いと相場が決まっています。脂肪(肉)+糖分&塩分(タレ)=ウマイ。

みんな大好き寿司だってそうです。脂肪(魚)+糖分(シャリ)+塩分(醤油)=ウマイ。サッパリ系の魚もあるじゃないか! タコとかどうなんだ! とかいちいち反論を書くのがめんどくさいのでその辺はスルーしてください。とりあえずそういうことになってるんですよ。世の中は。

そんなわけで脂肪だけ抜いたらウマくない…それをウマイと思わせるための救世主となったのが、脂肪軍に勝った糖質軍だった、というお話なんですよ奥さん。だからもう低脂肪でヘルシーのように見せかけて、味を整えるために糖質が大量に使われている食べ物がたくさんあるんやで、というお話です。

この「ヘルシーをウリにしている食品を中心に摂る」っていうのが素晴らしいアイデアで、早い話が「あなたたち騙されてますよ?」感がすごいんですよ。当然ながら食べている人たちが意識せずに過剰に摂取している糖質は身体に良くないぞ、というお話なので。その辺の「なぜ良くないのか」はぜひ観て頂ければと思いますが。

要約すると、「脂肪が悪者になったのでメーカーは低脂肪をウリにたくさんの商品を世に送り出してきたものの、それらは軒並み脂肪の代わりに糖質がふんだんに使われるものばかりになったので人々は知らない間に大量に糖質を摂取しているよ」という事実です。糖質軍の陰謀ッ・・・!

さらに困ったことに、糖質は依存性(中毒性)があり、断ち難いんですよね。劇中では「タバコ等と同じく」と表現されていて、嫌煙派としてはハッとしたわけですが…確かに「あー、甘いもの食べたいな」とかすぐ思っちゃいますからね。「食後は甘いもの食べないと終わらないなー」とか。何が終わらないのか不明ですが。休みの日なんてほぼ確実に食後はアイス食ってますからね。ええダメ人間です。

そんなダメ人間に鉄槌を下すかのような内容のこの映画、これは確かに一見の価値アリと言っておきましょう。

とは言えですね。いわゆる「(極端な)炭水化物抜きダイエット」も身体に悪い説があったりもするし、そもそも日本人たるもの米を食わずに生きていて何が楽しいんだバーロー派としては、あんまり極端に避けすぎるのも良くないんじゃないかなと思うわけですよ。もちろん個人の価値観の問題なんですが。

だからこの映画を観て「糖質は悪ね! キーッ!」とここぞとばかりになんでも避けるぞ、というのはちょっとやり過ぎだしそもそも難しいだろうと思うわけです。前にとある予備校に仕事で行った際、そこの丸々太った生徒さんが「今炭水化物抜きダイエットしてて唐揚げしか食って無いんスよー」って言ってたんですがあれはやり過ぎじゃないのと。ましてやお米パン麺類その他炭水化物大好き軍団員としては。

ただ、そこでこの映画(実験)のメッセージの秀逸なところが、やはり「糖質を摂るつもりではないのに摂っている」怖さなんですよね。要は加工食品にはかなりの糖質が含まれていますよ、という事実。

となると最終的には「無理せず炭水化物も摂ればいいじゃん、ただしちゃんと素材から自分で料理してね」が一番の答えなんじゃないかなと。

結局「手軽で美味しい」加工食品ばっかり食べていると無意識に大量の糖質を摂ることになって良くないので、できるだけ(焼肉のタレ的なやつではない)素の調味料を使ってきちんと生肉生野菜から料理を作った上で程々にご飯も食らって日本人の喜びを噛みしめるのが一番だな、という結論に至りました。あとはたまーにご褒美的にアイスとかチョコとかぐらいは許してやるぞ、みたいな。もう今となっては対決列島とか考えられませんね。何してたんだあの人たちと。ミスター! と。

ただその肉その他の素材にしても今度は「フード・インク」のような警鐘もまた頭に入ってきているわけで、どんどん選択肢が狭まってくる息苦しさみたいなものもあるわけですが…。まあその辺は個々人ができる範囲で何を選ぶか、という大きく言えば“生き方”の問題になってくるんでしょうね。

どうでもいい話なんですが、一応僕は「日本一甘い料理にうるさい人間」を自称していまして、甘い料理にめちゃくちゃうるさいんですよ。

例えばラーメンとか「甘くて食ってられねーよ!」みたいなのが結構あるんです。世の中。前に高田馬場で働いていた頃、某人気店の辛さが評判のつけ麺を食べに行ってあまりの甘さに頭に来ましたからね。こんな甘いの食ってられっか!! って。

そもそも糖質だなんだ言いながらラーメンなんて食ってんじゃねーよというご指摘もあるでしょうが、ラーメンぐらい食えないこんな世の中じゃポイズンなので許してください。

もちろん加工食品は大体甘すぎると思ってます。「これ美味しいよ」って聞いて食べたら大概甘すぎて憤慨してますからね。めんつゆとかも甘すぎるし、天丼もタレが甘すぎて食べられたものじゃないし、もちろん焼肉のタレも甘すぎる。極稀に連れて行かれる機会がある叙々●なんて肉は良くてもタレが甘すぎて興醒めですからね。

ビールも甘すぎて飲めないんですよ。苦いんじゃなくて甘い。(安い)ウイスキーも最近甘くてつらい。

まあそんなタイプなので、割と世間一般よりかは糖質とは遠い位置にいるような気はするんですが、ただ「最初から甘いもの」は大好きなので、その辺はやっぱりちょっと避けていくべきじゃないかなと改めて反省しました。スイッチを押したら喉からグミが出てくる身体にならないかな、とか願った自分を殴ってやりたい。

最後に、かつて僕がものすごくハッとさせられた一言をご紹介しておきましょう。

「人間は自分の口に入れたものから出来ている。自分の口に入れたもの以外からは作られない」

もう当たり前すぎる話なんですが、確かにそうなんですよね。自分で選んで食べたものからしか自分は作られないんですよ。当然1日2日では変わりませんが、何十年とコンビニ&外食の人と基本自炊の人とでは確実に違いが出てくると思います。この映画なんてたかだか2か月でもかなりの違いが出てましたからね。

改めてそのことを考えると、この映画にしても「フード・インク」にしても(「ありあまるごちそう」にしても)、こういう「自分たちが口にするものはどういうものなのか」という根源を知る話というのは生きていく上で確実に観ておくべき話なんじゃないかなと思います。

映画としても重々しいこともなく、軽く観やすい作りになっているのもグッド。一度は観ておいていいんじゃないでしょうか。

食生活を見直すきっかけになる、とても良いドキュメンタリーだと思います。

このシーンがイイ!

ドキュメンタリーなので特にこのシーンが、っていうのはないんですが…。実験後のガモーさんの身体が他人事ではない既視感のあるワガママボディだったのでそこがすごく刺さりましたね。

ココが○

とかく眠くなりがちなドキュメンタリーですが、軽いタッチで観やすいし時間も短いし、何より最も身近なテーマなので興味を持ってしっかり観やすい映画なのが良いんじゃないかと思います。

気軽に得られる知識源としても素晴らしいですね。これぞあるべきドキュメンタリーの姿かもしれません。カロリー重視なんてダイエット的にはもう古いんだろうなぁ。

それとあえて名前は伏せておきますが、某有名俳優さんもゲスト出演していてビックリ。思わず「えぇー!? この人出てくんの!?」って声が出ました。序盤に一回出てきて終わりではありますが、この意外なビッグスターも楽しみの一つと言って良いでしょう。その後のアノ人もビックリした。

ココが×

特に無いですね。ちょっとリア充感が鼻につきましたが僻みなのでスルーしてください。

MVA

まあ選ぶようなものでもないんですが、一応。

デイモン・ガモー(本人)

砂糖ぶっかけて食事しているシーンだけは相当しんどいだろうなと思って観ていましたが、それを除けばローリスク・ハイリターンな良い実験をやったなぁと感心。

着眼点も良いし、世界共通の関心事だし、名前も顔も売れて儲かっちゃってでウハウハでしょう。俳優さんらしいので、いつか他の何かの映画で観られることをお祈りしております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA