映画レビュー0639 『がんばれ!ベアーズ』

久々「午前十時の映画祭」上映作品。BSでやっていたので録画して観ました。

がんばれ!ベアーズ

The Bad News Bears
監督
マイケル・リッチー
脚本
ビル・ランカスター
音楽
公開
1976年4月7日 アメリカ
上映時間
102分
製作国
アメリカ

がんばれ!ベアーズ

弱小少年野球チーム「ベアーズ」の監督としてやってきた、元マイナーリーグピッチャーのバターメイカー。引き受けたは良いものの問題児揃いで超弱小、開幕戦は26対0で試合放棄。チーム解散を言い渡されたバターメイカーだったが、なんとかしてチームを立て直そうと、ある少女を連れてくる。

ダメ人間揃いなのが最高。

8.0

一応ジャンルの上ではコメディ映画とされていますが、そこまでベッタベタなコメディという感じではなく、この時代(70年代)に多かった(気がする)、子役中心の軽快なコメディタッチの人間ドラマという感じでしょうか。スポーツが題材らしい爽やかさもあって、いかにも懐かしい雰囲気。

主役となる元ヤンキース(だけどマイナーリーガー)のバターメイカーを演じるのは、往年の名俳優ウォルター・マッソー。そして彼がチーム立て直しのために連れてきた「速球とナックルボールを操る少女」が、あの名作「ペーパー・ムーン」で今なお(多分)アカデミー賞最年少受賞記録を持つ天才子役、テイタム・オニール。古い映画好き(要はおれだぜ)にとってはこれだけでたまらないキャスティングなわけですが、さらにこの映画でブレイクするも長い間停滞し、「ウォッチメン」で復活を果たしたジャッキー・アール・ヘイリーと、映画好きとしてはキャスティングだけでもなかなか楽しめる映画でございます。

「マイナーリーガーとは言え元プロ野球選手、野球を教えるにはうってつけだろ」と簡単な気持ちで…かはわかりませんが、弱小少年野球チーム「ベアーズ」の監督に連れてこられた男、バターメイカー。彼は彼でもう見るからにアル中の飲んだくれ、常に酒かタバコが口を支配しているというなかなかの御仁。おまけに子供相手でも普通にキレるってことで結構なダメ人間です。

チームメンバーも子供とは言え曲者ぞろいで、すぐキレる喧嘩っ早いやつもいれば、練習中もチョコレートを食い続け、やめろと言われればこれまたキレる困ったキャッチャーもいるし、おまけに英語がわからないスペイン人の子供も2人。さらにいじめられっ子もいれば、黒人少年もいます。

そう、彼らは言わばマイノリティの子供たちで、リーグで一番強いと言われる(少年)ヤンキースの全員白人とは好対照。そんな彼らが、歴史的な敗退からチームを立て直し、やがてリーグを席巻していく様を描く映画です。

ただ、そうは言っても彼らはずっとさしてうまくならず、足手まといは足手まといのまま、助っ人のおかげでなんとかリーグを戦えるようになるというような状況なので、「努力に次ぐ努力で強くなったぜ!」という感じでもなく、至って低速な成長ぶりが逆にリアルで良いですね。監督のバターメイカーも「俺はお前たちを強くするためにきっぱり酒をやめるぜ!」なんてことはさっぱりなく、むしろキレてビール缶を投げつけたりします。ひどい。

そんなわけで子供たちも監督も、特段心を入れ替えてがんばりますというような描写があるわけでもなく、ただその時に発揮できる力を最大限使って頑張るぞ、ってな雰囲気が良い。リアル。

普通に泣かせに行くなら、急に良い子になったり手を取り合ったりしそうなもんですがそれもなく、普通に「勝つためにあいつは出さないほうが」みたいな話も出てきちゃう。

ただ、それが良いんですよ。それが良いの。

もうね、バターメイカーはほんとクズなんですよ。ああ、(映画後の)来期もきっとキレるんだろうな、相変わらず飲酒運転繰り返してダメ人間のままなんだろうな、って。でもそれが良いんですよ。人間そうそう変われないですからね。パッと見何一つ変わらないけど、チームへの思いはきっちり積み重なってきていて、それ故にキレもするし、そこに愛が見えるという。

ちょっとだけ「さっきキレといて今度は理解者アピールかよ」的な雰囲気に違和感が無くもなかったんですが、でもそれもきっと普通のことで、わざわざ言わないけどキレたことをちょっぴり反省して、次は違う表現が出てくるんだけど、でもやっぱりまた戻っちゃうんだよね俺ダメ人間だし、みたいなそういうリアリティがすごく感じられるお話だなーと思いました。

子供も大人も完璧な人間なんていなくて、みんなダメな部分があるわけですよ。それを直して良いチームにしました勝ちました、じゃ嘘くさいじゃないですか。ダメ人間のまま頑張って、でも何が大切なのかに気付き始めるっていうのが良いなと思うわけです。

“スポ根”とは対極にある優しいスポーツ映画という感じでしょうか。同じダメ人間としてはとてもほっこりできる、人間愛を感じる良い映画だと思います。

古い映画ではありますが、短めで割とサクサク進むあっさりさもあって観やすいのも◎。

このシーンがイイ!

エンディングいいですねー! はっきり言って展開的にはベタなんですが、良いものは良いです。

ココが○

エンディング含め、今となっては方々から炎上しそうなアレコレが描かれる映画なんですが、それが問題にならないという…その大らかな時代そのものが良いですね。懐古主義というわけではなく、単純に今はちょっとギスギスしすぎだと思うので、「まあこういうときぐらい良いじゃない」みたいな大らかな、寛容な時代は素直に羨ましい。別に電車止まったわけでもないし、線路入ってちょっと写真撮るぐらい良いじゃん…。(タイムリーな話題)

あと、タイトルの「がんばれ!ベアーズ」がいいですね。負けると相手チームがエールの意味で(本人たちはイヤミっぽく)言うセリフなんですが、この意味合いが最初と最後で違って見えるのがすごく良いなと思いました。

ココが×

テンポ重視なのか結構あっさり目なので、もう少し人物描写を観たかったような気はします。ただそのサラッとした感じも、あざとく泣かせにきてない感じで良い面でもあるんですが。

MVA

テイタム・オニールもウォルター・マッソーも良かったんですが、僕はねー、観ていてこの子がかわいくてかわいくて仕方がなかったので、この子にします。

クイン・スミス(ルーパス役)

いじめられっ子。

もーね、女子なんじゃないか、ってぐらいめっちゃかわいいんですよ。この子。で、いじめられてケチャップ頭からドバーっとかなっても耐えてる様がもうかわいくて健気でもう…。ちょっとした見せ場もあって、あれはズルい。

鑑賞後にいろいろ調べてみたんですがどうもその後の活躍は不明なので、俳優は辞めちゃったのか芽が出なかったのか…残念ですね。あれだけかわいかったら他の映画に出てきててもおかしくないと思うんだけどなぁ…。

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