映画レビュー0110 『ブラック・ダリア』
嘘付いてもやっぱりアクセス数って伸びないんですね。まあ、所詮自己満足の趣味ブログなんで別にいいんですが。
さて、本日は「24」のエロテロリスト・マンディとしておなじみのミア・カーシュナーが観たいぜ! と思ってリストアップしていたコチラの作品。
ブラック・ダリア
期待していなかった分、予想外のデキ。
あの「L.A.コンフィデンシャル」でおなじみのジェイムズ・エルロイ原作の、しかも実際に起こった「ブラック・ダリア事件」を元にしている、という時点で否が応でも期待しちゃうでしょうよ、と思ってたら例のTSUTAYA DISCASではエライ評価低いんですよね。
そんなわけで「ああ、変なラブサスペンス仕立てになっちゃってんのか」と思って大して期待せずに観たんですが、これが思いの外良かった。なんでこんなに評判悪いんだろう? 書きながらちょっと整理。
まず全体のトーンは「L.A.コンフィデンシャル」っぽい、淡いセピアがかった風景。時代的にはあれの少し前になるっぽいですが、車や衣装なんかの小道具類も似た感じ。音楽も近い印象。この辺はやっぱり意識してやってるんでしょう。やや「似て非なる物」感というか、どっぷり浸かれたL.A.コンフィデンシャルに比べ、少し全体的に非力な印象(特に音楽の存在感)は否めませんでしたが、そもそもあっちは個人的に歴史に残る超お気に入り映画なので、比べるのは酷かなという気もします。総じて良くできてると思うけどなぁ。
変な「デ・パルマ臭」みたいなのもせず、割としっかり、L.A.コンフィデンシャルの続編…というよりは同じ世界の話として、ジェイムズ・エルロイの世界観を出そうとしていて好感が持てました。
物語としては、未だ未解決の事件が元になっているだけに、「もしや未解決のまま“人間ドラマでした”って終わるのか…?」と不安でしたが、そんなこともなく。やや強引な…というか観客が推理しようのない展開は残念感があるものの、事件そのものの展開よりも人間ドラマに比重が置かれた話だと思うので、許せるレベルじゃないかな、と思います。
ただ、中盤~ラスト前にかけて、やや中だるみ感はありました。その辺が少し残念。
ちなみに完全に余談ですが、「L.A.コンフィデンシャル」に関しては僕はかなり早い段階で真犯人に気付いたのを覚えてます。ネタバレになるのでどのシーンかは言えませんが、「血のクリスマス事件」直後辺り。なんでわかったのかと言うと、ほぼカンに近く「こいつ(このシーンの感じだと)怪しそうだな」っていうレベルだったんですが、逆に言えばそういう存在感がきっちりあったから物語に芯が通った部分もあるのかな、と思います。
この作品では…とネタバレになるのでこれまた言えませんが、その辺の、事件背景の(途中の)描き方の部分で少し不満があったかな、と。ただ、僕は原作を読んでいないため、それが原作の問題なのか、映画としての問題なのかはわかりません。単純に映画だけで観てみれば、原作ありきの映画化作品としてはそんなに間違った作りをしているようには思えませんでした。
あともう一つ、「L.A.コンフィデンシャル」との違いを挙げるとすれば、キャスティングですね。
主軸となる5人、刑事コンビのジョシュ・ハートネットとアーロン・エッカート、取り巻く女性のスカーレット・ヨハンソンとヒラリー・スワンク、そして事件の被害者ミア・カーシュナー。
ミア・カーシュナー&ジェイムズ・エルロイ原作目的で借りたものの、今観るとみんな割と好きな役者さんなので、「おおっ、結構豪華キャスト」と喜んでたんですが、これまた「L.A.コンフィデンシャル」と比べるとどうしても線が細いというか。くどいようですがあの至高の名作と比べてしまうこと自体、酷なんですが、どうしても各人は良いんだけど存在感が少し弱いんですよね。
きっとそれは40~50年代のL.A.という舞台に対して、だと思います。演技という意味ではすごくよかったけど、舞台に合ってるか、というと、やっぱりジョシュ・ハートネットはちょっと今っぽい感じがしちゃう。他の人たちも然り。当時ほぼ新人だったラッセル・クロウとガイ・ピアースのハマりっぷりとはちょっと違うんですよねー。さらにその上を行く存在感のケヴィン・スペイシーみたいな人もいないし、脇を固めるジェームズ・クロムウェルとかダニー・デヴィートみたいな味わい深い人たちもいなくて。脇役陣はもう少しいい人がいた方がよかったですねぇ…。そこが残念。
まあ、この辺の“縁”は作ったタイミングによってきちゃうんですけどね。
ダラダラと長くなりました。いつもだけど。
総論としては全然良い映画だと思います。特にサスペンスが好きな方は。「L.A.コンフィデンシャル」が好きなら、見比べてみるのも一興でしょう。ミッキー・コーエン(名前だけ)とか、ロウ検事(補)とかも出てくるので、少しつながりがあって面白かったです。
ちなみに当初はデヴィッド・フィンチャー監督の予定だったらしいです。ブライアン・デ・パルマ監督には悪いけど、「セブン」を考えれば、フィンチャーがやってれば相当キテた映画になったんじゃないかな…という気もします。そっちも観たかったなぁ。
このシーンがイイ!
序盤なんですが、映画を観ながらスカーレット・ヨハンソンが二人の手を同時に握るシーン。後から考えるとまた意味のあるシーンのようなそうでもないような。
でもよかったです。スカーレット・ヨハンソン。
ココが○
もう本編にだいぶ書いたので、そこから。
ココが×
結構「私とヤる」だの「ヤりたいでしょ」だの、ヤるヤるうるさいです。ヤるヤる詐欺ですよ。いや、ヤってるから詐欺じゃないんだけど。
話的にも非常に大人向けなので、10代の子が観てもイマイチかも。
あとジョシュの役、モテすぎ。
MVA
相変わらず、ヒラリー・スワンクは他と全然イメージが違って、この人すげぇなぁ、と感心しきりでしたが、演技としてはフツーでした。
演技的にはスカーレット・ヨハンソンの方がいろいろ複雑なポジションを示してくれてよかったんですが、最終的にはこの人ですね。
フィオナ・ショウ(ラモーナ・リンスコット役)
出演時間は短いんですが、完全に周りを食ってました。とりあえず観ればわかると思います。