映画レビュー0319 『ブルース・ブラザース2000』
噂では続編の方は外した、と聞いたりしたんですが、一応前作が素晴らしかったのでやっぱりこっちも観ないとな、ということで。
タイトルに「2000」がついてる辺り、これもまた時代を感じますね。
ブルース・ブラザース2000
音楽はさすがだけど、物語は前のまま。
この手のコメディ映画としては、別に既視感のあるストーリーは構わないとは思います。またも再結成を目指し、それぞれ別の仕事についていたバンドメンバーを招集、またも警察に追われながら、そしてまたも組織に命を狙われながら、ドタバタ逃げ回りつつバンドコンテストに参加する、というお話ですが、これまた話はあってないようなもので、肝となるのは音楽でしょう。
前作から引き続き登場のジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリン、その他ブルース・ブラザーズバンドのメンバーの他、何と言ってもバンドコンテストのライバルとして登場のB.B.キングやエリック・クラプトンという豪華メンバーがスゴイ。
僕はこっち方面は疎いので他はよくわかりませんでしたが、おそらくそのバンドのメンバーも有名な方たちばかりなんでしょう、テクニックの応酬は見ごたえありました。
音楽のシーンはどれもさすがで、前作同様しっかり楽しませてくれますが、前作はそこにプラスでコメディとしての面白さと、それなりにオチを用意してくれたラストの展開がすごく好きだったんですが、音楽を除いたそれらの部分で今作はかなり落ちてしまう印象で、そこが非常に残念でしたね。
上記の通り、取り巻く環境はほぼ同じなだけに、目新しさが無い分、もっとコメディとして弾けて欲しかった、というのが正直な感想。
前作もかなり振り切っていたとは思いますが、それでも「むちゃくちゃ」程度のレベルだったのが、今作は空を飛んだり魔法的なものが登場したりと前作よりも「なんでもアリ」感が強く、それが突き抜けているというよりはおざなりな…言ってみれば「サボっている」作りに見えてしまったのも残念。
また前作には「孤児院を守る」という目的がしっかりあったものの、今作はその辺もしっかりしてないことで、「とりあえずブルース・ブラザーズ再結成の話に」という感じがしちゃったのもなんだかもったいない。
前作の数年後に急逝したジョン・ベルーシがいないことは確かに大きいんですが、それよりももっと大きな部分で作りが雑になってしまっているのが、映画として非常にもったいないような気がします。音楽のデキの良さに敬意を評して7.0としましたが、映画自体の作りとしては5.0がいいところ。
やっぱりエルウッドが前面に出てきて、(新たな相方こそいるものの)彼一人でガンバっている様は単純に寂しいと感じる部分もあるし、前作が伝説級の映画と言われるほどの名作として語られてしまったことの不幸もあるかなと思います。
デキのいい作品の続編は、「そこそこ良かった」じゃダメなんですよね。改めて続編モノの難しさを感じました。
このシーンがイイ!
くどいようですが音楽の場面はどれもやっぱりパワフルで良かった。特に…やっぱりラストかな。エンディングにつながる感じも良かったです。ただ、物語的には「えー、これで終わりなのか」っていうのはありました。
あと「ムースバクテリア」ね。あれは笑った。
ココが○
やっぱり豪華ミュージシャンの共演、でしょうね。詳しくない僕ですら「かっこいいな」と思うぐらいなので、このジャンルに精通している人達からすれば、それこそ失禁モノのすごさじゃないかと。
ココが×
話としての力強さと、まとまりの部分が完全に前作に負けている点。ベルーシがいない分、逆にストーリーでカバーしてやる! ぐらいの意気込みが欲しかった。笑いどころも前作のほうが圧倒的に多かったと思います。
MVA
役者として誰が、というとなかなかコレというのが無くて、まあ消去法になりますが…。
ダン・エイクロイド(エルウッド・ブルース役)
この映画は彼がフロントマンかつ脚本も書いているので、この映画のイマイチ感を一手に引き受けさせられる損な役回りだと思いますが、それでもまあ「ブルース・ブラザーズ」をもう一度、というファンの願いを“死なずに”聞き入れた、という点だけでもがんばったね、と言ってあげたい。
ベルーシはいないものの、彼の「ノッポで全身黒ずくめ」という格好だけでブルース・ブラザーズだな、と感じさせる雰囲気はやっぱり貴重です。