映画レビュー0950 『ボーン・スプレマシー』
ハイ、ということで2作目です。次はもちろん3作目です。
ここから未見になりますが、こうして連日同じシリーズを通して観るのって何気に初めてのような気がする。
ボーン・スプレマシー
2004年7月15日 アメリカ
108分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

グリーングラスお得意のグラグラカメラが貴様を襲う!
- ベルリンで起きた事件の犯人に“でっち上げ”られたボーン
- 同じ頃に襲われたボーン、決着をつけるべく再度表舞台へ
- 前作の後半的色合いが強く、両方鑑賞を推奨
- カメラがグラグラ過ぎてようわからん
あらすじ
はい、2作目です。
物語はインドに隠居したボーンと彼女のマリーの姿から。てっきり前作のエンディングから察するに地中海とかあっちの方の島国でリゾート気分の生活なのかと思いきやインドだったんですね、ボーンさん。
相変わらず過去の記憶をなくしたまま、その断片を感じさせる悪夢に苛まれているボーンさんですが、優しく見守るマリーと一応は幸せに暮らしていた模様です。
しかし切り裂かれる幸せ…! やってくる魔の足音…!
ってことで再度何者かに命を狙われたボーンさん、不幸にも彼の身代わりとなったのはマリーでした。
最愛の彼女を失ってしまったボーンさんは、「手を出すんじゃねぇって言っただろー!」と怒りの上京。いや上京って言うのかこれ。とにかく隠居はやめて自分を狙ったやつら=CIAの狙いを見定めようと街へ繰り出します。
一方その頃、ベルリンのCIA支部ではある取引が行われようとしていたんですが、そこに第三者が現れ双方を射殺、取引はご破産に。さらに現場に残された指紋を調べ浮かび上がった容疑者がご存知ボーンさんでございます。
ボーンさんのことを知ってたらこんなヘマしないのわかってんだろと思いますがベルリン支部にはボーンさんの存在は知れ渡っていないようです。
当然ながらボーンさんを追うCIA。そんなことは知らずに表舞台へ復帰するボーンさんはまたも追われる身になりつつも、なぜマリーが死ぬことになったのかを解明するべく、再度CIAと対峙してやんぜ…ってことでボーン・スプレマシー、圧倒的開幕・・・!
前作と似たような形
内容としてはどっぷり1作目を引きずっている感じで、良くも悪くも「2部作の後編」的な感覚が強く、おかげで前作でよくわからなかった謎の部分も若干解き明かされていく形でナルホド感も感じられる、「取ってつけた」形ではない正統的な続編感がありますね。
ただ観てから1週間程度なのにもう内容を忘れかけているという恐怖。なんなんだろうこのシリーズ…。
おそらく基本的に追われる形で、アクションしつつ逃げて逃げてちょっと陰謀に食い込んで行って謎が明らかになって終わり、みたいなパターンになっているので、語られる物語がかなり薄めなんだろうと思うんですよ。
1つの軸となる謎があり、それはボーンさんの記憶喪失と関係があって、ボーンさんは記憶を蘇らそうと真相に近づいていくわけですが、その間、尺を稼ぐのはほぼ逃走シーン&追う側の指示出しシーンだったりするので、多分「物語が進む」分量ってかなり少ないんじゃないかなとハタと気付いたわけです。
いや実際どうかは知らねぇよ? イメージの話で。
若干悪意のある見方をしてしまえば、「主人公が記憶喪失で追われている」主軸は前作とまったく変わらないんですよ。ただ追ってる人材と舞台がちょっと違うよ、ってだけで。
当然2なので前作以上にボーンさんの過去に迫っていく内容にはなっているんですが、とは言えそれも前作だって同じように小出しにしてきてたわけだし、結局「なんだか変わらないなー」って感じで印象が薄い映画ではありました。
ただまあ面白いんですけどね。普通に楽しめるレベルではあるんですよ。ただ個人的に最近めっきりアクション主体の映画に興味を失ってきてしまったために、スパイ以上にアクション要素が強いこのシリーズは相対的に評価が低くなりがちなのかもしれません。
グラグラカメラに不満
で、話はとりあえず置いといて、一番不満を感じたのは今作と次作の監督であるポール・グリーングラスお得意のグラグラカメラですよ。
この頃はまだきっと新鮮味があったんだろうとは思いますが、最近は臨場感を出すためにおなじみの作りでもある手持ちカメラによる追跡映像的なアレ。このシリーズもちょっと似てる気がする「24」で目立った手法でもあります。
ポール・グリーングラスは特にその傾向が強く、彼の映画は大抵グラグラカメラが多用されていますが、今作もその傾向が誠に顕著で誠に不満。
後半のピークと言えるカーチェイスシーンもなかなか良いシーンになるはずがもう常にグラグラ過ぎてようわからん。カット割りも速いから「中心に写っている被写体」を認識する前に次のカット→またグラグラで「中心に写っている被写体」を認識する前に…とその連続。これはさすがにひどい。
もっとも「ポール・グリーングラスと言えばグラグラカメラだからな…」と観る前から警戒していただけに余計に気になった可能性もありますが、これ普通に観ても「いくらなんでもやりすぎだろ」って感じると思うんだけどなぁ…。
結局「臨場感を出すため」のグラグラカメラというよりは、「なんとなく勢いがあってすごいことやってるように見えるだろ」的にごまかしとして多用されている感じがして非常に不満でした。
最後にご褒美あり
あとはやっぱり…「逃げ」の映画なので、シリーズ通して言えることですがもうちょっと「攻め」が観たかった。「ボーンが本気になるとやべーんだぞホレ見ろ」って観客のスネ夫魂に火をつけて欲しかった。
とは言え終盤に出てきたある女優さんがめっちゃかわいかったので満足しました。結局はそこです。
このシーンがイイ!
ボーンさんがスコープ覗いて会話するシーンは緊張感があってよかったですね。
ココが○
さすがにこれだけのメジャータイトルなので、当然ながら一定以上のレベルは確保されてます。
僕がツラツラ書いている不満は期待故でもあるし、これだけ有名なシリーズだからとハードルが上がっちゃってる部分も間違いなくあります。普通に観る分にはそこまで大きな不満も感じない映画かもしれません。
ココが×
一番はグラグラカメラ。
それとこれまたシリーズ全般そんな感じなんですが、引力となる謎が結局イマイチわからず、全体像がスッキリしない点。これは僕の理解力不足故かもしれませんが、印象としては「解決するための謎ではなくボーンを動かすための装置としての謎」でしかない感じが強い。
この見方が正しければ、全容を観客に伝えるのが目的ではないので「まあ途中楽しめたから良いでしょ」っていう浦沢直樹のような開き直り感を感じさせる内容になっちゃうんですよね。それってどうなの、と。
MVA
今作も割と渋めのキャスティングの中、やっぱり選ぶのは渋めのこの人。
ブライアン・コックス(ワード・アボット役)
今作にも断片的に登場するコンクリンの上司で、CIAの中では結構なポジションにいるっぽいお方。もうすぐ定年だそうです。
まあもうこのレベルのおっさん出てきたらそりゃ味が出るに決まってますよ。前作以上に物語に絡んでくるポジションでもあるし、順当に良かったねと言うことで。
それとこれは僕の記録として必ず書いておきたいと思ったので書き残しておきますが、最後に少しだけ登場する超カワイイ女優さん、名前はオクサナ・アキンシナさんだそうです。
まあもう今はそこそこ良いお歳になっちゃったとは思いますが…この映画で観た姿はたまらんかったですね。もう。目が覚めたわあそこで。