映画レビュー0691 『戦場にかける橋』

本日はBS録画より。最近はなんとなくNetflixと交互に観る感じ。基本的にNetflixは新しい映画、BSは古い映画、と良い感じにモチベーションが保てます。

今回は稀に訪れる「長めの映画観ないとバカになっちゃう!」という謎の強迫観念によりチョイス。タイトルは超有名ですね。初鑑賞です。

戦場にかける橋

The Bridge on The River Kwai
監督
脚本
カール・フォアマン
原作
『戦場にかける橋』
ピエール・ブール
音楽
主題歌
『クワイ河マーチ』
公開
1957年10月2日 イギリス
上映時間
161分
製作国
イギリス・アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

戦場にかける橋

第二次世界大戦中、タイとビルマの国境付近にある日本軍の捕虜収容所に、鉄道建設要員としてイギリス軍の捕虜が連行されてきた。鉄道橋を一刻も早く完成させたい所長・斉藤大佐は「将校も労働に参加せよ」と命令するが、部下からの信頼も厚いイギリス軍将校・ニコルソン大佐は「ジュネーヴ条約に反する」と対立、懲罰房に入れられてしまう。その間にアメリカ人捕虜たちは脱走を試みるも失敗、閉塞感漂う中時間だけが過ぎていき…。

やっぱり長い。あと〆が不満。

6.5

この映画以上に長い名作「アラビアのロレンス」の監督として有名な、デヴィッド・リーン監督の戦争映画…ではあるんですが、ドンパチはほとんどなく、「日本軍将校とイギリス軍将校のやり取り」から導かれる収容所の橋建設話と、「脱走したアメリカ人捕虜」の二つの話がメインの映画です。

「クワイ河マーチ」っつーですね、例の ♪サル ゴリラ チンパンジーの替え歌でおなじみのあの曲がテーマ。おっとこの過疎ブログにもJASRACから照会がきちゃうかしらオホホホホ。

「ジュネーヴ条約」という…戦争捕虜に関する国際的な取り決め、でしたっけ。要は「これを守らないやつは人間じゃねぇ」的な、戦争とは言えルールに則ってやりましょうという決まりごともそんなのかんけーねー、と横暴な収容所運営に携わる日本軍の斉藤大佐の元に、橋建設要員として移送されてくるイギリス軍の捕虜たち。結構な人数です。

彼らを使ってさっさと橋を完成させたい斉藤大佐は、イギリス軍の将校も動員して全員で作業に当たれ、と命令しますが、イギリス軍を率いているのは男気溢れる人望厚いニコルソン大佐、銃殺も恐れずに「やれないものはやれない」と突っぱねます。

斉藤大佐が衆人環視の中ニコルソン大佐他イギリス軍将校を銃殺しようとしたまさにその時、「それが日本人のやり方かー!」と止めに入ったのがアメリカ人軍医クリプトン。この人「大脱走の大佐じゃね?」と思ったら見事正解で節穴くん卒業です。ジェームズ・ドナルド。相変わらずシュッとしていてカッコイイ。そんなクリプトンの説得もあって銃殺は免れたニコルソン大佐ですが、代わりに懲罰房に入れられ、我慢比べの日々に突入。

一方、イギリス軍捕虜たちが運ばれてきた時点ですでにこの収容所で捕虜として労働させられていたアメリカ人捕虜、シアーズ中佐は映画開始早々に脱走を試みるも失敗…と思いきや奇跡的に助かります。しかし水も無くなり生還の見込みがない…ところで辺境の村にたどり着いて一命を取り留めた彼は、今後意外な形で「橋建設」に関わっていくんですが…あとは観ていただくとして。

まず当たり前の話ですが、イギリス軍捕虜たちは日本軍の敵であり、その敵である日本軍が建設したい橋=イギリス軍にとっては「建設したくない橋」なわけです。かと言ってサボってばかりじゃ士気に関わる、むしろ兵士たちには目標が必要だ…ということでやがて建設に積極的に関わっていくイギリス軍捕虜たち。

それは労働への誇りを持つことにつながり、「ストックホルム症候群」ではないものの次第に日本側とも徐々に打ち解けていくわけですが、しかし連合国側としてはその「橋の建設」は容認できないわけで…おっとこれ以上は書けないぜ。

正直、途中まではウィリアム・ホールデン演じるシアーズ中佐の話、いらないんじゃね? と思っていましたが当然そんな話ではなく、収容所と脱走したシアーズ中佐が次第に交錯していく二面的な作りがまず面白かったぞ、と。

最終的に描きたかった心情の部分も良かったと思うんですが、ただ…なんだろうなぁ…。古い映画特有の「その終わり方はないわー!」感がすごくてですね…。「恐怖の報酬」の悪夢再び、というか。すぐ思い出しました。あの映画。「まさかまさかそんなオチじゃ…それー!!」っていうガッカリ感。

もう詳しく書けないのが申し訳ないんですが。わかるんだけどそれはないわ、っていうケリの付け方がですね。つくづく残念でしたよ。

あとはやっぱりところどころ長い。

今の時代から評するのは酷だとは思いますが、例えば宴とイカダのシーンとか、1シーン1シーンが長い上に何度も見せるのでもう良いよ、っていう。そういうシーンがところどころにあったと思います。超勝手なド素人希望としては、もうちょっと切って観やすくして欲しいところ。

ただ全体的には悪くなかったと思うんですけどね。オチを除けば。プライドと大義、今現在の環境とその周辺にある大きな世界の関わり、それを歪めていく戦争という存在、いろいろと考えさせられる部分はありました。

惜しむらくは長い。2時間ぐらいならもうちょっとオススメできるんだけどなーと思います。

ネタバレを書ける俺

ニコルソン大佐率いるイギリス軍は、敵である日本軍を利する形になる橋建設を、士気と誇りのために作り上げ、そしてそのプロジェクト自体が日本軍との交流にもつながったことで自分たちの中でより大きな存在となり、最終的には最も大切であるはずの戦時における敵味方の構造よりも「自慢の橋」を大切にしてしまったがための悲劇、と言ったところでしょうか。

この手の「敵味方ではない人間臭い戦争話」自体は珍しくはないと思いますが、ただその対象が人間ではなく建造物、っていうのは(僕が知らないだけかもしれませんが)あんまり聞いたことが無いので、その点は珍しいのかなと思います。

でも心情としてはとてもよくわかりますよね。あれだけ苦労して、最終的には憎くて仕方がなかった斉藤大佐も戦友として同じ思いを共有できた、その達成感たるや相当なものでしょう。

だからこそ、ですよ。あの「倒れたついでに爆破装置を押してしまった悲劇!!」みたいなやっすい結末は我慢ならんぞ、と。

時代的にこの頃であれば「えぇー!? そ、そんな酷い話が…」と思えたのかもしれませんが、ちょーっと今の時代からするとフラグ感満載すぎて「やめてやめてその安っぽい展開やめてー!!」って思いながら観るしかありませんでした。

今だったら…どうなんだろうなぁ。倒れたシアーズ中佐を見て我に返ったニコルソン大佐が泣きながらスイッチを押す、とかなのかな…。

でもそしたら列車で運ばれている傷病者が犠牲になるし、列車をやり過ごしてからの爆破? それもなんか締まらないし…。

それかニコルソン大佐も倒れたあとに、瀕死のジョイスがスイッチを押して絶命、とか。続・猿の惑星的な。うろ覚えだけど。

いずれにしてもあの「クラっと倒れて押しちゃいました」よりはマシな気がする。加えてあのシーンの演技…というか演出もどうかと思いました。もうちょっとなんかあったんじゃないの…。

このシーンがイイ!

ニコルソン大佐が、斉藤に勧められて一度は断った酒を乾杯するシーンかなー。(劇中における)役者の違い感が出ててよかった。

ココが○

ニコルソン大佐の人間性は良かったですね。こういう上司でありたいと思わせる感じで。

それとやっぱり当たり前ですが、収容所内だけの話だとこじんまりしすぎちゃうし、二面的な作りになっているのが良い。

ココが×

とは言え…二面的にするなら、もう少しドラマチックにできたんじゃないのー? という気もしました。

あとはやっぱりそれも込みでのオチ、だな…。

MVA

早川雪洲は初めて観ましたが、良い意味で小物感のある雰囲気が良かったですね。ただ後半どんどん存在感が減っていったのが…。その他ジェームズ・ドナルドも良かったですが、やっぱりこの人でしょうねー。

アレック・ギネス(ニコルソン大佐役)

この人はホントーに映画によって顔が変わりますね…スゴイ。

とても「マダムと泥棒」の教授と同じ人とは思えない…。かっこよかったです。

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