映画レビュー1047 『クリスマス・クロニクル PART2』
今年のクリスマス映画は、一昨年観て予想以上の傑作っぷりに感動したNetflixオリジナル映画「クリスマス・クロニクル」の続編です。
そして今回はきちんとクリスマスに合わせてアップしました。やるな!
クリスマス・クロニクル PART2
2020年11月25日 各国
115分
カナダ
Netflix(PS4・TV)
よいファミリー向け傾向が強く、前作と比べればそれなり。
- 元部下エルフが「サンタの村」の破滅を目論む
- お兄ちゃんは大きくなりすぎたので別役を配置
- 今回は奥さん(クロース夫人)も大活躍
- 全体的に低年齢層向け傾向強まる
あらすじ
前作は本当に「予想以上に素晴らしい」傑作で、老若男女問わずみんな観ろよ案件だったんですが、今作はそれよりもやや低年齢層向けでよりファミリー映画の傾向が強くなった印象。よって独り身のおっさんは「前作ほどじゃないな」と醒めた目で観ていましたが最終的には結構ウルッと来ました。(単純)
前作の主人公であるピアース家の面々ですが、今作ではお母さんが友人のボブといい感じになってますよ、ってことでピアース家(ママ・兄テディ・妹ケイト)+ボブ家(ボブ・息子ジャック)の5人でリゾート地に来ております。
とてもクリスマスとは似つかわしくない南国で、おまけに亡き父を忘れたかのようにイチャイチャはしゃぎまくる母の姿から複雑な思いで「クリスマスバカンス」を過ごすケイト。
おまけにラッキー招待に当選してしまったためにママとボブは子どもたちを置いてお泊まり遺跡ツアーに行くこととなり、兄のテディはいい感じのガールといい感じなもんでますます孤立していくケイト。
「もうやだ! 帰る!」ってことで一人帰ろうとバスを待っていたところ、「バスは故障したからこのカートに乗りな!」とやってきた兄ちゃんのカートに乗ったが最後、ひっそり隠れて乗り込んだジャックとともに北極に飛ばされてしまうのでした。
凍死寸前のところでたまたま通りがかったサンタ(カート・ラッセル)に助けられた二人は、彼が住むサンタ村に連れて行かれ、クロース夫人(ゴールディ・ホーン)特製のホットチョコで無事復活。「マジモンのサンタと奥さん」にまたも(ジャックは初ですが)テンアゲで浮かれる二人でしたが、実はこの背後にはかつて住んでいたサンタ村から飛び出したワルエルフ、ベルスニッケル(ジュリアン・デニソン)の陰謀が渦巻いていたのでしたとさ…!
よりファミリー向けに?
正直前作も「めっちゃ良かった」のは覚えているものの、詳細はいまいち覚えていないもんで「ここがこう違ってウオー!」とか言えないのがもどかしいんですが…なんとなく全体的にイマイチ乗り切れないというか、前作ほどワクワクしない感がありました。
観ていて感じたのは、少し低年齢層向けかな? という印象。特にジャックが活躍するくだりは(クッキーのエピソード含め)“いかにも”な少年活躍モノ的内容で、前作のような驚きとワクワクではなく「ああこのパターンね」という見慣れた展開なので観ていて落ち着いちゃう。
“敵”であるワルエルフのベルスニッケルにしても、これまた“いかにも”な未練がアリアリと伺えちゃう(オープニングの登場シーンでご丁寧に泣いて見せてくれたりする)ので、その先の展開も読みやすい。まあファミリー映画なだけにサンタ八つ裂きにしてハラワタ食ってやるぜ的な極悪にするわけにもいかないのでやむを得ない面はありますが、大体の展開が想像通りなのでちょっと期待を上回るには難しい内容だったような気がします。
前作は何が起こるかわからない、「現代らしい新たなサンタ像」が物語の中心になっていたのでその分(大人でも)ワクワク楽しめる点が良かったと思うんですが、今作はその辺のサンタの能力やガジェットよりもベルスニッケルとのアレコレを介したキッズの成長に重きが置かれている印象で、その分やっぱり少し低年齢層向けになっているのかなと。
思うに前作は「童心に帰(らせ)る」作りで、今作は「童心に訴える」作りの違いなのかなとテキトーなことを言ってそれっぽくまとめるわけです。なので前作以上にファミリー、特にお子さんと一緒に観る用の映画なのかもしれませんね。
もっとクリスマス感を
あとは「プレゼントを待つ子どもたち」への視点が少し欠けていたような気がするのが少々残念。やっぱりそれがあってこそのクリスマス感のような気がするんですよね。結局「ベルスニッケルに負けない、出し抜く」がメインになって少しバトル映画の方に近付いちゃったので。本分はそこじゃねーだろと。
「クリスマスがピンチ!」はわかるけど、そのピンチ=(この映画においては)サンタ村のピンチであって、「世界が大変なことに!」みたいな視点があんまり感じられず、内輪の閉じた問題に見えてきちゃうのがよろしくないと思うんですよ。もっとサンタを待っている人たちのことやその人たちに対する想いを描いてほしかったし、「そのために頑張ってる」姿を見せた方がより大きな話になったと思うんですが、今回はほぼ自分たちのテリトリーの話でそこにケイトとジャックが(キッズ活躍劇的に)混ぜ込まれているだけなので、「サンタ」というアイコンを取っ払っちゃうともうクリスマス関係なくね? という気がしないでもないです。もう少しクリスマス感を盛り上げるものが欲しかったかなぁ。
まあなんだかんだ言いつつも良いところではウルっと来たりもしちゃってるので、総じて悪い映画ではないと思います。ただちょっと前作が良すぎたのが(続編にとっては)不幸だったかな、というところ。
このシーンがイイ!
過去の空港での出来事はグッと来ましたね。ベタだけど。あの展開は全然予想してなかった。
ココが○
カート・ラッセルのハマり役っぷりは相変わらずで、前も書きましたがまさかこの人がこんなにサンタクロースが似合う人だったとは予想外ですよ。
ミセスクロースのゴールディ・ホーンもいい年なのにキュートで役に合ってるし、おまけにこの二人はリアルパートナーだしでこのキャスティングは本当に見事だと思います。
ココが×
上に書いた内容がほとんどすべて、でしょうか。やっぱりもうちょっと「クリスマスらしいワクワク」が欲しかったかな…。
MVA
まあ今回は無難にこの人、でしょうか。
カート・ラッセル(サンタクロース役)
まー本当に今世界一サンタ役が似合うと言っても過言ではないぐらいにサンタ。めっちゃサンタ。陽気で頼りがいのある爺さん。
この人のサンタ役がまた観られた、というだけでも嬉しかったですね。ちゃんと歌うシーンもあって。かなり強引な展開ではあったけど。