映画レビュー0382 『カンパニー・メン』

ビデオニュースドットコムによるご紹介映画その2。

関係ありませんがただ今このレビューを書いている時間は日曜19時のため、休みが終わる切なさでテンション低めにお送りいたします。

カンパニー・メン

The Company Men
監督
ジョン・ウェルズ
脚本
ジョン・ウェルズ
音楽
公開
2010年12月10日 アメリカ
上映時間
113分
製作国
アメリカ

カンパニー・メン

総合商社の販売部長・ボビーは、37歳で年収12万ドル+ボーナスという勝ち組人生を謳歌していたが、リーマン・ショックによる景気悪化の煽りを受け、突如リストラされてしまう。「どうせすぐ再就職できるさ」と高をくくっていたものの、なかなか仕事は決まらない。生活の質を落とさざるをえない状況に追い込まれていく中、古巣ではさらなるリストラが敢行され…。

サラリと考えさせられる、等身大の物語。

7.0

まさにリーマン・ショックが作り上げた映画という感じの、自由主義経済による社会の変化をヒューマンドラマとして描きましたよ、的な映画です。

タイトルが「メン」であることからもわかる通り、主人公ボビー1人の物語ではなく、彼の元同僚だったり元上司だったり、同じ総合商社に勤めていた面々の、それぞれの「仕事人生」を情感たっぷりに描きます。

ボビーのリストラから始まる物語は、何の不安も感じずに生きていた彼の人生を強制的にリセットし、改めて自分とは、仕事とは、家族とは…というものを考えさせるものになっていますが、割とこの手の映画としては不条理感を強く訴えるわけでもなく、主人公の成長を見せつけてたくましさをアピールするでもなく、サラリとした印象の映画になっていて、そこが観やすくもあり、惜しくもあるな、と。

これは良し悪しの問題ではないんですが、物語の決着の仕方もまた平凡なので、アメリカ映画にありがちなサクセスストーリー(スタートがリストラなので当然と言えば当然ですが)ではなく、普通の人が運悪く遭遇してしまったリストラという状況に対し、これまた至って普通に対応しようとした日々を描いた映画であり、大きな感動も勉強になった感もありません。展開としても予想外なことはあまりなく、大体予想通りに流れます。

が、コトはリストラ、今の日本でも他人事ではないからこそ、その予想通りな感じに安堵を覚える面もあるんですよね。派手な何かは無くても、「こうしてまた生きていくんだ」という普通の感じがいいな、と。

笑い飛ばして、でも何も改善していない「フル・モンティ」の彼らとは違う、「物語ではないリアルな会社人間」を描いた内容は、これはこれでまた味わい深いし、自分に置き換えて考える面もあるなぁと思います。

映画としては「フル・モンティ」の方が面白かったと思いますが、でもこっちには脇に追いやれない現実味があって。笑って「あー面白い映画だった」で終われないんですよね。生々しいから。

例えるなら…楽しくお酒を飲んで笑ってはいるんだけど、でもどこかで「お金足りるかな…」って心配しているような。ちょっとしたざわつきを覚えるような映画でした。

それにしても、リーマン・ショックがあってこそ、ではあるものの、こういう映画がアメリカから出てくる、というのもまた考えさせられます。だいぶテイストは違えど、やっぱりこういう話はイギリスとかあっちの方に多かったと思うんですよね。

アメリカでこういう「堕ちた人」を描く場合は、やっぱりまたのし上がるかひたすら堕ちていくか、って感じだと思ってたんですが。良い意味でフラットに等身大の物語を作って、なんならちょっと自由主義経済に懐疑的なニュアンスも見て取れたのは面白かったです。それだけアメリカ人もすり減ってきているんでしょう。

これからはお金ではなく心の価値の時代なんだ、と言われているような部分もあり、そこもまた考えさせられました。

しみじみと、ゆっくりお酒でも飲みながら観たい感じの映画です。

このシーンがイイ!

ズバリとココが、っていうのは特になかったんですが、一つ言うなら…面接に行ったら席が大量に埋まってたシーン。転職の難しさを無言で見せる残酷なシーンだな、と。

ココが○

この映画のいいところは、奥さんのお兄さん(つまりは義兄)のポジションと、一緒に転職活動をした「仲間」の描写だと思います。この2つがまたいろいろと考えさせられるわけですが、その後髪を引くような存在感が良い後味を作り出しているような気がします。

ココが×

特には無いかな?

平凡で残らなそうな感じなのがまたいいんだと思います。この映画は。

MVA

最近の映画ではものすごく久しぶりにケビン・コスナーを観ましたが、役どころも良かったし、なんだかちょっと嬉しかったですね。彼の存在はかなり大きかったと思います。

トミー・リー・ジョーンズも良かったし、役者陣は肩肘張らない感じでみんな良かったと思いますが、今回のチョイスはこのお方。

ローズマリー・デウィット(マギー・ウォーカー役)

主人公・ボビーの奥さん。

こういう時って大抵奥さんがヒステリックになって揉めるパターンが多いですが、この人は終始落ち着いて、旦那の味方で、そしてちょっとキュート、と。こらぁね、いい奥さんですよ。こんな奥さんがいたらそりゃあリストラだって乗り越えられます。

この「奥さんが余計な火種をまかない」平坦さがまた良かったと思いますね。優しい母親のような奥さん像、しっかり演じていて素敵でした。

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