映画レビュー0978 『スウィート17モンスター』

はい、ネトフリ配信終了シリーズでございます。

映画好きの間でちょこちょこ「いいよ」と感想を目にすることが多かったような気がする映画だったので観てみました。

スウィート17モンスター

The Edge of Seventeen
監督

ケリー・フレモン・クレイグ

脚本

ケリー・フレモン・クレイグ

出演

ヘイリー・スタインフェルド
ウディ・ハレルソン
キーラ・セジウィック
ブレイク・ジェンナー
ヘイリー・ルー・リチャードソン
ヘイデン・セットー

音楽
公開

2016年11月18日 アメリカ

上映時間

104分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

スウィート17モンスター

軽く観られる良作青春モノの系譜。

8.0
唯一の親友がクソ兄貴とくっついてしまい、こじらせ全開の女子
  • 元々友達が少ない兄貴大嫌い高2女子の親友が事もあろうに兄貴とくっついて争い勃発
  • 一人になった彼女は憧れの男子にビッチメールを送ったり担任の先生に絡んだりとこじらせ全開
  • 気軽に観られて軽く笑えて下品すぎず綺麗にまとまった良作感
  • 老若男女問わずオススメ

あらすじ

僕が好きだからなのか、はたまたアメリカ文化の賜物なのか…この手の「青春コメディドラマ」は本当に気楽に楽しめる映画が多いですね。感覚的には「小悪魔はなぜモテる?!」とか「JUNO/ジュノ」とかに近い感覚なので、その辺が好きであればまず間違いなく楽しめると思います。

主人公はヘイリー・スタインフェルド演じるネイディーン。高校2年生。JKですよJK。ただほぼ常に頭ボサボサでオシャレとは無縁の…モサい女子、って感じ。しかし「モサい」って今どき言うんでしょうか…。

彼女はちょっと変わった女子なのでそもそも友達がほぼいないんですが、そんな自分が嫌だと思いつつもでも自分は自分だし、みたいに自己愛もしっかり強いようなタイプ。

彼女には出来の良い兄がいるんですが、その出来の良さ故に自分よりも母親にかわいがられていることもあって彼のことが気に入らず、思春期でもあるせいか兄妹仲はよくありません。まあよくないとは言っても冷え切っているような関係性ではなく、ちょいちょい喧嘩する微笑ましい仲の悪さみたいな。

彼女は小さい頃に知り合ってからずっと一緒に遊んでいたクリスタという唯一の親友がいるんですが、ある日親が不在の日に彼女を呼んで遊んでいたらなぜか翌朝クリスタが兄貴のベッドで一緒に寝ていた…という彼女にとっての“大事件”が起きたことで「私を取るの兄貴を取るの!?」みたいな。めんどくせー女ですよ。

どうせ遊びでしょ? と思っていたのが意外と真面目に付き合う二人、となるとどんどん孤立していくネイディーン…。彼女はクリスタ以外に遊び相手がいないので、一人でダラダラ担任の先生にウザ絡みしたり母親に八つ当たりしたりともう目に見えてこじらせていきます。

あとはもう自分も彼氏作るしか無いでしょとばかりに憧れの男子に突撃もするんですが…これがひどくビッチな内容のメールで目も当てられないっていう。んでその顛末は予想通りなんですが一応触れないでおきます。

そんなこんなで親友も家族も敵に回して一人大立ち回りを演じつつ、果たして彼女の“こじらせ”はどう決着するのか…ご覧くださいませ。

先生との関係性がイイ

主人公はやっぱりまだ若く学生なので人間関係も狭く、それ故に個々の関係性が濃厚なわけですよ。それは良し悪しではなくて、若い時代特有の仕様というか。

おまけに彼女は友達が極端に少ないので、それだけ一人の親友に対する比重が大きいわけです。その親友があろうことか大嫌いな兄貴とくっついちゃったもんだからそりゃ腐りもするわ、ってな話なんですが、そのこじらせを担任の先生にぶつけるのがこの映画の大きな特徴の一つかもしれません。こじらせてるんだけど先生とは話せる、って辺りが少し日本の思春期とは違った感覚だな、と。

この先生はウディ・ハレルソンが演じているんですがこれがまたとてもいいキャラなんですよ。過保護すぎず、でもちゃんと見てるんだけど対等な立場で接している雰囲気を持っているのが素敵で。上からアドバイスしない感じ。っていうかアドバイスも特にせず、愚痴を聞いてあげるだけみたいな。

要は「普通の友達」の代わりをこの先生が担っていて、その関係性がすごく素敵だなと思いましたね。

この先生が「教える」という意味で優秀なのかどうかはわかりませんが、ただ日本でもこういう大人の余裕を感じられるような先生が増えたら多分自殺やら不良やらも減るんじゃないかなぁと漠然と思ったり…。今の日本の教育現場は余裕がなさすぎて、その悪影響が学生にも及んでる状態だと思うんですよね。この辺は相変わらずあちらの方が羨ましいと言うか、こういう先生が(多分)嘘くさく見えない説得力を持っているのが社会的な強さの一つなんだろうな、と軽いタッチの映画とはまったく関係なく真面目に考えてしまいましたとさ。

何かイイ感じに面白い映画的な

またこの手の映画らしく当然色恋も絡んでくるんですが、それもまた深入りしすぎず程よい距離感で描いてくれていたのも良いですね。

観てから結構時間が経っちゃったこともあってあんまり書くことも無いので早々に終了しますが、とにかく誰が観ても一定の面白さが担保されているとても観やすい良作だと思うので、「何かイイ感じに面白い映画」みたいなアバウトなご要望にお応えするにはかなり適した映画ではないかと思います。よろしくどーぞ。

スウィート17ネタバレー

これラストがやっぱり良いですよね。あそこでキスだのなんだのしない、っていうのが。

最近の風潮からしてこういう感じなので特段珍しくもないんですが、あっさりと結ばれちゃったりするより全然良いですよ。

これの逆、明確にくっついちゃって興醒めだったのが「ミルクは白く、血は赤く」とかかなと。あっちは恋愛比重が大きい映画っていうのもありますが、それにしたってねぇというお話。

あとは事案になるので当たり前ですが先生と何もないのも安心。誘惑するようなシーンでもあろうものなら台無しですからね。

このシーンがイイ!

先生と絡むシーンはどれも面白くて好きでした。ウディ・ハレルソンにハゲとか言っちゃダメだよ。

ココが○

とにかく軽くて観やすく、かと言って何もないわけでもなくてそれなりに感情豊かに観られるのでとてもいいポジションの映画だと思います。何気ない「うまさ」が光る映画。

ココが×

特に無いかなー。大きな感動も無いですが、この手の映画はそれで良いんだと思います。あざとくなりすぎないのが。

MVA

先生がとても良かったのでウディ・ハレルソンにしたいところですが、やっぱり演技的にはこの人が図抜けて良かったんじゃないかと。

ヘイリー・スタインフェルド(ネイディーン・フランクリン役)

主人公のこじらせガール。

とにかく表情・感情豊かで素晴らしい演技。さすが評価されただけあります。

基本は髪の毛ボサボサで表情もむくれがちなので特にかわいくもないんですが、憧れの男子の前に行くときなんかはきっちり綺麗によそ行きのビジュアルになる辺りもとても良かったですね。観ていて飽きないタイプのヒロインなのが◎。

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