映画レビュー0962 『フレンチ・コネクション』
めっちゃ久しぶりやん!!
何が、って今回はネトフリじゃなくてBSプレミアム録画なんですよ奥さん。「カサンドラ・クロス」ぶりでしょうか。
最近BSの映りが悪くて録画できないことも多い上にHDDの容量がいっぱい(観てない映画だらけ)ということもあって遠ざかっていたわけですが、この週はネトフリで(配信終了が近い)観たい映画も特に無く、もーいい加減古い映画が観たいぞ、と思って満を持してのコチラですよ。
ずっと観たかったんだこれ。毎回言ってますけども。
フレンチ・コネクション
地道な捜査に味のあるエンディング、そうだよこれこれ。
- 実際にあった事件がモデル
- 大半が尾行に盗聴と地味な捜査が主体
- それでもテンポよく飽きずに観られる辺りさすが
- エンディングがこの時代らしい苦みのある展開
あらすじ
いやホント、長いこと観たい観たいと思ってたんですよ。BSプレミアムでは何度か放送していて、実は「いつか観るブルーレイ」に移動させたりもしているんですが、今回またも放送があったので録画して観たという何度目かの正直。
主人公はニューヨーク市警察本部薬物対策課の刑事、ドイルとルソー。一応メインは通称“ポパイ”と呼ばれるドイルの方で、名優ジーン・ハックマンが演じています。彼はもう俳優引退しちゃいましたが、89歳の今もご存命のようで何よりです。ちなみにこの映画によって一躍有名となったようで、いわゆる出世作ってやつですね。
そんなポパイは手荒で強引な手法が主体の、今となっては前時代的な刑事の見本のような人。それを相棒であるルソー(ロイ・シャイダー)がバランスを取っている感じ。
彼らはたまたま飲みに行ったナイトクラブでマフィアたちと同席しているやけに羽振りの良い若い夫婦を発見、これは怪しそうだということで尾行、デカい山が後ろに控えてるんじゃねーかとしばらく監視を続けます。
やがて“尻尾”を掴んだ二人はなかなか進まない捜査に焦りつつも事件を追い続けるんですが…あとはご覧くださいよっと。
最近観ないような気がする「ストレート刑事映画」
どうでも良い話ですが、この映画、ジャンルにすごく悩みまして。
犯罪を描いてはいるものの刑事が主役だから犯罪映画もなんか違うし、かと言ってサスペンスって感じでもないし。ドラマもちょっと違うよな、ってことでアクションに分類しましたがそんなにアクションアクションしているわけでもありません。
原作が実際にあった事件を元に書かれた同名のノンフィクションなので、ノンフィクションにしてもいいんじゃないか感もあるんですがそれはそれでまたちょっと違うよな、と一人悩んだわけです。
そんな感じでうちのジャンル分け的には難しい映画なんですが、早い話が「バディモノ」の一つですね。
ただ「バディモノ」という字面から感じるようなある種の軽さのようなものは無いし、かなり地道でストレートな刑事映画と言った方がわかりやすいかもしれません。
意外とこういう映画、最近あんまり観ないかもしれないですね。コメディっぽく軽く仕立てるか、それか「特捜部Q」みたいにミステリー路線に行くかが多いような気がしないでもないんですがただの印象です。
ちなみにWikipediaによると脚本にハワード・ホークスがノンクレジットで参加しているそうですが、真偽のほどは不明です。
地味ながらわかりやすく、テンポも良い
描かれる内容としては、主人公サイドの捜査と犯人サイドの動きが交互に展開、とこれまた特に珍しいこともない作りだし、主人公サイドの動きは中盤まではとにかく尾行だらけなので絵面的には非常に地味。風景も灰色多めでより地味。
ただその「珍しくない」作りが故にわかりやすい、観やすい映画になっているのも事実でしょう。
懐古厨的な言い方になっちゃいますが、最近はいろいろ目くらまし的に風呂敷広げて畳まずに「アレなんだったんだよ」みたいな作りが多い気がするので、この年代のストレートで実直な作りはやっぱり良いよなと(久々に古い映画を観たせいもあるんでしょうが)思いました。
主要登場人物も少なめで理解しやすいのも◎。見た目も結構みんな特徴的なので、これはきっとわざとそう言うキャスティングにしてるんじゃないかなーと思いますね。
その辺の本筋とは無関係なところに「物語に集中できるように」と配慮して丹念に作っている印象があり、やっぱり古い映画良いよねと思うわけです。勝手な予想なんですけど。
全体的に地味ではありつつもテンポは良いので、個人差はあるでしょうが地味さに負けて集中力を欠くような残念さからも遠い気がします。
結構古い映画はその辺で観てるほうがダレちゃう場合があるので、これまた結構大事なポイントではないかなと。
そんなわけで諸々考えると「地味でイケメンも美女も登場しないくせにじっくり観られちゃってすげぇ」みたいなバカっぽい感想を抱くわけですよ。さすがよく名前を聞く映画だけあるな、っていう。
久しぶりに古めの映画を観たせいか、やっぱり「名の知れた古い映画」は最近の映画と比べると地力があるというか、映像面で勝負しない(したくてもできない)分、内容や細部がしっかりしていて良いよなぁと改めて思いましたね。自分が欲してたから、っていうのも強いんでしょうけど。
そもそもジーン・ハックマンだって見た目が良いわけでもないのにどっしりとメインを張ってるわけだし。同時期に活躍した同じく名優のジャック・ニコルソンも思い出しつつ、「見た目勝負ではない演技力と引力で魅せる俳優」はすげーな、とこれまた再認識した次第です。
エンディングに出る時代感が最高
エンディングについてはもちろん詳細は書きませんが、この年代らしい余韻をまとった終わり方でこれまた素晴らしいですね。
きっと「えー、そういうオチかー」ってなっちゃう人もいると思うし、それが間違ってるとも言いませんが、少なくともこの映画と同年代の映画が好きな人であればたまらないものがあるんじゃないかなと思います。
やっぱりこれは間違いなくこの時代特有の空気感故のエンディングだと思うので、僕としてはもう「これこれぇ〜」とニヤニヤしちゃいましたね。くぅ〜! って。
続編は「ヒットしたから2作目作った(印象)」「監督変更」という嫌な予感も感じさせてはいるものの、もちろん観たいと思ってます。いつになるかは不明です。
このシーンがイイ!
宣伝番組では「史上最高のカーチェイスシーンとまで言われてる」とか言ってたんですが、確かにカーチェイスのシーンはなかなか迫力も緊迫感もあってよかったですね。何より高架を走る電車を追う車、っていう構図が他になくて。
いいシーンだなと思いつつ、漫然と「ああいう時警察に自分の車持って行かれたらどこまで保証してくれるんだろ」とか考えていたのは内緒です。
ちなみにこれまたどうでもいい情報ですが、黒幕のヒゲオヤジが序盤何か拾ってナイフで切って食ってるシーン、「ホヤでも食ってんの? でもフランスにホヤってあるのか?」と思ってたんですが本当にホヤでした。
ホヤってあんな拾いたてで食って美味いものなのか…!
ココが○
上に書いた通り、地味なんですが丁寧で事件にフォーカスした作りである点。何より理解しやすく、実際にあった事件というのも相まって古い映画に慣れていない人でもしっかり観られるんじゃないかと思います。
ココが×
特にこれと言っては無いかなぁ。
当然古い映画なので向き不向きはあると思いますが、逆に僕のように「70年代の映画が観たいぜハァハァ」という御仁は確実に満足できる映画ではないかなと思います。
MVA
みなさんとても良かったですが、久しぶりに観たということもあって順当に。
ジーン・ハックマン(“ポパイ”ジミー・ドイル役)
主人公のストロングスタイル刑事。
今の価値観的に観ると、刑事としてはいろいろ「うーん」と思う部分はあるんですが、その突破力故にこの話になったとも思うし、またその不完全さ故にエンディングの味が出たとも思うので、なんだかんだ良い主役だなと。
そしてそれをこの時代に最も完全に演じられたのがこの人だったんだろうというのも納得感が強いです。やっぱりジーン・ハックマン良いよね…。