映画レビュー0086 『ゴッドファーザー PART II』
おそらくですが、これが今年最後のレビューになると思います。「24」が届いちゃったからね! これから観ちゃうもんね!
ということで少し早いですが、ひとまずみなさま、よいお年を。来年もよろしくお願い致します。
[2017年追記]
このレビューからもう6年も経つんですね…。
今年の正月にたまたま年明けと同時にBSで3作連続放送していたので、ぼけーっと観ていたらやめらなくなってしまい、結果的に改めて全部再鑑賞してしまいまして。正月休みだからこその贅沢な時間だと思うんですが。
その結果、結局この「パート2」が一番だなと思いました。やっぱりヴィトとマイケルの対比が秀逸すぎる。映画経験値の蓄積により、改めてとても残酷でとても切ない素晴らしい映画だと気付かされましたね。
ゴッドファーザー PART II
構成で見せる“残酷さ”で名作感プンプン。
全体的な雰囲気は前作通り、陰影のコントラストが映える絵作りと重厚なストーリー展開が3時間超続く映画です。
さすがに長いので、正直なところ途中は眠くなったりしたんですが、やはりラスト前の展開はすばらしく、これまた前作同様、表情ですべてを語るアル・パチーノの演技が秀逸。
また、上り詰めていくヴィトの人生と人間性を重ね合わせ、失っていくマイケルの「今」を対比させる演出が印象的でした。
特にヴィトの人間性という部分では、前作で観られた穏やかな優しさと賢さ、そして強さが若い頃からあったんだなーという視点を強烈に印象付けてくれることで、段々と権力に染まり、今のマイケルが「かつてのマイケル」ではなくなってきていることを引き立たせ、栄光と凋落を見事に描いています。
正直、「うわー、めっちゃおもしろかった!」とイェーイ的に勢いで評価する映画ではないんですが、何とも言えない味わいというか印象というか、ヴィトとマイケルの対比をありのまま見せる作りが残酷さを感じるほど印象的で、この映画はすごいなぁとしみじみ思いました。
なるほど、こりゃー名作だ。
ココが○
映像の質感は相変わらずすばらしく、特に表情がものを言う映画だけに、あのライティングの巧みさはすごいですね。
あとは青年ヴィト時代の街並みと、セピアがかったトーンがまた印象的でした。
一つ、あまりのうまさに唸ったのが、ラスト前の父・ヴィトの誕生日のシーン。
まだもちろん兄弟全員存命中の頃、全員集合し、マイケルも優しい表情の「昔のマイケル」。ここであのシーンを差し込むセンスと言ったらもう。これはほんっとにうまいなぁと思いましたね。そしてまた残酷だなぁ…と。
有名な話ですが、このシーンではマーロン・ブランドに出演をオファーしたものの彼は現れず、仕方なくヴィトが登場しない形でシーンを組み立てたそうですが、それが逆にいろいろと観ているものの感情を揺さぶる印象深さにつながっています。来なくてありがとうマーロン・ブランド。
超の付く名シーンですね、ここは。
ココが×
まー長いですね。やっぱり。
緩やかに話が進んで、ずっと緊張感を持って観るタイプの映画ではないので、なかなか集中力を切らさずに観るのが大変です。
前作のときも書きましたが、良い映画なんだけどこれだけ長いとやはりそうそう「また観るか!」と思えないのが残念。
ただ、無駄に長いわけではなくて、話の内容からして長くなるのもしょうがない映画なので、「長いからダメだ!」と言えないのもむずがゆいところです。
MVA
アル・パチーノは本当に「あのマイケルか!?」と思わせるほどの演技力で、さすがだなーとつくづく感じましたが、今回選ぶならこの人かな、と。
ロバート・デ・ニーロ(ヴィト・コルレオーネ役)
おそらくこの人のことなので、相当前作を研究して臨んだことと思いますが、まあ表情から仕草からしゃべり方から、完全に前作ヴィトの「若い頃」そのもの。寒気がするぐらい、マーロン・ブランドの陰を感じましたね。スゴイ。
余談ですが、今まで観たデ・ニーロの中で一番若い時期だったんですが、まー予想通りというか、これまたイケメンでしたね。かっこいい。
あともう一つ余談ですが、トム役のロバート・デュヴァル、一気にハゲすぎてたのがまた残酷。