映画レビュー0701 『グレートレース』
レビューはストックしておいて土日に小出しにしているのでわかりにくいんですが、実は最近いろいろと(ありがたくない意味で)バタバタしていて映画を観るのは久しぶりだったりします。ちなみに本日は7月16日、週末にはいよいよスプラトゥーン2ということで、より映画を観る頻度が減りそうな予感…。
今日もBS録画より、古い映画です。
グレートレース
ジャック・レモン大先生とピーター・フォークによるワイリー・コヨーテ。
「ニューヨークからパリてwwwwww」と思っていたら実際に1908年に行われたレースを元に作られたお話とのことで、さすが1900年代前半、何もかも勢いのあった時代だなぁと感心しきりでしたが、そんな若干実話含みのレースを描くコメディ映画でございます。
予告番組を観た時に「なんかチキチキマシン猛レースっぽくて面白そうだな!」と思って録画したんですが、実際チキチキマシン猛レースはこの映画が元ネタだとか。そう、まさにあんな感じなんですよ。イメージ的に。って言ってももう今時「チキチキマシン猛レース」自体通じない気もしますが…。僕ですらリアルタイムでは無かったですからね。あれ。その後のいろいろで目にして知ったようなもんで。
まあそんなわけでですね。どんなわけかわかりませんけども。割と荒唐無稽なマシンを操る人たちが「グレートレース」優勝をかけて戦う…話なんですが、実際はほぼグレート・レスリー vs フェイト教授&助手のマックスチームの戦いです。そこにキーマン的な女性新聞記者・デュボアが図らずも引っ掻き回してくれますよ、というコメディ映画。
尺からわかる通り結構長めの映画なんですが、序盤…つまり「グレートレース開催」までがそこそこ長く取られていまして、この序盤戦で「グレート・レスリーに対抗心を燃やし、罠にはめようとする教授コンビ」と、各々がグレートレース用のマシンを用意している様を描いているんですが、この序盤戦がちょー面白かった。
「サイレント映画の手法やギャグが多く使われている(by Wikipedia)」そうですが、なるほど確かにそういう感じで。これまた「男性の好きなスポーツ」同様、ベタなんだけど笑っちゃうド直球ギャグがたまらなかったですね。もうバカバカしくてバカバカしくて、わかってるんだけど笑っちゃう、的な。
で、ニヤニヤ笑いながらこれなんかに似てるなーと思って考えていたんですが…思い出しました。
ロード・ランナーですよ! あの!
いや、あの穴掘るロボじゃなくて。ハドソンのアノ人じゃなくて。アニメの方のです。これまた知らない人多そうですけどね…僕の周りでは大流行りだったんですけどね…。鳴き声が「ミ・ミ!』っていう。バッグス・バニーの番組内でショートアニメで出てきたやつですよ。あの。
ロード・ランナーがグレート・レスリー、そして彼を捕らえようと様々な罠を駆使するも失敗に終わるワイリー・コヨーテがフェイト教授とマックスのコンビだな、と。
あれを知っている人ならすごく伝わると思うんですが、まさにあの感じのやり取りを前半繰り広げてくれまして、これがまあ楽しい楽しい。
教授コンビの技術力なんて今の時代から見てもすごいし、絶対才能あるんだけどバカ過ぎて失敗するっていう。そういうところも非常に最高でですね。たまらなかったですねほんと。
んで、そのフェイト教授を演じるのがあのジャック・レモンですからね。僕が今まで観てきたジャック・レモンとはだいぶ違う、ガサツでウルサイ感じのキャラクターでしたが、まあもうそれはさすがジャック・レモン大先生のことですから。ひたすら「レモンすげぇレモンすげぇ」と思いながら観ていました。
後半、彼は1人2役で別の役でも登場するんですが、これがまたすごい。すごいアホ。コレ以上にアホっぽい人って演じられるんだろうか、っていうぐらいにアホ。
もうね、ほんとにジャック・レモンが好きであれば必見の映画だと思います。素晴らしいです大先生。そして相棒のマックスを演じるのは、あの刑事コロンボでおなじみのピーター・フォーク若かりし頃の。(倒置法)
これまたイメージにないすっとぼけ感満載で素晴らしくてですね。なんて豪華なバカ映画なんだ、と嬉しくなりました。
という感じでかなり楽しんでいたんですが、しかし。
後半、その二役目のレモン大先生が登場する辺りから、ちょっとそれまでのバカバカしい単純コメディから若干込み入ったお話になって来るんですね。レースじゃねーだろそれ、っていう感じの話に。ここでやや複雑にした…というか、変化球主体になっちゃった感じがしてテンションダウン。
一本調子で最後までは飽きちゃうし難しい、っていう事情もわかりつつ…でもちょっとここでガクーンと間延びしちゃった印象で、あろうことか結構眠くなったりするぐらい、急激に冷えていきました。僕の気持ちが。これがねー、非常に残念でしたね…。
が、眠くなってるところに突然「男爵のお別れシーン」をぶち込んできたりするので油断できません。目も覚めます。っていうかあのシーンいらんやろ!!(最高)
っとこの辺はご覧いただくとして。
僕としては前半戦の超楽しい時間のおかげで後半戦に対する期待もひどく膨らんでいたので、後半やや失速気味な展開になってしまったために鑑賞後はちょっと残念感があったんですが、でもやっぱり振り返ると最高だったな、と。
この映画のウリの一つが「映画史上最大のパイ投げ合戦」らしいんですが、もうこのウリ自体がバカすぎる。シーン自体の意味もまったくなくて、もうバカバカしすぎて最高。そういう映画です。
なんとなく思ったんですが、コサキン(小堺一機と関根勤)の二人が超好きそう。この映画。いや絶対好きだわ。確信を持って言える。そんな映画でした。
このシーンがイイ!
まずオープニングがちょー良かったですね。油絵紙芝居的な温かい味のあるオープニングで。ああいうのは全然古くならなくていいなー。
一番笑ったのは、デュボアがフェイト教授宅に訪ねたときの「マァーックス!」。マックスとばっちりで最高。もうほんっと最高ですから。このシーン。
「頼む…! レモン大先生『マァーックス!』って言ってくれ言ってくれ…言ったー!」って感じで。笑った笑った。
ココが○
上に書いた以外で言うと、地味に美術面が良かったですね。
まずグレート・レスリーの乗る車が(今から見るとアンティーク的に)ちょーーーかっこいい。めちゃくちゃかっこいい。あとフェイト教授の屋敷の中もすごくかっこよかったですね。ゴシックホラーな感じというんでしょうか。いかにもマッドサイエンティストが住んでそうな感じのセットで、もう本当に素晴らしいんですよ。ゲーム「ヴァンパイア」に出てきそうな屋敷。わかる人ならグッと来るのもわかるでしょう。
ココが×
やっぱりちょーっと後半の「寄り道」がなぁ…。あそこでテンポが犠牲になっちゃった気がします。あそこもハイテンションで突っ切るような内容だったら、かなり満点近かった気がする。
MVA
グレート・レスリーを演じるのはトニー・カーティス、あの「お熱いのがお好き」でジャック・レモンと女装したお方です。そしてヒロインがナタリー・ウッド。良い感じにかき回す役割をエロかわいく演じる、という完璧な役回りでした、が…!
ジャック・レモン(フェイト教授/皇太子ハプニック役)
1人2役のこの人には勝てなかった。っていうかこの人がすごすぎた。
この人を超えるコメディスターって出てくるんでしょうか。もう時代的に無理な気がする…。大変堪能させて頂きました。ごちそうさまでした。