映画レビュー1384 『ワンダー・ガールズ 東方三侠』
先週から頭に帯状疱疹ができてしまい、痛すぎるので先週は更新サボりました。
今もまだ痛いんですがそこまでひどくはないので復帰です。
さて今回は例によって終了間近シリーズ。今回はJAIHOです。調べたところ結構くだらなそうだったので観てみました。
ワンダー・ガールズ 東方三侠

意外と今の時代に向いてる…のかも?
- 赤ちゃんが大量にさらわれるも例によって警察は無力
- しかし俺たちにはワンダー・ガールがいる! ということで彼女が事件解決へ動き出す
- 一方賞金稼ぎのチャットも参戦してきて…
- いろいろひどいけど“女性が強い”一点で今の時代にハマる可能性
あらすじ
まー予想通りにひどかったんですが、この時期の香港映画のひどさからしか得られない栄養みたいなものがあって楽しめました。
香港では赤ちゃんが大量に消息を絶つ事件が発生。警察本部長の子もターゲットに狙われたとのことで張り込む警察ですが他の子と一緒にあっけなくさらわれていきます。
しかし香港にはご存知ワンダー・ガールがいる…! ということで謎の女性、ワンダー・ガール(アニタ・ムイ)が今まさにさらわれようとする赤ちゃんを確保しますが取り戻せたのは1人だけ。本部長の子はさらわれてしまうのでした。
一方警察が解決できない事件(またかよ)もあっさり一人で突入・解決してしまう凄腕の賞金稼ぎ、チャット(マギー・チャン)は本部長から子どもを取り戻してほしいとの依頼を受け、赤ちゃん消息不明事件に参戦。
さらわれた赤ちゃんたちは何やら怪しげな組織によって育て上げられているようですが…果たしてどうなるんでしょうか。
雑さが楽しい
とりあえず勢いで見せていく感じの映画なので割とストーリーは雑だし覚えてない部分もあるしであらすじも雑です。サーセン。
ジャケット(イラストは輪をかけてひどいので画像検索推奨)や主演陣からもわかる通り、「女性3人の活躍を描いたアクション映画」なんですが、一人はワンダー・ガール、もう一人は賞金稼ぎのチャット、最後の一人は…おっとこれは内緒にしておきましょう。(というほど大したネタバレでもないんだけど)
その最後の一人を演じているのがあのミシェル・ヨー(当時の芸名はミシェール・キング)で、確かに面影があるなと思いつつしかしこの映画黒歴史になってない!? 大丈夫!? といらぬ心配をしてしまうところです。
「香港映画…黒歴史…ウッ」と来れば思い出すのは「ロボフォース 鉄甲無敵マリア」(のトニー・レオン)なんですが、この映画のチープさはまさにあの映画を思い出させる雰囲気があり、やっぱりこの頃の香港映画ってこういうノリなんだろうな〜と変なところで感心。
一応あの映画よりはB級感も(若干)薄く、今も活躍中の監督ジョニー・トーが手掛けているだけにそれなりにちゃんと作ってる感はある…んですがやっぱりひどい。いろいろツッコミどころ満載です。それが楽しいんだけど。というかむしろジョニー・トーだからこそなのか!?
最初にワンダー・ガールが出てくるシーンはさらわれる赤ちゃんを救うシーンなんですが、早速空中を滑る雑アクションで爆笑しました。「ああそういうやつね」とスイッチ入って普通にゲラゲラ笑うモードに入る、みたいな。
おまけに「来た! ワンダー・ガールだ!」と民衆に待望されているところからのスタートになるので、こっちは初見で何者なのよ状態から入ってるのに劇中ではすでにおなじみ感が漂っており、一切説明なしに「ワンダー・ガールキター!」みたいな力技は逆に気持ちよかったですね。
で、ミシェル・ヨー演じるサンはとある研究者と(おそらく)同棲しているんですが、どうもその彼の研究している内容が結構危険なようで研究室と居住スペースは厳格に区切られているわけです。鍵かけて、危ないからお前はこっち来るな! と。なぜか全面ガラス張りでシャレオツな研究室なんだけど。そこに予算かけるなよ。
まあガラス張りは気になったとしても撮影的な意図もあるだろうしと飲み込んで観ていくんですが、後半物語の盛り上がりに合わせてその研究室内部でやたら書類が舞い始めるんですよね。もう尋常じゃない量の書類が舞うんですよ。台風だけど窓開けちゃってたのかな? みたいな。
これ空調どうなってるんですかね? ミシェル・ヨーを隔離したところで危ないですよ? といちいち気になっちゃってダメでした。もう。笑っちゃって。劇的でかっこよさげな演出なんだけど設定と不一致すぎて爆笑、っていう。いやあすごい。ジョニー・トーのパワー。
逆に今の時代に合った映画でもある
まあそんな感じでところどころ「カッコつけてるんだけど笑っちゃう」ところが良い映画でしたね。笑わせようとしてるのかわからない…というか多分大半は真面目にやってるんだろうけど笑っちゃうという。
ただそういうふざけた(ふざけてはいないんだろうけど)ところを観て「面白いよ」というだけの映画でもなく、やっぱり書いておきたいのは「男性陣が軒並みポンコツの一方で主演の女性3人が強くてかっこいい」というのはなかなかこの時代レアな映画だったんじゃないかな、ということ。
その上セクシー方面のサービスも特に無いので、純粋にこの3人のスター性を生かした映画っぽいんですよね。安っぽい売り方ではない複数女性主人公映画という感じで。
今であればそれこそ「マーベルズ」みたいな映画もあります(未見です)が、この当時これはなかなか新鮮だったんじゃないかなと思うんですよ。ましてやとかく男性優位に見られがちな東洋文化圏の映画で。
それ故に逆に今の時代に合っている面もあったりして、なかなかゲラゲラ笑ってバカにするだけではもったいない映画…なのかもしれません。
それでも研究室の書類はやりすぎだろ、とジョニー・トーに会うことがあったら言ってやりたいと思います。本人忘れてそうだけど。
このシーンがイイ!
ワンダー・ガールとチャットの2人がバイクに乗って敵を止めに行くシーンが一番笑いました。最高。
それと終盤なのであんまり詳細書けませんが、赤ちゃんたちがいるであろう拠点に何の迷いもなく大量のダイナマイトを放り込んでるのにも爆笑しました。絶対死ぬと思います。
ココが○
笑える雑さと女性主人公の使い方。特にエロスに走らず“カッコよさ”で勝負しているのは好印象。
ココが×
ストーリーはかなり雑だし勢いで進んでいく上に笑ってると余計に意味がわからなくなってくるので、結局何を見せられているのかよくわからなくなってくるという難解さがあります。難解なのか?
個人的にはどうせならもっと弾けてほしかったけど、そうすると本当にただの「バカ映画」になってしまうのでこの程度に収めておくのが良かったのもきっと事実なんでしょうね。
MVA
主人公の3人は皆さんそれぞれの魅力があって良かったと思いますが、やっぱりいろいろ考えるとこの人なのかなと。
アニタ・ムイ(トントン/ワンダー・ガール役)
ご存知ワンダー・ガール。知らないんだけど。
例によって仮面舞踏会みたいな仮面をつけると夫ですら気付かないという仕様です。良い。そのお約束感が良い。
僕もこれで初めて見た人なんですが、40歳という若さでこの世を去ってしまったこともあり、今でも根強い人気を誇る方だそうです。
確かにすごく綺麗だしかっこよかったですね。主人公らしい魅力を持っていたように思います。
ちなみにマッチこと近藤真彦とお付き合いしていたこともあるそうで、さり気なくギンギラリンされたりしたんでしょうか。自分で書いていて意味がわかりません。