映画レビュー0060 『インサイダー』

2回目の鑑賞ですが、ほぼ覚えてません。

1回目は僕もまだ若かったので、「深さ」までわかってなかったんじゃないか…と2度目の鑑賞なワケです。

インサイダー

The Insider
監督
脚本
マイケル・マン
出演
音楽
リサ・ジェラルド
ピーター・バーク
公開
1999年11月5日 アメリカ
上映時間
157分
製作国
アメリカ

インサイダー

アメリカのタバコ産業の不正を告発しようとする、元重役とテレビプロデューサーの実話。

重厚な社会派ドラマ。配役の妙が光ります。

8.0

ラッセル・クロウとアル・パチーノが共演、という時点で、なんか画面から唾が飛んでくるんじゃないか的な強烈なオフェンシブ映画になりそうなイメージですが、全体的に二人とも抑えた渋い演技。

ラッセル・クロウは、どうしようもないオッサンが「ラッセル・苦悩だね!」とか言っちゃいそうなぐらい、とにかく苦悩・苦悩・苦悩。

タバコ産業という超巨大組織を相手に、命や家族の危険を前に、ひたすら苦悩するビジネスマンをきっちり演じてます。役作りの一環なんでしょう、かなり歳を食った「くたびれた」人物のイメージがバッチリ。

対するアル・パチーノの役どころは報道に携わる敏腕プロデューサー。アツイ心を持ちつつも、基本的には冷静で賢く、情報源(ラッセル・クロウ)を励まし、なだめ、支えていきます。今作では、画面狭しと走り回るアル・パチーノでも、目がイカれて狂ってくるアル・パチーノでもなく、まさに「報道の良心」とでも言うべき、信念で行動する人を渋く熱演。

さて、物語ですが。

実話を元にしているだけあって、会社名も実名がモサモサ。タバコなんて「Kool」とか銘柄まで出てきたり。

全体の流れとしては、最初は「タバコ産業の不正」を中心に話が描かれますが、徐々に「大メディアの報道のあり方」が話の中心にシフトしていきます。これがこの映画のミソでしょう。

「メディアも屈することがある」という事実は、観ていれば「へー。まあそうだよね」ですが、実際、今の日本に当てはめてみるとなかなかそう看過できないものがあります。

残念ながら、日本のマスメディアはほぼ例外なく腐っているので、こうした圧力に弱く、権力側の報道が目立つのも事実。

この映画では、アル・パチーノ扮するプロデューサーが、信じた正義を頭脳的な作戦で実践に移していきますが、果たして日本にこれだけの賢さと正義を持ったジャーナリストがどれだけいるのか。正義を持った人はいると思いますが、その人が彼のように作戦に長けているのかどうか。

その答えはわかりませんが、そういった「ジャーナリズム」を持った人たちにはぜひ観て欲しい映画ですね。

渋く、淡々としつつも、非常に重要な世間の闇を真摯に描いている映画なので、社会派作品が好きな方には、ぜひオススメします。

あと、喫煙者のみなさんにも観て欲しいですね。そろそろタバコは辞めましょう。

ココが○

この二人に似つかわしくないような役柄ですが、でも実際に観てみるとぴったりなんですよね。そこがすごい。

何がすごいって、「声」の違いがすごく生きてるんですよ。

この映画は、やっぱりこの二人のやりとりが話の中心になってくるんですが、ラッセル・クロウは低音であまり抑揚のないすごく渋い声で、アル・パチーノは反対に少し高音でしゃがれた声なわけです。この対比がすごく良くて。

電話のシーンも多いので、ひょっとしたら声で配役を考えた部分があるんじゃないかな…と思うぐらい、ハマってました。

ココが×

非常に真面目で重厚な社会派ドラマなので、眠くなる人は完全に寝るでしょうね。

ドラッグ・セックス・バイオレンスどれもないけど、これほど観る人を選ぶ映画もなかなか珍しいような。

社会構造だとかジャーナリズムだとか、そういうものに興味がないとなかなか退屈な映画かもしれません。長いし。

MVA

さて、どっちにするか、というところですが。

アル・パチーノ(ローウェル・バーグマン役)

で。

二人とも甲乙付けがたいすばらしい演技だったんですが、アル・パチーノは役どころの良さも手伝ってやっぱりすごくかっこいいんですよね。アツイ心を秘めたジャーナリストっていう役どころがすごくぴったり合ってたし、転んでもただでは起きない感じがまた合ってて。

演技で言えばきっとラッセル・クロウの方ですが、役どころのおいしさを入れて、今回はアル・パチーノにしときます。

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