映画レビュー0595 『マイ・インターン』

劇場で予告編を観た時からすごく観たかったコチラの映画。ようやく借りてきて観ました。

マイ・インターン

The Intern
監督
ナンシー・マイヤーズ
脚本
ナンシー・マイヤーズ
音楽
公開
2015年9月25日 アメリカ
上映時間
121分
製作国
アメリカ

マイ・インターン

長年勤めた仕事も定年を迎え、平和ながら退屈な日々を送っていたベン。ある日、とあるアパレル系ネット通販会社のシニアインターン募集の広告を見つけ応募、「気難しい」ことで知られる女社長の助手として採用される。

やさしい世界。

7.0

ネットもよくわからないお爺ちゃん(とロバート・デ・ニーロに対して言うにはちょっとまだ抵抗がありますが)が、その人柄で周りを変えていくヒューマンコメディ。…と書いておいてなんですが、「コメディ」と言うほど笑いに寄せているわけではなく、かと言って「ヒューマンドラマ」と言うほどお堅くも涙を誘う感じもなく、軽めのヒューマンドラマという感じでしょうか。肩肘張らずに見られる、深さはそこまで無いものの浅過ぎもしない、いいバランスの映画だと思います。印象としては「イギリス映画をアメリカが作った」感じ。伝わらないだろうけど。

内容としてはもう予告編そのままで、アン・ハサウェイ演じる女社長ジュールズが、仕事と家族といろいろ頑張りすぎて疲れてきたところに、ロバート・デ・ニーロ演じるベンが人生の先輩として彼女の背中を押し、前を向いて頑張っていこう的なお話です。

まあありがちと言えばありがちだし、読めると言えば読める内容。ただ、この映画ならではの特徴と言っていいと思うんですが、まあとにかく嫌なやつがいない。

爺さんが入ってきた会社の面々もすぐに打ち解けて彼を先輩として、そして友人として尊重するし、ジュールズも最初の距離をとっていた時でさえ、そんなに嫌な雰囲気はないし。とにかく全体的にやさしい世界。当然、ちょっとした事件もあれば悩みも出てきますが、それでもやっぱり嫌な人は出てこないし、観ていて不愉快になるようなこともない。となるとちょっと物足りなくなりそうな気もするんですが、これが不思議とそういうこともなくて、観ているこっちもとても優しい気持ちになれました。

これはもしや「96時間」の逆バージョンというか、やさしい世界も突き詰めれば気持ちいいものになる、ということなんでしょうか。わかりませんが。ちょっと僕の中でのランクとしてはこの映画よりもだいぶ上の映画との比較になりますが、雰囲気的には「ドライビング Miss デイジー」に近い印象。ああいう心地よさが少し感じられて、安易なトラブルやグッバイに持って行かない安心感のある作りは好きです。

とは言え、やっぱりその分少し盛り上がりに欠ける面はあったのも事実で、平和な映画な分、期待ほどではなかったのも正直なところ。ホロリと来るつもりで観ていたんですが、それもなく。

まあ、ちょっとこの映画は妙にいろんなところで話題に上っちゃっていた(さまぁ~ず×さまぁ~ずでも言ってたし)が故にハードルが上がっちゃった面もあったのは事実なので、まだ観ていない方々にも「期待し過ぎは良くないよ」と申し上げておきましょう。ただ、観て損するようなことはないと思います。誰が観てもほぼ不満のない映画ではないでしょうか。

しかし…ロバート・デ・ニーロもこういう役をやる時代になったんだな、としんみり…。どっかにナイフを隠し持ってるんじゃないか…と疑いたくなった人も少なく無いと思うんですが、まあ本当にもう完全なる“好々爺”で。すげー良い人だしすげーかっこいいしすげーかわいいお爺ちゃんなんですよね。ロバート・デ・ニーロが。そこに一番しんみり来ましたね、実際…。

かと言ってそれが似合っていないわけではなく、やっぱりロバート・デ・ニーロにしか出来ない感じもあって、そこがまた良かったのも事実なんですが。この役は流石にアル・パチーノには似合いませんからね…。

「敵役」も出てこないやさしい世界で、ロバート・デ・ニーロが好々爺を演じる。これはもうこういう「時代」なんでしょうね。みんな疲れていて、こういう話を求めてるんだと思います。そう考えるとまた少し寂しくもありますが…。

まあ、一番寂しい気持ちになったのは「35歳以上の老眼の方にも見やすいように…」っていうセリフでしたけどね。もうこちとら老眼に怯えて暮らす「時代」ですよ…。

このシーンがイイ!

鏡に映る自分に向かって語りかける場面はもう完璧「タクシードライバー」でしたからね。内容はすごく平和だったけど、ロバート・デ・ニーロが鏡に向かって語ったらあかん。伝説の再来になってまうやないか、と震えて観ました。

往年のファンとしてはそのシーンもたまりませんでしたが、もっとたまらなかったのは…やっぱり「オーシャンズ」のシーン。「なんかオーシャンズ11みたいだな!」の一言からBGMも実際に(多分)「オーシャンズ」で使われていたものに変わり、カット割もそれっぽい雰囲気に。オーシャンズ好きとしては本当にたまらなかったです。最高。これで出ている人が全員微妙だったら「パクリかよ」となりそうですが、なんせロバート・デ・ニーロがやってますからね。オマージュ感すごい。最高。

あとは「ハンカチは女性に渡すために持つ」的な名言をサラリと言うかっこよさもポイント。それと「新聞を渡す」シーンも良かったな~。日本だったらちょっとしたいじめになりそうなシーンだったけど。やさしい世界。

ココが○

とにかくやさしい。それ以外に無いです。映画自体の癒しパワーはかなりのものでしょう。

後は当たり前ですがアン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロがデキちゃう的な方に行かなかったのも◎。

ココが×

この手の話はどうしても「収まるべきところに収まる」ので、あまり予想外な部分がないのは仕方のないところでしょう。最も予想外だったのはロバート・デ・ニーロが一度もキレない、という点かもしれません。

MVA

メジャーどころはロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイ、それにレネ・ルッソぐらいだったと思いますが、とは言え他の面々もとても良かったです。社員たち然り、旦那さん然り。でもやっぱり主演二人のどっちかだよな、ということでコチラの方。

アン・ハサウェイ(ジュールズ・オースティン)

なんか段々パーツがでかくなってきている気がするんですが。目に口に、おっぱいに。

ロバート・デ・ニーロの役と比べると、まあ泣いて怒って感情の起伏が激しい役だったんですが、その辺しっかり説得力を持たせつつ、相も変わらず「がんばる女子」がウマイ。美人過ぎないのがいいんでしょうね。愛嬌がある感じというか。共感を持たせやすい雰囲気がある気がする。ただ実際の性格は悪いらしいですよ。(噂話レベル)

ロバート・デ・ニーロはもうロバート・デ・ニーロなんで、今更良いの悪いの言うレベルではないというか。そりゃ良かったですよ。こんな役も完璧かよ、と。

やっぱり間と表情が素晴らしいですね。本当にこの人も他のレジェンドと同様、長生きしてもっともっといろいろ見せて欲しいですね。

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