映画レビュー0479 『ザ・バンク 堕ちた巨像』

いやー、これ観たかったんですよね。運良くBSでやってくれたので録画しました。

ザ・バンク 堕ちた巨像

The International
監督
トム・ティクヴァ
脚本
出演
アーミン・ミューラー=スタール
ウルリク・トムセン
ブライアン・F・オバーン
音楽
トム・ティクヴァ
ジョニー・クリメック
ラインホルト・ハイル
公開
2009年2月13日 アメリカ
上映時間
117分
製作国
アメリカ・ドイツ・イギリス
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

ザ・バンク 堕ちた巨像

ルクセンブルクにあるメガバンク・IBBCがミサイルの取引をしているとの情報を受け、内密に捜査を進めていたインターポールだが、捜査官が証人と接触をはかった直後に死亡、数日後には証人も交通事故で死んでしまう。調べれば調べるほどきな臭いIBBCを追うため、インターポールの捜査官・サリンジャーはニューヨークの検事・エレノアと共に捜査を進めるが…。

ところどころの力技が残念すぎる。

6.5

「銀行の犯罪を暴く」というなかなか珍しいタイプの社会派サスペンス…かと思って期待していたんですが、終わってみればアクションサスペンスかなと。

胡散臭い銀行が何をしているのか、それを掴むために捜査するインターポール&検事、って筋は大好物なんですが、いかんせんところどころ力技なんですよね。

銀行側も知的に攻めて欲しいところですが残念ながらすぐ殺しに頼るし、何より一番の見せ場っぽいところがドンパチだったので、こりゃー期待してたのと違うぜ、と。ネタはいいだけに、もっとジリジリと、銃弾なんて出てこない形でヒリつくようなサスペンスにして欲しかった。

最後は最後で「いやそれ気付くだろ普通」ってな感じの、あからさまにカメラワーク&映画的手法で結末を作り上げていてとんでもなくリアリティがないので、なんとも中途半端に終了させられた感じで。

ただ結構なんだかんだ言いながら、ラスト15分ぐらいまでは面白かったんですよ。結構集中してしっかり観られるだけの内容ではありました。ドンパチは気に食わなかったものの、それなりに重厚な作りで、サスペンスらしい陰謀を振りまきつつの展開は楽しめました。それだけに、最後の方一気に力技で押し切ろうとしちゃう感じがいかにも力量不足な感は否めず、非常に惜しい映画だと思います。

ちょっとストーリーの大枠と詳細がマッチしていなかったというか、大枠は完全に「社会派サスペンスがお好きな方向け」という内容だと思いますが、細部は娯楽アクションのそれっぽいので、「インサイダー」みたいな渋いサスペンスを期待していた僕としては、ラストが近付けば近付くほど残念感が増すような感じで。

惜しい。画作りとか間の取り方は結構好きだったんですけどねぇ。それだけに、つくづく力技が惜しい。

ただ最近我ながら、「サスペンスが好き」なだけにどんどんサスペンスに対して厳しい見方になってきている気がするので、「そんなシビアなサスペンスじゃなくてイイよ」って人は結構楽しめるかもしれません。決して作りは悪くない映画だと思います。真面目に作ってるし。

ただし、主演はルー大柴です。ハリウッドのルー大柴。

このシーンがイイ!

サリンジャーが“殴る”シーン。ああいうシーン珍しいですよね。味があった。

ココが○

テンポや見せ方はすごくいい映画だと思います。オープニングのルー大柴のアップもすごく惹きつけるし。いかんせん僕が期待するような作りだと地味にならざるを得ないので、一般受けを狙うならこういう形で良かったのかも。

ココが×

とは言えやっぱりドンパチとか殺しに頼る展開は残念。

銀行のかわし方が力技かつずさんなので、やっぱりサスペンスとしては劣っているかなと思います。

MVA

散々ルー大柴だと書いておきつつも、クライヴ・オーウェン、結構好きです。男臭い感じが。ナオミ・ワッツも相変わらずのべっぴんさんで満足。パツキンというとどうもステレオタイプなおバカさんっぽいイメージの役が多い印象ですが、この人は特殊ですね。知的な役が多くて。

そんな中、今回はこの人にしようかと思います。

アーミン・ミューラー=スタール(ウィリアム・ウェクスラー役)

銀行幹部の参謀的な爺さん。

やー、やっぱ重々しい爺さんがいると締まりますよ。映画が。セリフの間もゆっくりと味わい深くて良かった。いい爺さんには末永く頑張っていただきたいですね。

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