映画レビュー0475 『英国王のスピーチ』

ご存知アカデミー作品賞受賞作品。

個人的にこの年は断然「インセプション」推しだったので、「なんだよこの映画!」と観てもいないのにいきり立っていた(ひどい)記憶があります。ようやく初鑑賞。

英国王のスピーチ

The King’s Speech
監督
脚本
デヴィッド・サイドラー
音楽
公開
2010年11月26日 アメリカ
上映時間
118分
製作国
イギリス・オーストラリア

英国王のスピーチ

幼少期から吃音症に悩まされていたイギリス国王次男・ヨーク公。王室の人間である以上、演説の機会も多いために吃音症を治そうと努力するが、どんな医者に頼んでも良くならなかった。そんなある日、妻であるエリザベス妃に連れられ、一人の言語療法士であるオーストラリア出身の男の元を訪れる。

国王だって人間だもの。

8.5

主人公であるヨーク公、後のイギリス国王ジョージ6世は実在の人物で、物語も(この手の映画にありがちな)多少の脚色を含みつつ、史実に則ったノンフィクション要素の強いドラマになっているようです。

物語のキーとなる吃音症はなかなか改善の兆しも見えず、進んでは戻り、戻っては進みの水前寺清子スタイルでお送りするわけですが、時代は激動の1930年代ということで、モタモタしている暇もなく第二次世界大戦の足音が…。さあ強いリーダーが求められるこの時代、彼は吃音症にどう折り合いをつけるのか…というお話になっております。

ただ、実は吃音症そのものよりもジョージ6世自身の友情と成長の物語になっていて、その人間臭さがすごくいい映画だな、と。

やっぱり王族も一人の人間、悩みもあれば怒りもするし、身分があるから孤独でもあるし、すーごい大変なんですよね。僕も日頃から皇室の人たちは大変だろうなぁと思いつつ見ているわけですが、これは皇室の人たちが観たら、一般人以上にいろいろと思うところがあるんじゃないでしょうか。

そういう立場の人に対し、あくまで対等の立場として治療を進めようとするのが、ジェフリー・ラッシュ演じる言語療法士のローグ。“対等”だけに何度も衝突するわけですが、そんな繰り返しのおかげで徐々に友情も育まれ、孤独な国王の友情物語という意味でも、静かながら熱いドラマに仕上がっています。

兄貴はテクニシャンな人妻にお熱だし、自分は吃音症だし国王としての教育も受けてないし…と一般人のような等身大の悩みを見せるジョージ6世の人間臭さがとてもリアル。そこにあの第二次世界大戦が絡んできて、激動の時代にどういう人間がリーダーとして国を引っ張っていたのか、歴史的な意味でも興味深い物語になっていました。政治ドラマの要素もあるし、地味ながらこの手の話としてはとても面白い映画だと思います。

加えて、この手の史実に基づいた話の場合、鑑賞後に登場人物について調べるのも一つの楽しみでしょう。まさか今のエリザベス女王がこのジョージ6世の子供だったとは。ってな驚きもあって、現実社会とリンクする面白さはこの手の映画ならではですね。

全体的に地味ではありますが、最後の演説は妙に感動的でじわりと涙しちゃったり。落ち着いた映画をじっくり観たい、という時には非常にオススメです。

このシーンがイイ!

最後の演説後、ローグに誇らしげな顔を見せるシーン。すごくいい表情で、じんわり感動。

ココが○

国王の半生、みたいに広く取っちゃうと薄まっちゃうし、吃音症に焦点を当てて人間性を浮かび上がらせる脚本はお見事。一つの要素をピックアップしただけですごく人となりが伝わるし、個人の描き方としては抜群だと思います。

ココが×

特にありませんが、まあ地味ではあるので、この手の映画が好きではない人には面白く無いかもしれません。

MVA

言語療法士・ローグを演じたジェフリー・ラッシュ、お妃様を演じたヘレナ・ボナム=カーター、どっちもすごく良かったんですが、でもやっぱりこの人でしょうね。

コリン・ファース(ヨーク公/ジョージ6世役)

本当にこの人吃音症じゃないのか、ってぐらいやっぱりウマイ。当たり前ですが役者だな、と。すごく自然で、かつ威厳もある王族っぽい佇まいもお見事でした。

それとコリン・ファースより年下のくせに兄役がハマっていたガイ・ピアースも好きなので嬉しかったですね。ガイ・ピアースファンの方々は、ローグがオーストラリア出身だ、っつって突っかかってたくせに兄貴役がオーストラリア出身ってどないやねん、と突っ込めること請け合いです。

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