映画レビュー0663 『リンカーン弁護士』

この日は大量に配信終了の映画があり、急いで1本でも…と定時に帰って選んだ映画がこちらの映画でした。が、無事配信期間延長となりました。

往々にしてよくあります。きっかけなので良いんです。

リンカーン弁護士

The Lincoln Lawyer
監督
脚本
ジョン・ロマーノ
原作
『リンカーン弁護士』
マイクル・コナリー
音楽
公開
2011年3月18日 アメリカ
上映時間
119分
製作国
アメリカ

リンカーン弁護士

時に詐欺まがいのやり口で金を稼ぐ、悪徳刑事弁護士のミック。彼に「金になる仕事」として、ある資産家の息子の暴行・強姦容疑の弁護の仕事が舞い込む。無罪を主張する依頼人だが、調べていくうちにいろいろと怪しい証拠が出て来る上に、かつて自分が同様に無罪を主張する被告に対し、司法取引のために有罪を認めさせた事件の手口と似ていることに気付く。

面白いんだけど…気持ちよさ薄め。

7.0

てっきり「リンカーンのように高潔な弁護士のお話」なんだと思ってましたが全然違い、この「リンカーン」は車のリンカーンのことでした。高級車です。この車の後部座席を事務所代わりに色々悪いこともしつつ金を稼ぐ弁護士・ミックが主人公のシリーズ物の小説が元になっている映画だそうです。

この主人公の弁護士・ミックがなかなか映画的には珍しいタイプの弁護士で、自分が良識派であるというフリすら見せずに、端から見てもアウトロー丸出しのちょいワル弁護士という御仁。それだけに、「無実の人を苦しめたらいけない!」とか「弁護してようが犯人なら罪を贖わせなければ!」みたいな暑苦しいことも言わない、ある意味とても現実的でリアルな弁護士という感じで、そこがまず良いなと。

序盤は彼の人となり、その「ちょいワル」な部分の説明シーンに始まり、やがて本編となる事件のお話に。お決まりのように無罪を主張する被告と、その弁護をしつつ真相に迫っていく主人公…という構図なんですが、ここがメインのお話ではないので書いちゃうと、実は割と早い段階でこの被告がどうやら犯人らしいことがわかります。おまけに、その犯行もどうも過去に自分が関わった事件とも関係がありそうだ…ということで、自分の中の正義と仕事の間で板挟みになりつつもプロフェッショナルとして仕事を遂行し、その過去の事件とのけじめをどうつけるのか、今目の前に現れたこの男と自分の因縁をどう決着するのか…という、なかなか深い、立体的な犯罪ドラマで面白かったです。

特に中盤は、主人公ミックが「ほぼコイツの犯行に違いない」と気付いたことを察知した依頼人に脅しをかけられ、お互い腹を探りつつ敵対しながらも裁判では協力し、弁護している…という相反する関係性がギリギリの緊張感を醸し出していて、先の読めなさと相まってとても惹きつけられるお話でした。そこにさらに別の事件に人間関係も絡みながら、はてさてどんな落とし前が待っているのか…的な映画です。

なんと言っても主人公が「並の弁護士じゃない」というか、まさに清濁併せ呑む大物感がある人物なので、依頼人との心理戦もしっかり受け止めて戦えるたくましさがあって、それ故にこの手の弁護士話としてはやや異質の展開にもついていけるキャラとしての強さがあり、そこがすごく良かったし面白さにつながっていたと思いますが、ただ…ラスト近辺がちょっとあっさりしてる気がしてですね。

特に解決編と言える終盤の見どころは、主人公のちょっと変わった人物像で引っ張った良質なドラマから一気に凡庸なサスペンス的人選に帰結しちゃったもったいなさもあったし、そこでの決着の付け方もあっさりなのでカタルシスに欠ける部分もあって、なんだか惜しいな、と。中盤はとても(自分の中で)盛り上がっていただけに余計に。

そんなわけでもう一歩うまくハマればめちゃくちゃ面白い映画になり得た気がして少し残念ではありました。

でもここで終わらせるには惜しい、なかなか面白い主人公だっただけに…次も観てみたいと思わせる魅力がありましたね。今のところは作られて無いけど。

このシーンがイイ!

シーンとしてズバリここが、っていうのは無かった気がする。でも別に全体的によくなかった、ってわけでもないです。

ココが○

主人公のキャラクターが一番でしょう。アウトローながら(当然)自分なりの正義をきちんと持っていて、そことの精神的な戦いも盛り込まれてるのが良かった。

ココが×

ラスト云々除けば、マリサ・トメイ演じる元妻との関係性がイマイチわかりづらかったのが少し気になりました。途中まで「元妻なの? 今いい感じなの? なんなの?」ってよくわからないっていう。

運転手雇うだの何だのとか刑事とのアレコレにしてもそうですが、主人公以外の人間描写はイマイチ丁寧さに欠けます。

MVA

ブライアン・クランストンがひじょーにシブくてよかったんですが、でもまあこの人でしょう。

マシュー・マコノヒー(ミック・ハラー役)

主人公。

映画の中の弁護士って言うとどうしても小綺麗なイケメンが多い印象なので、この人の人間臭い弁護士は結構新鮮でした。そしてすごく似合ってた。さすが。

スレ過ぎてない人間臭さも良かったし、お見事です。やっぱもうちょっとこの人のこの役、観たいなー。

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