映画レビュー1442 『マグニフィセント・セブン』

今回は例によってアマプラ終了系です。
今年ようやくリメイク元(荒野の七人)も観たので、やっぱりこっちも観ておきたいなということで。

マグニフィセント・セブン

The Magnificent Seven

「イコライザー」に片足突っ込んでる。

8.0
強欲実業家から町を守るべく、7人の男に救いを求める
  • 言わずと知れた「七人の侍」のリメイクの「荒野の七人」のリメイク
  • 直接のリメイク元と比べると、だいぶ現代的でわかりやすく面白い
  • 大筋はほとんど一緒、7人のキャラクターと悪役に違った個性があってこれも良い
  • なぜかエロくなってしまうヘイリー・ベネットが最高

あらすじ

ぶっちゃけ「荒野の七人」よりも面白かったんですが、それはまあ時代とキャストへの親しみもあってなんだろうと思います。安易にこっちが上とも言いにくいのが難しいところ。

町の近郊にある鉱山から金が採掘できることがわかったため、その権利を独占しようと強欲クソ野郎のボーグ(ピーター・サースガード)が二束三文で土地を買い占める宣言、当然納得しない町民が反感を表明するとあっさり殺されてしまいまして、やむなく全員涙を飲んで引き下がります。
しかし夫を殺されたエマ(ヘイリー・ベネット)はもう1人の町民テディQ(ルーク・グライムス)を連れて事態打開のための助っ人探しに向かい、そこで凄腕の委任執行官サム・チザム(デンゼル・ワシントン)と出会い、協力を要請。
最初は興味を示さなかったチザムですが、相手がボーグと聞いて依頼を引き受け、仲間探しを始めます。
やがて個性も人種もいろいろな7人が集まり、町へ戻って戦いの準備を始めますが…果たして…!

主役と悪役の意味

ということでリメイクなので当然ですがほぼ「荒野の七人」の流れに沿って進む今作。
設定的に「この人だな」という人も結構いつつほぼご新規っぽい人もいたりしてで「同じすぎず、違いすぎず」ないい塩梅のリメイクなのではないかなと思います。
「荒野の七人」では一部混血はいたもののほぼ白人男性チームといった趣でしたが、こちらは現代の世相を反映してか人種も様々。まあなんつっても主役が黒人ですからね。監督もだけど。
その他もアジア系(イ・ビョンホン)がいたりネイティブ・アメリカン(マーティン・センズメアー)がいたりと多様性の時代です。
だったら女性も入れたら良くね? と思ったんですがおそらくそれは“強いヒロイン”的なポジションにいるヘイリー・ベネットの役割なんでしょう。
しかし腐ってもヘイリー・ベネット、もう最初に登場したシーンから「そんな谷間出さなくて良くない?」と余計なことが気になってしまうぐらいに妙に艶めかしい雰囲気を醸し出しており、彼女としては珍しく「真っ直ぐな強い女性」の役なんですがなぜかどうにも色っぽいのがさすがというからしいというか。
この人きっと、特殊メイクか被り物でもしない限りどんな映画でもエロくなってしまうのでは…。

キャスティング的に言えば主人公とも言えるポジションに我らがデンゼル・ワシントン、これはもう超納得の納得で説得力の塊なんですが、一方でその相手役となる悪役がこれまた我らがピーター・サースガード兄貴ということで(非常に申し訳ないんですが)格落ち感が半端ない。小悪党かな? っていう。
やってることはひどいし(悪役として)納得のキャラクターではあるんですが、やっぱりこれも兄貴が演じるとどうしても小物感が出てしまうのが良いのか悪いのか…。もうちょっとデンゼルの相手として相応しい“格”を感じる役者さんのほうが良かったのでは、という気がします。
いや兄貴嫌いじゃないんだけどさ。兄貴に注目してるブログなんて他に無いと思うけどさ。でもメインの悪役を張るような重量級のタイプじゃないじゃない。
むしろ味方側にいるヴィンセント・ドノフリオとチェンジしても良かったのでは? という気がしないでもないところです。
そのヴィンセント・ドノフリオもそうですが、味方側は他にもイーサン・ホークにクリプラにと主役級が揃っていてさすがのメンバー。イ・ビョンホンもそうだけど。
イーサン・ホークとデンゼル・ワシントン(に監督のフークワ)と言えばやはり「トレーニング デイ」なので、あの頃からするとどっちもだいぶ歳を取って渋みが増したところも味わい深い。
んでもっと言えばフークワ×デンゼルとなるともう完全に「イコライザー」を期待するわけですが、終盤の一番の見せ場とも言うべき場面でデンゼルが完全にマッコールさんと化しており、これにはイコライザーファンもにっこり…なんですが果たしてこれは荒野の七人(のリメイク)なのか? と疑念が浮かんだのも事実です。
確かに「西部開拓時代にマッコールさんがいたら」のifモノとして捉えると相手役がサースガード兄貴なのも納得というか、逆に格のある重量級ではファンは満足しないよね、というのも事実なので、つまりはこの映画も「デンゼルが最強でかっこよく見せる」ための映画だったのでは…? 要は「相手役が格のある重量級では満足しないファン」ってフークワのことじゃねーの!? っていう。それなら全部納得できます。
フークワは一貫してデンゼル大好き感を醸し出し続けてくれているので安心感も共感もできるんですが、果たしてデンゼルに対して特段どうこう思っていない人たちにとってどうなのかは少し気になるところ。
ま、僕はデンゼルもマッコールさんも大好きなのでそれだけ楽しめたのも事実です。

「荒野の七人」よりはこっち

当然ですが最近作られた映画なので映像も綺麗だし、やり取りや人物描写もより現代的で観やすく、総じて「荒野の七人」よりも今の観客に合った内容になっていて、それだけ楽しめる映画だと思います。
あまり深く観ていない、いい加減な観客としては「荒野の七人」が勝っているのはマックイーンが出てる点ぐらいじゃないの、って気がしますが本当にいい加減な意見なのでまったく参考になりません。
まあでも当然話としてはだいぶ似ているものなので、今からどちらか1本観るとすればこっちで十分かな、と。
一方で、さすがに原作の「七人の侍」と比べると(荒野の七人もそうでしたが)だいぶヒーロー側の人物描写や内面描写が物足りないような感覚もあり、改めて「七人の侍」はさすが歴史に名を残すだけあるな、と感じます。最初に観たときよりも派生作品を観たあとの方が評価が高まる感じ。
それはやはり「侍」の精神性の描き方なのかなと思うんですが、いずれにしてももう一度観ていろいろ確認したいところではありますね。

このシーンがイイ!

これはもう問題の「終盤の見せ場」ですよ。完全にマッコールさんでしたからね。ウヒョウヒョ言いながら観ましたよ。

ココが○

今思うと「荒野の七人」はちょっとカッコつけてるというか、なぜか少しプライドの高い映画っぽい印象があったんですが、今作はしっかり「娯楽映画」に徹している感じで余計なプライドが無いように見えたのが良かったですね。印象でしか無いんですが。

ココが×

どうしてもところどころ「それで生きてるのおかしくない?」みたいなチート系はありましたが、まあそれは娯楽である以上仕方がないところでもあるでしょう。

MVA

まさかのボーナスマッコールさん、ってことでデンゼル…と言いたいところですが今作はこの人でしょう。

ヘイリー・ベネット(エマ・カレン役)

7人を呼びに行った村人。いろんな意味でつよい。
なぜかエロくなってしまうヘイリー・ベネットブーストがかかりつつ、一方で非常にかっこいいヒロインとしてお見事でした。すごく良かった。
ヘイリー・ベネットは割と残念な結末を迎える脇役か、ちょっとエロい雰囲気要員でしかない役ばっかり観ていた気がするので、ちゃんと自己主張のある良い役をきっちり与えられて良かったねということで。

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