映画レビュー0557 『オデッセイ』

先週は風邪を引いてしまい、高熱でダウンしておりました。

レビューはたまっているんですが、例のごとくジャケ絵を描いておらず延び延びになっております。ということでジャケ絵を必要としない最新作のレビューとなるわけです。IMAX3Dでの鑑賞。

みなさんも風邪には気をつけましょう。

オデッセイ

The Martian
NASAによる火星の探査中、大砂嵐のためにミッションを放棄して帰還を選択したクルーたちだが、その中の一人、植物学者のマーク・ワトニーがふっ飛ばされてしまい行方不明に。生存は不可能と判断したクルーたちは火星から飛び立ち、地球へ帰還することにしたが、火星では奇跡的に生き残ったマークが一人取り残されていた。通信手段もなく、わずかな食料しか残されていない状況の中、持ち前の前向きさと知識でなんとか生き延びようとするマークだが…。

前向きサバイバルで最後まで楽しめます。

8.5

火星に一人取り残された男が、創意工夫で生存日数を稼ぎつつ地上とのコンタクトも復旧させてなんとか迎えに来てもらおうと奮闘するSF映画。「ゼロ・グラビティ」よろしく“宇宙サバイバルモノ”の一つ、とでも言いましょうか。ただ僕としては「ゼロ・グラビティ」よりも断然面白かったです。一種のパニック映画だったあちらと比べると、こちらはサバイバル+人間ドラマにプロジェクトX的な要素も盛り込まれ、なかなか見所たくさんでお腹いっぱいでした。

まず書いておきたいのが、なかなか映画ファンのツボをおさえた豪華キャストぶり。

主演はマット・デイモン。もはや大スターですね。一昔前の間抜け顔も今やだいぶいい顔になってきました。序盤はかなり彼の一人芝居パートが長めで、この辺りを見せ切るのはさすがの力量です。

そして彼が離脱することになる、有人火星探査ミッションのクルーたちには、まず船長に今やトップ女優の一人と言っていいでしょう、ジェシカ・チャステイン。「インターステラー」にも出ていただけに、宇宙女優と言えば的なポジションもゲットした感があります。

その他、最近アンチ二枚目ポジションとしてジョナ・ヒルと双璧をなしていると一部で噂のマイケル・ペーニャに、妹に負けじと連続ドラマ「ハウス・オブ・カード」で芽が出たと噂のケイト・マーラと言った面々。

さらに地球のNASAには、広報統括責任者にクリステン・ウィグ。いつも何か気になる存在感がグッドです。そして小悪人をやらせたら世界一と勝手に思っているショーン・ビーンが大作に久々登場。嬉しい。しかも結構いい役でした。

そして何よりも火星探査統括責任者として、某映画ファンに熱烈支持されているあのキウェテル・イジョフォーという配役。もういろいろたまりませんでした。観ていて。

そんなツボをおさえたキャスト陣が織りなす、残されたクルーとしがらみとトラブルと。そりゃー面白いに決まってます。

まず「火星に一人取り残されたサバイバル」というシチュエーション自体、話としてはありがちですが、サバイバルする様はとても新鮮で、やろうとすることすべてが未知の世界なのでどう観てても面白いし、ハラハラ惹きつけられます。

そしてその彼が生きていることを長い間知らされないクルーたちと、知らせないように判断したNASA内部のアレコレが否が応でも盛り上げてくれるわけですよ。ああ、こういうのあるよね、大企業病だね、みたいな。

単純な正義感ではどうしようもない“いろいろ”がリアルに描かれ、とても現実社会に沿った内容になっているのが面白くもあり、またもどかしくもあり。特にある種の悪役となっていたNASA長官の、保身やら打算やらのさじ加減が絶妙で、悪人ではないものの保守的な考え方を変えられない、という姿がとてもリアルでした。

細かい進行を書いていくと興を削ぐと思うので書きませんが、当然ながら一筋縄ではいかない「サバイバル」と「救出劇」、その一つひとつがリアルで説得力があるし、何よりも「くだらない裏切り」みたいなものでドキッとさせるような展開が無かったのが素晴らしい。

NASA長官に小役人的な器の小ささは感じつつも、文字通りの“悪人”は一人も出てこず、最後まで「目の前で起きること」そのものの成否に感情を向ければいいだけ、という潔さはとても良いと思います。

そして何より、マーク自身の諦めない前向きさがある種の爽やかさを感じさせてくれるので、悲壮感無く「サバイバル」を追える感じが好きでした。意外とこういうのは珍しい気がします。楽しみつつも、最後まで成否がわからないハラハラ感も持続する感じ。

娯楽映画として完成度の高い映画と言って良いでしょう。きっと誰でも楽しめるタイプの映画だと思います。オススメ!

〈余談・IMAX3Dについて〉

またかよ、と思われそうですが、3Dについての補足。

もういい加減3Dやめろよ、と言われそうですが、今回はあえて3Dを選びました。なぜか。

ご存知の方も多いと思いますが、3D映画には後工程で3D化した「フェイク3D」と、3Dカメラを使って撮影した「リアル3D」の二種類があります。もう最近は見たところリアル3Dはアニメ以外ほぼ壊滅状態(アニメの場合どうすればリアルでどうすればフェイクなのか、とかよく知りませんが)なんですが、なんとこの映画は珍しくリアル3D撮影だったんですよね。

今までリアル3Dの映画は観たことがなかったんですが、一度だけ予告編でリアル3Dの「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」を観たことがあり、その映像がすごかったので、一度リアル3Dも観たいと思っていたところにこの映画、と。

結論から言えば、確かにフェイク3Dとはかなり違い、奥行きのある映像は3Dとして成立していたし、フェイク3Dと比べれば雲泥の差ではありました。

が、それでも2Dの方が断然良いと思います。

何度も書いているように、まず3Dは大前提として映像が暗くなるのと、動きのある映像はどうしてもチラつきが感じられます。この2点は今現在の3Dの仕様上避けようがない問題なので、まずどう頑張ったところで「欠陥技術である」というのは動かしがたい事実です。

さらに、今回この映画で感じたのは、やはり3Dだとある種のチープさが増幅される傾向があるので、広大な土地に小さい探査機だけ、みたいな映像だとかなりミニチュア感が増します。ミニチュア撮影ではないのにそう見えてしまう時点でかなり問題で、どうしてもエセである面は否めません。

それともう一つ、最大のデメリットと言っていいと思いますが、以前ノーランがコメントしていたように、3Dになるとどうしても感覚的に画面サイズで映像が固定されます。

2Dの場合は、自然と画面の外に世界が広がっている感覚があり、それが想像力をふくらませてくれる効果がありますが、3Dになってしまうとその外の映像が想像しにくく、どうしても目に見える範囲の世界で映像が終わる感覚が強いので、世界に広がりが感じられません。これがもう映画として致命的。

この辺はちょっとうまく説明できないんですが、モノクロが逆に想像力を掻き立てる部分があるのと同じで、2Dの方が3Dよりも脳内にリアルな世界を構築しやすい部分があるんだと思います。

ということで、さんざん書いているように現状(身近なチョイスとしては)IMAX2Dがベストであるのは間違いありません。3Dは例え同料金だったとしても、選べるなら2Dを選ぶべきだと思います。

もう本当にいい加減この欠陥技術を推すのはやめて欲しいところですが、それなりに収益も上げているんだろうし、そもそも映画館自体がマニアックな映画ファンの方を向いていない、という悲しい現実があるため、変わらないんでしょう。残念です。

長くなりましたが、余談でした。

このシーンがイイ!

初交信成功の場面かなぁ。一緒に喜べました。

ココが○

チープなピンチもなく、真っ当にハラハラドキドキさせてくれるシナリオ。考察にはかなり気を遣ったらしく、リアルな展開はとても良かったです。

ココが×

一点、とても大きな不満として“救世主”的に登場した中国の存在。国として好きとか嫌いとか言う話ではなく、あそこだけ「中国市場向け」というとても現実的なビジネスの匂いがして、そこでかなり一気に現実に引き戻される感覚がありました。まさに興醒め。なんであんなつまらない媚を売るんだろうか…。普通に考えれば、技術的にもあそこはロシアでよかったと思うんですが。

※後で知った話では、そもそも原作がそうなっているそうなので映画自体の問題では無さそうです。

それと、ラストシーンは蛇足だと思います。もっと綺麗なところで終わった方が後味が良かったんじゃないかな…。

MVA

いやぁ、これは悩みますね。気になる俳優さんがたくさん、そしてみんなとても良かった。

普通に考えれば、間違いなくマット・デイモンで良いと思います。とてもいい演技でした。ただ…やっぱりこの人の存在感って大事だなぁと思ったので…。

ジェシカ・チャステイン(メリッサ・ルイス准将役)

女性船長。

やっぱり芯の強そうな感じと優しさも見えるキリッとした美人っぷり、素晴らしい。引き締めてましたねぇ。お見事です。

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