映画レビュー0594 『ミケランジェロ・プロジェクト』

ジョージ・クルーニー監督作品としてとても楽しみにしておりまして、当然観に行くつもりでいたんですが、どうも評判が芳しくなかったようで日本での公開が取りやめになり、その後やっぱり公開することになって今に至る、と。

一回撤収したことが引っかかって結局公開時には観に行かなかったんですが、でもやっぱり観たかったので借りてみました。

ミケランジェロ・プロジェクト

The Monuments Men
監督
脚本
ジョージ・クルーニー
原作
『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』
ロバート・M・エドゼル
ブレット・ウィッター
音楽
公開
2014年2月7日 アメリカ
上映時間
118分
製作国
アメリカ

ミケランジェロ・プロジェクト

第二次世界大戦の最中、ナチス・ドイツによる美術品強奪に危惧を抱いたハーバード大付属美術館長のフランクは、戦線に若い美術学者を派遣し、美術品を保護するべきだとルーズベルト大統領に訴える。「若いモンがおらんからおまえがやれや」と言われたフランクは、自身を加えた7人の美術専門家を集め、「モニュメンツ・メン」と呼ばれる美術品奪還チームを組み、ド素人おっさん軍団として戦地へ向かうのであった。

なんでこうなった。

4.5

ジョージ・クルーニー監督・脚本・主演の、「美術品を取り戻す男たち」を中心にした一風変わった戦争映画。モデルとなった人たちは実在していて、この手の史実系映画のご多分に漏れず多少の脚色はあるでしょうが、概ね事実に則った内容であるようです。今で言えばイスラム国が同じように美術品の強奪・破壊を繰り返していて、取り返しの付かない行為に怒りを覚えるわけですが、当時のナチス・ドイツにもこのような動きがあったようで、それを阻止するための専門チームを描いた物語です。

専門チームとは言え、総勢たったの7名で、しかも全員結構ないいお歳。中年どころか老年の方もおられます。それにみなさん本職は美術館長を始め、建築家や彫刻家、キュレーターなど、きちんとした美術系の人たちで軍人とは程遠く、チームを組んだ後に新米兵士として訓練を受けたりと、かなり心配になる構成。そんな彼らが、戦場の銃弾飛び交う中、貴重な美術品の数々を回収に回るというお話です。

さて、そんな大枠は(もちろん個人差があるでしょうが)とても興味を惹かれるもので、おまけに事実を元にしているだけに、テーマとしてはまったく文句のない、むしろ面白く無いわけがないようなものだと思うんですが、しかし描き方が全然ダメ。

正直、これがジョージ・クルーニーの監督一発目作品だったら「スターがまた調子乗ってやっちゃった系か」と思ったでしょう。稲村ジェーンかよ、と。観てないけど。そして例えが古いけど。※念のため書いておきますが、サザンは割と好きですからね

僕はジョージ・クルーニーは監督としても素晴らしくセンスがある人だと思っていたので、この映画もかなり期待していたんですが、実際に観てみると今まで観た彼の監督作品とは比にならないほどひどかった。なんでこうなった。

まず思ったのは、やっぱりこの「7人」、ついでに加えればキーマンとして描かれるケイト・ブランシェット演じる1人を加えた8人が主人公格としてとても大事なわけですが、彼らの出自や性格のようなバックストーリーがまったく描かれません。

最初にジョージ・クルーニー演じるフランクがマット・デイモンを勧誘に行くんですが、その時点で「他に6人いるよ」と。誰がどういう人なのか、マット・デイモン含めてまったく背景がわかりません。元々何をしている人で、どういう思いで参加しているのかもイマイチわからないので、感情移入のしようがないわけです。

ジョージ・クルーニーにマット・デイモンと言えば…やっぱり「オーシャンズ」シリーズを思い浮かべざるを得ないわけですが、あの映画は「11」の最初、勧誘に行く前にチラッとでも各人それぞれのエピソードがあって、それがまたキャラ紹介にもなっていてすんなり入れたと思うんですが、この映画はその程度の時間すら与えられず、いきなり「こいつらだ!」と出てこられても…という状態。ソダーバーグに作らせたほうが良かったんじゃないのかな、と思いますがもう監督引退宣言したんですよね、確か…。

オーシャンズファンとしては「会えたら、また」の言葉の先がこの映画、って悲しすぎる。

物語自体の展開もかなり散漫な感じで、要素を見せる場面が次々切り替わって先に進んでいくようなイメージなので、感情を高めるようなシーンがほとんどありません。そもそも上に書いたように、高めようにも人となりがわからないから高められないというのも相まって、全体的にとても薄味でまったく引っかかりのない退屈な映画になっています。

2本だけとは言え、僕が観たジョージ・クルーニーの監督作品はもっと“間”がある丁寧な映画という印象なので、ちょっと彼が監督するには要素が多すぎたんでしょうか。この辺で技量がバレちゃう辺りが悲しい。

映画としては無駄なセリフも無く、少し軽いやり取りもあってテンポが良い…ように見えるんですが、力点を置いている場所がまったくわからない映画になっているので、しっかり観ていても全然響いてこないんですよね。

各人の性格が伝わるようなエピソードもあるんですが、それも「はじめまして」も無しにいきなりピークの見せ場が出てくる感じで、まったくグッと来ない。

本当にもったいない映画です。テーマは面白いのに。加えて演じているメンバーがとても豪華で素晴らしい面々なだけに、余計にもったいない。

脚本もそうですが、おそらくは編集もあまりうまくないように思います。なんでこうなった。(2回目)

こういう史実を元にした映画はあまり外れない印象なんですが、ここまで外してくれると今後の監督業に影響がないか心配になるほどで、ファンとしてもとても残念な気持ちです。なんでこうなった。(3回目)

ジョージ・クルーニー、信じてたんだけどな~…。

というわけでオススメは出来ません。

このシーンがイイ!

感情移入しようがない、とは言え「蓄音機」の場面はベタながらちょっと良かった。まあ、演者があのビル・マーレイですからね。そりゃいいですよ。

この前なんかファンの携帯を投げ捨てたとかで揉めてましたけど大丈夫でしょうか。

ココが○

事実としてこういう人たちがいた、というのは知ることができてよかったし、そのきっかけは間違いなくこの映画なんですが、ただ映画自体は観なくてもいいかなレベルなのが悲しい。宣伝だけで良かったという…。

この映画の見どころを強いて挙げるとすれば豪華役者陣ぐらいしかない気がする。ただこのメンバーであればもっといい映画を作らないといけないと思うし、それがまた悲しいんですけどね…。

ココが×

上に諸々書きましたが、一番はやっぱり「どこに力点を置いて何を見せたいのかが上手く表現できてない」部分じゃないかなと思います。それ故に散漫に見えるし、各人のキャラクターも伝わってこないし、ピークが見えてこないから退屈だし。もちろん、「ここがピークなんだろうな」っていうのはちょくちょくあるんですが、そこに到るまでがよろしくないのでそこで心を動かされないんですよね。これはしんどい。

MVA

さて、そんなわけで役者陣だけは素晴らしかったです。

まあジョージ・クルーニーにマット・デイモンというライトな人たちにも名前の売れたメンバーは当然としても、脇を固めるのがビル・マーレイにジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダンにケイト・ブランシェットですからね。映画好きにはたまらない面々ですよ。ただジャン・デュジャルダンの扱いとか軽すぎて逆に問題もありましたが…。

んで、選んだのはこちらの方。

ボブ・バラバン(プレストン・サヴィッツ役)

ビル・マーレイとコンビを組む、「二等兵」の爺さん。

この人もまた名脇役としていろいろ出てくる素晴らしい方ですが、何とも言えない渋い味わいが素敵でしたね。いやほんと、役者陣は良かったんだけどね…。

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