映画レビュー0643 『ナイスガイズ!』

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を観に行った時にやっていた予告編で観たいぞ、っとなったので行ってまいりました。今年劇場鑑賞2本目になります。

ナイスガイズ!

The Nice Guys
監督
脚本
アンソニー・バガロッツィ
音楽
公開
2016年5月20日 アメリカ
上映時間
116分
製作国
アメリカ
視聴環境
劇場(通常スクリーン)

ナイスガイズ!

「アメリアを探してほしい」という依頼を受けた酒浸りのダメ探偵・マーチは、その直後に拳で何でも解決する示談屋・ヒーリーに「アメリアを探すんじゃねーぞ」と脅される。こうして出会った二人は、アメリアという人物を通して大きな事件に巻き込まれていくのだが…。

笑いもたっぷりのザ・娯楽。

9.0

日本ではこの直後に「ラ・ラ・ランド」、さらには「ブレードランナー」の続編も控えるというカメレオン俳優ライアン・ゴズリングが、楽しそーに超の付くダメ探偵を演じるバディものです。相棒はラッセル・クロウ、こちらはいつも通りの暴力キャラ。似合いすぎ。Wikipediaによると、ジャンルは「ミステリー・クライム・スリラー・アクション・コメディ映画」らしいです。いろいろ盛り込みすぎやないか、と思いますが確かにこんな感じだった気がする。

アメリアという一人の女性の捜索を頼まれたダメ探偵と、それを阻止しようと“本人に”依頼された示談屋が出会い、そこから巨大な陰謀に巻き込まれていく…というお話なんですが、実のところその「巨大な陰謀」的なお話はイマイチ釈然としない面もあり、有り体に言えば物語を進めるためのレールとしての役割でしか無い感じで、そこまでサスペンス的な内容を求めたらちょっと違うかな、という感じのお話でしたが、とは言えなかなか二転三転込み入った内容で話自体も飽きさせないし、何より二人のやり取り+娘の存在が文字通り最高で、とにかく頭の中空っぽにしてニヤニヤクスクス笑いながらハラハラドキドキも楽しめる、なかなかにサービス精神旺盛なザ・娯楽映画という感じでございました。

この辺「キスキス,バンバン」にもすごく近い印象で、シェーン・ブラックらしい映画だな~と他2作しか観たこと無いくせに知ったかぶりしたくなるような映画でしたね。まあそれぐらいしか作ってないしね。いいじゃない、と。

予告編を観てもらえれば大体の雰囲気がわかると思いますが、もう本当にあのまんまの映画なので、予告編を観て「おっ、これは面白そうだね」と思えるならまず裏切られることがないひじょーに安心して観られる映画だと思います。

ベースはサスペンス的要素もあるものの、基本はポップでブラックでライトなアクションコメディという感じ。特にライアン・ゴズリングのダメ探偵っぷりがとにかく徹底していて、「普通そういうシーン入れないよね?」というようなお約束を超えたダメっぷりが笑えます。終盤に近付くにつれて段々とシリアスになっていく…のもこういうお話の定番の流れですが、そんな佳境に入ってきた後でもしっかり笑いを取りに来るサービス精神がこれまたとても好きでした。

また、この手の映画は大体バディコンビに事件のカギを握る(基本ちょいセクシーな)女子が加わってちょっとした色恋が挟まる(まさにキスキス,バンバンのパターン)ことが多いような気がしますが、この映画ではそのポジションに激キュートなマーチの娘・ホリーが入ることで余計な色恋が無くなっているのがすごく良いですね。

これ、とても重要です。

やっぱりむさ苦しい野郎二人だけじゃダメ…なのかはわかりませんが、セオリー通りに女子を入れつつ、その女子が他の映画とは少し違うタイプなので新鮮に観られるという。おまけに賢くてちょっと生意気でかわいい。これまたベタな女子像ではありますが、彼女の存在がものすごくイイんですよ。

僕は最近ほぼ地上波は観ていないのでなんとも言えませんが、おそらくはこの映画ってさして告知もされてないと思うんですよね。なので、日本ではほぼ100%ヒットしないと思うんですよ。ライアン・ゴズリングにせよラッセル・クロウにせよ、映画ファン以外にはそんなに浸透してないだろうし。事実、僕が観に行った回も公開初日の土曜日にもかかわらず、自分を含めてお客さんは1ケタでした。

確かにまったく脳内にお持ち帰りすることのない「消費映画」なのは間違いないんですが、ただこういう頭の中空っぽ系の映画もたまに観たくなる人って自分も含めて多いはずだし、すぐに中身を忘れちゃったとしても、鑑賞中の2時間がしっかり楽しめてちょっとしたストレス解消になる、っていうだけでも良い映画だと思うんですよねぇ。ちょっと愚痴っぽいですが。

最近本当に考えさせられる良い映画が多い反面、この手のどうでもいい(けど良質な)娯楽映画が減っているような気がしないでもないので、久しぶりにスカッとバカな映画観たな、って気がして大変満足できました。

とにかく観客を楽しませるぞ、という意欲に溢れた映画だと思うし、小難しいこと言わないで笑いましょうや、みたいないい加減な感じがとても好きです。重い映画、暗い映画に疲れた方はぜひ!!

このシーンがイイ!

予告編でニヤニヤさせられたトイレで“イキる”ライアン・ゴズリングのシーン、やっぱり最高でした。あと二人でアレを運んで投げるところね。ホントに声出して笑った。不謹慎だけど。

ココが○

何一つタメになる要素もなく、なんなら教育に悪いお手本みたいな映画ですが、そこがイイ。んでそこも行き過ぎてないのがまたイイ。下ネタ多いし子どもが車運転するしで話的にモラルゼロではあるんですが、描写が過激すぎないのが良いな、と。

あと地味に舞台が70年代後半なのも良かったなー。音楽とかファッションとか車とか、“いい時代”の雰囲気が出てて。

ココが×

そんなわけで下ネタ多めなので、そういうのが嫌いな人は要注意です。ただそこまで下品ではないので、普通の大人ならまあ楽しめるんじゃないかなと思います。

あとはやっぱり、どうしてもこういう映画なので心に残る何かがないというのは事実です。なんプロアワードを考える頃にはすっかり忘れてそうな恐怖。

MVA

ラッセル・クロウはいつも通りでこれまた良かったと思いますが、いくらなんでもちょっと太り過ぎじゃないかと…。チラッとキム・ベイシンガーと共演するシーンもあり、「L.A.コンフィデンシャル以来やないか!!」と大興奮間違いありません。劇中はすっかり忘れていたのはナイショです。ただキム・ベイシンガーはなーんか妙にツルッとしていて逆に怖かったんですよね。若返り過ぎというか…。いろいろいじっちゃってる系でしょうか。

で、本来であればやっぱりライアン・ゴズリングかなと思います。ここまでダメ探偵が似合うとは…さすが今最も売れてる俳優の一人なだけありますね。とにかくダメでかわいくて笑わせてもらいましたが、しかしこの人には勝てなかったぜ!

アンガーリー・ライス(ホリー・マーチ役)

ライアン・ゴズリング演じるホランド・マーチの娘。役柄としては13歳でしたが、実際は15歳ぐらいだった模様。

んまーとにかくかわいい!!! ちょいマセでちょっと活躍、いかにもな役どころの子どもではありましたが、キュートさがもうハンパないです。表情豊かで、話し方もイイ。

この子はこの先ほんとーーーに楽しみですね。この子を観るためだけでも価値がある映画かなと思います。

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