映画レビュー0958 『きみに読む物語』
10月末終了映画その2。これもずっとマイリストに入れたまま観てなかったやつです。
なんかね、評判は良いもののジャケットの写真がド恋愛っぽすぎてちょっと気分的に観ようと思うことがなかったんですよね…。そしてやってくる配信終了、しゃあない観るかと。レイチェル・マクアダムスだし。
※ジャケ絵のレイチェル・マクアダムスの人差し指がひどく太いですが怪我をしているわけではありません
きみに読む物語
ジャン・サルディ
ジェレミー・レヴェン
『きみに読む物語』
ニコラス・スパークス
ライアン・ゴズリング
レイチェル・マクアダムス
ジーナ・ローランズ
ジェームズ・ガーナー
ジョアン・アレン
ジェームズ・マースデン
ケヴィン・コナリー
デヴィッド・ソーントン
サム・シェパード
2004年6月25日 アメリカ
123分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

とてもいい話なんだけど…いろいろ不満もあり。
- 現在の老人読み聞かせパート+過去の恋愛パートという構成
- 非常にわかりやすい作りなのでその分意外性に欠ける
- とても感動的なお話なんだけど…もう少し隠して欲しかった
- ライアン・ゴズリングがいつも通りすぎるのもやや不満
あらすじ
先に言っておきますがかなり書くことが少ない映画だと思われます。言いたいことは結構あるんだけど、それ書くとネタバレになっちゃうよなっていうのが多くて…。なので手短にしてあとはネタバレにツラツラ書こうかなと。
映画は2つのパートに分かれます。まず現在。
介護施設らしき場所で、認知症を患ったお婆さんにある“物語”を読み聞かせようとするお爺さんのデューク。おそらくは…何度も読み聞かせに来てるんでしょうが、しかしお婆さんの方は認知症なのでそのことを覚えておらず、彼とは常に初めまして状態。
そんな中、デュークが読み聞かせる物語、それが2つ目のパートとなる過去を舞台にした恋愛話です。
夏の一時期に田舎町にやってくる大金持ちの娘・アリー(レイチェル・マクアダムス)に一目惚れしたノア(ライアン・ゴズリング)は、強引なアタックでやがて親しくなり、相思相愛の仲に。設定上はアリーが高校生、ノアはその少し上って感じでしょうか。ちなみに実際はレイチェル・マクアダムスの方がまさかの歳上です。
しかし彼女はニューヨークの大学に進学するということで、“ひと夏の恋”は終わりを迎えます。そもそも大金持ちであるアリーの両親は、材木工場で働く…今で言うブルーカラーのノアのことをよく思っておらず、元から“ひと夏の恋”として終わらせようとしていた形。
当然本人たちはそれに抗おうとするんですが、別れの翌日からノアが毎日書いて送った手紙もアリー母のせいでアリーの手元には届かず、やがてノアは兵役へ。
そうして月日が流れ、それぞれの立場も変わった後、様々な運命の悪戯によって二人は再会を果たすんですが…あとは観てくださいませ。
恋愛が普通すぎて
基本的には過去の恋愛フェーズが中心で、正直現在の話はいらんちゃうの…と思いがちですがこの現在の使い方がなかなか巧みなため、なんだかんだ文句言いつつおっさん泣いてもうたで、という映画ではありました。いや良い話でしたよ実際。
でもねー。いろいろと不満があるわけです。正直世の中の評判ほどに評価できる映画ではないかなぁと思いますね。ただその不満もほぼネタバレになってしまうのでここでは避けます。
一応差し障りのないところで言えば、恋愛話(過去フェーズ)が至って定番のお話で、もちろん「どうなるんやこれ…!」みたいな気になるポイントはありつつも、大半はかなりベタなのであまり惹かれなかったのがつらいな、と。
後半は結構観ていて盛り上がるんですが、そこに至るまでの序盤〜中盤にかけてはマー退屈でしたね。ンマー。ぶっちゃけ。
身分違いの恋なんてもうこすられすぎたものだし、ライアン・ゴズリングもいつもの無愛想不器用キャラでなんだかなぁという感じ。
彼のことは好きですが、ただこの役は別の人のほうが良かったような気はします。「型にはまったライアン・ゴズリング」って感じで意外性がまるで無い役だったので、なおさら退屈に感じられたんじゃないかなと。
後半は後半で、現在とのつながりとの予想がほぼそのままストレートに展開するので…ちょっと話が素直すぎて感動が薄らいじゃうのがもったいなかったですね。
一応、その「現在と過去のフェーズの絡ませ方」は感動的で良いものではあったので、少し「ある日どこかで」っぽい良さがあったとは思います。
あの映画も恋愛については特段変わったものもなく至って普通な話だったんですが、現在との絡ませ方がすごく良かったために感動させられた面があったので、同じような種類の映画と言えるのではないかなと。
観客への意地悪が足りない
もっと色々言いたいことがあるんですが…最初に書いた通りネタバレになっちゃうのでこの辺のうっすい感じで終わりにしましょう。
ただ少々不満多めな感じに書いていますが、映画自体は感動的だししっかり泣いたので良い映画であることは間違いないというのも念のためお伝えしておきます。
むしろ「ここをこうした方がもっと号泣できたのでは…?」みたいな素人考えが爆発したもったいなさを強く感じた映画でしたね。とにかく全体的に素直すぎる気がする。
展開が素直なのは別に良いんですが、見せ方まで素直すぎちゃうと意外性ゼロになっちゃうのでその辺りもう少し色気を出しても良かったんじゃないのかなーと。裏を返せば「実はこう見せておいて違うのでは…?」と観客を不安にさせる意地悪さに欠けていた、とでも言いましょうか。
この辺はもしかしたら映画慣れしているか否かで変わるかもしれないので、あんまり映画を観てきていない人のほうがより感動できる話かもしれません。
このシーンがイイ!
アリーのお母さんが過去の話をするシーン。あそこはものすごく良かったですね…。いろいろ込められていて。
それと終盤なのでぼかしますが、「5分」のシーンもグッと来ました。その背後にある大変な努力を思って。
ココが○
はっきり言って恋愛話だけではほとんど評価されない映画だと思うんですよ。でも世間ではかなり評価が高い、それはつまり現在との絡ませ方が上手いからなわけで、その一捻りが感動を生んでいるのは間違いないところです。観客のある種の願望もあるから余計、なんでしょうね。こういう恋愛がしたい、こういう人生を歩みたい、みたいな。
ココが×
とは言えその恋愛パートの退屈感は否めず、またネタバレ項に書いたようにいくつか気になる点もあって…「そこまで言うほどかいな」というのが正直なところです。
Yahoo!映画で4点超えてるとものすごく期待しちゃうんですよね…だもんで最初にハードル上がっちゃいましたねもうね…。
MVA
ジェームズ・ガーナーと言えば「大脱走」勢なので、ここまでお歳を召した彼を見るのは初めてでした。なんかちょっと嬉しかったですね。
ライアン・ゴズリングは上に書いた通りいつも通り過ぎて面白みに欠けたかなぁと思います。
レイチェル・マクアダムスはかわいいんだけど「アバウト・タイム」が良すぎて「あっちのほうがかわいかったなぁ」と余計なことばっかり考えていたので今回はコチラの方にしようかと。
ジョアン・アレン(アン役)
アリーのお母さん。
観客はノア目線なのである意味で一番の悪役なんですが、それだけにとても重要だし演技も良かったしで文句なしの選出です。
「あーこの人(具体的には忘れたけど)いろんな映画で見るよね〜ウンウン」と思って観てたんですが調べたらついこの前連続して観たボーンシリーズに出てたよっていうことでね。節穴健在、とお伝えしておきましょう。