映画レビュー0971 『スパイ・レジェンド』
この日も一瞬「アイリッシュマン」を観ようかと思ったんですが長すぎて無理だわと定番の流れで諦め、前日同様「あんま気張らずに観られる映画が観たいなぁ」と散々ネトフリを吟味した結果、これをチョイス。
スパイ・レジェンド
マイケル・フィンチ
カール・ガイダシェク
『ノヴェンバー・マン』
ビル・グレンジャー
ピアース・ブロスナン
ルーク・ブレイシー
オルガ・キュリレンコ
イライザ・テイラー
カテリーナ・スコーソン
ビル・スミトロヴィッチ
ウィル・パットン
2014年8月27日 アメリカ
108分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

定番の流れながら師弟関係が程よいスパイスに。
- 引退したエージェントがバリバリ強い例のアレ
- 話の流れは至って普通、黒幕もよくあるパターン
- 元教え子との関係性がグッド
- 事件の鍵を握るオルガ・キュリレンコがよりグッド
あらすじ
邦題がなんとも安易な気はしますが、まあやっぱりピアース・ブロスナンですからね。
「引退したピアース・ブロスナンが現場に戻る」となるともうブロスナンボンド世代としては007を思い出さずにはいられません…があのシリーズほどガジェットが強力なスパイでもなく、かと言ってリアル志向のスパイでもなく、いい感じに「主人公的チートキャラ」と「現実に近い捜査事情」を合わせた上で娯楽に振った「今どきのブロスナンボンド」って感じの映画でしたね。それが安心感もあり、期待以上ではないもののなかなか面白かったなと。
ってことでね、主役のピアース・ブロスナン演じるピーターさん。オープニングではまだ現役でCIAのエージェントをやっております。
とある任務で部下(兼相棒)のデヴィッドが彼の静止を振り切って射撃、ターゲットを射殺するも現場に居合わせた子供も被害にあってしまい、ほろ苦い任務となりましたとさ…となってからの現在。この任務描写なんなの? と思いますがこの手のケースであれば後々このミッションが効いてくることは間違いないので気にせず先に進みましょうよ。
引退して小さなカフェで悠々自適のピーターの元に、かつての同僚で友人でもあったハゲのハンリーがやってきます。
なんでもかつてピーターと恋仲だったナタリアが次期ロシア大統領と目されるフェデロフ(歳取ったダニエル・クレイグっぽい渋み)の元に潜入しているもののそろそろ抜け出したいと言っていて、重要な情報を持っているから救い出して欲しいというオファー。
当然「なんで引退した自分が」と聞くわけですが、なんでもナタリアがピーターじゃなきゃダメだと言っている…とのことでやむなく現場に戻るピーター。
しかしナタリアはピーターが迎えに来たことを知らず、おまけに重要な情報を聞き出した直後に狙撃によって命を奪われてしまいます。
そしてその射撃をしたのがかつての部下、デヴィッドだった…ということで事件の背景を探りつつ復讐に乗り出すピーター。こうして事件に巻き込まれていく彼は、どんな答えにたどり着くのか…乞うご期待ってやつですよ。
懐かしの構図が良い
大枠としては「次期ロシア大統領候補に関するきな臭い話」を巡って暗躍するCIAと、奇しくもそれと対峙することとなるピーター、さらにCIAの最前線で働くかつての部下デヴィッドと、CIAの思惑とは別に動いてピーターを現場に引き戻した友人ハンリーと言った構図。ちなみにハンリーは現地CIAのトップです。たぶん。
そしてそのロシア大統領候補であるフェデロフの政治生命を絶てる情報を持った行方不明の女性・ミラを唯一知るソーシャルワーカーの女性、アリスが物語の鍵を握る存在としてご登場、と。オルガ・キュリレンコですよと。かわいいぞと。
余談ですが彼女も(イマイチ存在感が無い作品だけに気の毒ではありますが)ボンドガールをやっているわけで、旧ボンドと旧ボンドガールがスパイ映画で共演、ってだけでもなんかイイって話ですよ。(なんか)
全体的には、これも変な話っちゃ変な話なんですが、それこそピアース・ブロスナンが“現役スパイ”として活動していた時期であればもう使い古された構図の話ではあるんですよね。ロシア(≒ソ連)絡みのCIA暗躍話。
ただこれが「冷戦は教科書で覚えました」的な世代が珍しくなくなってきた今となっては逆に新鮮で、久しぶりに懐かしい構図のスパイ映画を観たなと言う妙な喜びがある話ではありました。
一応PCの扱いとかドローンを駆使した諜報活動なんかは現代っぽさがあるものの、その辺の細部を除けば丸っきり古いスパイ映画の構造そのもので、ただそれが悪いわけではなくてなんとなくそこそこいいお歳の我々には久しぶりに味わう洋食のように観やすく心地良い映画だよなと思うわけですよ。
これでピアース・ブロスナンがオルガ・キュリレンコを抱きまくってたら完全に007感漂っちゃうんですがさすがに今の時代に合わせてそういう直接的な表現は無く。その辺うまく今の感覚にアジャストした古き良きスパイ映画、って感じでなかなか楽しめました。
この主演だからこそのこの内容
まあ例によってこの手の映画らしく勢いでごまかしちゃってるご都合主義感はところどころ感じられ、「狙われてるアリスの事務所ががら空きってどうなのよ」とか結構気になるポイントは出てきます。ただそのゆるさも往年のスパイ映画っぽいよねと思えば許せちゃうよねと思う面もあり。
少々劇的な展開を狙うために整合性をすっ飛ばしてビックリさせちゃうぜ的な面も見え隠れするので、その作りも含めて全体的にはよくあるパターンだよなとは思います。帰結の仕方にしても。
なのでもう少し丁寧に、緻密に作ってくれればもうワンランク上の良い“引退スパイモノ”になったとは思うんですが、ただピアース・ブロスナンだったらこれぐらいが逆にいいだろと(何度も同じようなこと書いてますが)思うのもまた事実なので、いい感じにファンサービスしつつそんなに思い入れがない人たちでもそれなりに楽しめる、なかなか最大公約数の取り方がお上手な映画かもしれません。
普通に楽しめる娯楽系スパイムービー
これまたよくある話でもあるとは思いますが、師弟関係の使い方もなかなかお上手だし、全体的に(細かい部分に目を瞑れば)普通に楽しめる映画なのが良いですね。
まさにこの日自分が観たかった「あんまり頭使わずに、でもくだらないコメディじゃないやつ」みたいな要望にピッタリハマった映画でした。
ピアース・ブロスナンが好きであれば観て損はないと思います。なんだかんだ歳取ってもダンディですからね、この人。
このシーンがイイ!
「追試」のところかなー。善人面しすぎないところが好きですね。
ココが○
テンポもいいし、ダラダラ観るにはいい塩梅の追いやすさが良い。あんまり複雑にしないで! っていうおっさんの贅沢な要望にも見事に応えてくれます。だからこそ使い古された構造を採用したのかもしれないですね。
ココが×
反面、予想以上の良さは無いかなと。
ダラダラ観たかったけど思ったよりちゃんとしてたからしっかり観て疲れた、ぐらいになれれば嬉しい誤算なんですが、それもなく良くも悪くも期待通りだったので。
MVA
CIAエージェントのカテリーナ・スコーソンが結構好みだったので、「胸を出せ!」って言われたときにおっぱい出さないかなと期待してたんですが出しませんでした。路線が近い印象のコートニー・パームのおっぱいで我慢するためにもう一度ゾンビーバーを観るべきだと思いますが観ません。
ということで今回はこの人に。
オルガ・キュリレンコ(アリス・フルニエ役)
まあね、もう好みだから選んでるだけですよ。ぶっちゃけ。
ピアース・ブロスナンも想像通りで良かったんですが、オルガ・キュリレンコはかなり好みの女優さんなので男理論に勝てず無念、と。