映画レビュー0248 『ポセイドン・アドベンチャー』

これもまた言わずと知れた歴史的名作と言っていいと思いますが、パニック映画の代表作の一つですね。2度目の鑑賞。

ポセイドン・アドベンチャー

The Poseidon Adventure
監督
脚本
ウェンデル・メイズ
原作
『ポセイドン・アドベンチャー』
ポール・ギャリコ
音楽
アル・カシャ
ジョエル・ハーシュホーン
主題歌
『The Morning After』
モーリン・マクガバン
公開
1972年12月12日 アメリカ
上映時間
117分
製作国
アメリカ

ポセイドン・アドベンチャー

大晦日の夜、豪華客船「ポセイドン」号が大津波に襲われ転覆、上下逆さまの状態で停止する。ほとんどの乗客が新年を祝うパーティ会場に取り残されるが、そこに居合わせたスコット牧師が「待っていても助けは来ない」と、わずかな人たちを引き連れて出口を目指し、船底へ向かう。

古くても観るべき。名作中の名作。

9.0

個人的に「パニック映画」と言うと、ただ恐怖を煽るだけの安っぽい印象が強いんですが、パニック映画初期の名作と言われるこの作品は当然ながらそういう安っぽさは微塵もなく、お世辞抜きで、今観てもまっっっったく古さを感じません。

「古い映画の名作」というのは、ある程度、いろいろと焼き直しされることが多いだけに、どうしても今観ると(新しい映画のせいで)既視感があったりして、「よくできてるけどなんか観たことあるな」みたいなものが多いんですが、この映画はその点でも今も色褪せず、本当に素晴らしい。特撮もアラを感じさせないし、人間ドラマに重きを置いたストーリーも、役者陣の熱演も、煽り過ぎない音楽も、すべてが今の時代でも耐えうる作りなので、未見の方はぜひ一度観ることをオススメします。

さて概要ですが、ほっとけば必ず沈むであろう転覆した豪華客船で、「異端」と言っていい、聖職者でありながら一見あまり神を敬っているように見えないスコット牧師が、強引なまでのリーダーシップで付いてきた人たちを導き、「生きよう」とする映画です。

付いてきた人たちも様々で、親の元に帰る予定だった姉弟や、長年連れ添った夫婦、刑事と元売春婦の新婚カップル、ステージで歌ってた歌手と雑貨屋のオジサンなどなど、それぞれにそれなりのバックボーンを背負い、衝突したり躊躇したりしながらもスコット牧師に付いて行きます。

途中に更なる浸水やトラブルに襲われながら、果たして彼らは生きて出られるのか…ってなご紹介だと、「生きるか死ぬか」だけに目が行きがちな印象もありますが、最初に書いた通り、この映画の中心は「人間ドラマ」なので、各人のキャラクターやエピソードの描かれ方がすごく印象的で、「助かるんだろうか」というハラハラドキドキと同時に、ほんのりじんわり泣けたりする辺りがいいんですよねぇ。

比較的こういう古い映画にありがちな、登場人物紹介が冗長だったりすることもなく、人物紹介→転覆→出口探しの流れや道中のテンポもすごくいいので、本当に古さを感じさせません。

あとはもうご覧頂いて…ってところですが、一つだけ、もっともこの映画の印象的なポイントを挙げるとすれば、「異端の牧師がリーダー」というところじゃないでしょうか。

はっきり言って道中はほとんど「牧師です」なんて関係ない展開で、ただの肉体系労働者でも成り立つような展開だったりはするんですが、途中やラスト近辺のエピソードで、その「異端の牧師」という要素がかなり効いてくるんですよね。それ故の重みだったり後味だったりというのが、この映画の名作感をかなり高めてくれていることは間違いなく、設定一つで映画って変わるんだなぁ、と思わせるような面白さもある映画です。

加えて「異端」、アウトローであるからこそ、勇気やら挑戦やら前向きさやら、嘘くさくなりがちなテーマがリアリティを持ってくるというのもスゴイ。その辺を表立ってギャーギャー言うわけでもなく、「やらなきゃ死ぬんだからやるしかないだろ!」という設定のおかげでストンと腑に落ちる感覚。

出来れば一生こんな経験はしたくないですが、万が一そういう事態に追い込まれた時、この映画を観ていたかどうかで運命が変わる…かもしれません。もちろん、こんな極限状態ではなくても、なにかしらの場面で「勇気」を奮い立たせてくれるんじゃないかというほど、男臭くてカッコいいスコット牧師の生き様というのは非常に印象的。

娯楽としても、人生の教科書(いい夫婦っていいね的な視点)としても、センス溢れる名作中の名作、と言っていいでしょう。

このシーンがイイ!

スコット牧師と老婦人の会話は…かなりいいシーンですが、やっぱり一つ挙げるなら、スコット牧師が神に訴えるあの場面でしょう。前回観たのはおそらく15年以上前のかなり昔だったと思いますが、この場面のセリフはかなりしっかり覚えてました。それぐらい印象的。

ココが○

話の筋は非常にシンプルなんですが、それだけに人間ドラマがより際立つというか、やっぱり極限状態なだけに人間性が出やすい感じがうまく作用しているような気がします。

あとは「パーティ会場に残った人々」や「船首に向かった人々」に代表されるような、大衆や多数決の危うさを訴えている点も見逃せません。

ココが×

唯一欠点を挙げるとすれば、時代性なんでしょうが、やっぱり何箇所か、ちょっとシーンのつなぎと演技がもったいない箇所があります。

具体的には、エイカーズが叫ぶところとか…。惜しい。

MVA

本当に役者陣も演技を感じさせない、極限っぷりが素晴らしいんですよね。ベタですが中年婦人のシェリー・ウィンタースもすごく良かったし、常にめそめそしてた歌手役のキャロル・リンレーも、演技という意味では良かったと思います。

ですが、まあもっともベタではあるんですが、この映画はこの人しかないでしょう。

ジーン・ハックマン(フランク・スコット牧師役)

この時代、この役はこの人だろうな、と思います。ドハマリ君。

男臭くて強引さすら感じるリーダーシップを持つ異端の牧師さんですが、その信念の強さがセリフの重みにつながっていて。とにかく「俺は生きるんだ、みんなを助けるんだ」という力強さをこれほど感じる人っていないんじゃないかと。素晴らしい演技でした。

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