映画レビュー0612 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
ごきげんよう。今日の映画はこちらだぜ。
タイトルがやたらキャッチーな古典映画(原作は小説)なので、タイトルだけでも知っている方は結構いらっしゃるんじゃないかな、と。ちなみにモノクロです。
郵便配達は二度ベルを鳴らす
ラストが惜しい…!!
チョチョッと調べたところ、同名小説を原作とした映画は全部で4作もあり、今回観たのは1946年版、日本では劇場未公開となった一本でございます。主演はジョン・ガーフィールドとラナ・ターナー。
個人的にラナ・ターナーと言えば、「L.A.コンフィデンシャル」でエドが本物を偽物と勘違いしてディスるシーンに(当然本人ではないですが)出てきたことで名前を覚えていたために、「あああー、この人かー」と感慨深いものがありましたがどうでもいい、との叱責を受けておりますただいま。
おそらく世間的に同名タイトルとして有名なのは、1981年のジャック・ニコルソンとジェシカ・ラング版の方だと思われます。
ということで4度も映画になっただけに、原作としてのデキに関しては申し分ないものなんでしょう。中年夫と美人妻の家に転がり込んできた若い男が妻を寝取り、夫の殺害を企てる…という筋としては本当によくあるパターン。ただ、この映画に関しては、そのよくあるパターンの先のお話がなかなか変わっているのがまさに面白いところで、ネタバレを避けるために詳細は省きますが、ちょこちょこと「いやー、これこうなるんじゃないの?」というサスペンス好きの悪い癖をうまい具合にかわしつつ、最終的にはそういう話なのか、なるほどタイトルはそういう意味なのか…! と思いの外楽しめました。
舞台も映像も古いですが、しかしどうして全然良かった。ただの「痴話喧嘩殺人事件」ってな単純なお話ではないです。結構二転三転します。
途中はちょっとした法定劇的な要素も入ってきて、これまた楽しめたりはしたんですが、しかししかし、なんとも残念なのがエンディング。
これねー、某映画を思い出しましたよ。あたしゃあ。ネタバレになるのでリンクだけ貼っておきますが。
直前にいやーな予感はしたんですよね。「まさかこいつがアレする系か…!」と。そしたら予想通りでやんの。えへ。
まあ終わらせ方としては仕方がない面はあるにせよ、もう少し見せ方をうまくして欲しかったところ。最後はやっぱり大事ですからね…。もうちょっと…「うわ! こう来るか!」みたいな意外さを感じられる見せ方にして欲しかったというか。もうなんつーか…演技にフリが効きすぎててその後の出来事を完全に予感させちゃうのがよろしくない。惜しい…。
まあそれでも話としては面白かったし、なにせタイトルはかなり有名なだけに、「俺は映画好きだぜフフン」とそれっぽい顔をするために観ておいても損はない気がします。
「やっぱりね、映画好きとしては『郵便配達は二度ベルを鳴らす』ぐらいは観ておかないとね。ああ、1946年版ね」みたいな。
嫌なやつですね。
このシーンがイイ!
特定のこれ、っていうのは特になかったんですが、ニックが歌う歌がいっつも同じで笑いました。いい加減嫁さん飽きるやろ、と。
ココが○
二転三転するシナリオはとても良かったです。あとはタイトルがなかなか味わい深いのも◯。
ココが×
これはもうエンディングですねぇ…。観れば言わんとすることがわかると思います。
ああ、それと「あれから1週間が経った」的な展開の後に、その直前のシーンで着ていた喪服をまた着てる、っていうのはどうなのかなと。古い時代だからか、その辺ちょっと大らかな気がする。結構いい加減。
MVA
タイトルでヒューム・クローニンの名前があった気がして楽しみにしていたんですが、中盤で出てきました。さすがに若い!! 僕の中のイメージでは、完全に「ジェシカ・タンディの旦那の爺さん」なので、初めて彼の若い頃の姿を見てちょっと嬉しかったです。鼻につく役でしたが。
んで、MVAはと言うと…
セシル・ケラウェイ(ニック役)
人の良い店のオーナー。
同じ歌ばっかり歌ってましたが、なんというか「いるいる、こういう人」感がすごい。しょっちゅう酔いどれるとは言えめっちゃ良い人なんですが…やっぱり不釣り合いな美人若妻持っちゃうと良くないんですね。
いい教訓になりました。(血涙)