映画レビュー0668 『シャーロック・ホームズの冒険』

今回はBS録画より。けっこー前に録画しておいたんですが、ようやく。

ビリー・ワイルダーが10年の構想を経て制作したオリジナルのシャーロック・ホームズだそうで。

シャーロック・ホームズの冒険

The Private Life of Sherlock Holmes
監督
脚本
ビリー・ワイルダー
原作
アーサー・コナン・ドイル
出演
ロバート・スティーブンス
コリン・ブレークリー
ジュヌヴィエーヴ・パージュ
アイリーン・ハンドル
モリー・モーリン
音楽
ミクロス・ローザ
公開
1970年10月29日 アメリカ
上映時間
125分
製作国
アメリカ

シャーロック・ホームズの冒険

ある日シャーロック・ホームズの家にずぶ濡れの女性が運び込まれる。彼女は行方不明の夫を探しているとのことで、成り行きでホームズとワトソンが捜査を開始するが、そこにホームズの兄・マイクロフトが現れ、捜査をやめるように勧告する。

ワイルダー映画の割にはやや残念。

7.0

鑑賞後に調べたところ、本来であれば4時間近い映画だったようですが配給会社の意向により2時間程度に圧縮されたとのこと。その名残で序盤にロシアの妙齢プリマドンナからの求婚話が結構長いこと展開され、本編の事件が始まるのは開始30分以上過ぎてから。「結局あのプリマドンナの話なんやったんや」と思うことウケアイです。ホントにいらないんですけどアレ。

そんなわけで、実質は1時間半程度の「ビリー・ワイルダー版シャーロック・ホームズ」。ただ、その大幅にカットされた事情故か、ビリー・ワイルダー×I・A・L・ダイアモンドの最強コンビにしては…ニワカの僕からしても、セリフの秀逸さ・コメディ的面白さともに物足りない印象で、正直ワイルダー映画としてはイマイチな気はしました。

ちなみにWikipediaによると、構想初期ではホームズをピーター・オトゥールが、ワトソンをピーター・セラーズが演じるという話があったらしく、そのコンビはめちゃくちゃ観たかったなぁと残念でなりません。

さて、この映画で描かれるワイルダーオリジナルの「事件」は、ある謎の女性の依頼で夫を探し求めていった結果とある機密と関わっていくことになり、そのことでシャーロック・ホームズの兄であるマイクロフト・ホームズも巻き込んでイギリス国家に関わる大きな“何か”とつながっていく…というもの。

当然ながらネタバレのために具体名は避けますが、この事件のモチーフになっているとあるお話がありまして、そこを含めて観るとああなるほどそういう話ありそうだなーなかなか面白いぜ…と思ったわけですが、ただ…このモチーフの話自体、僕も幼少期に見かけた記憶がある程度のものなので、まず間違いなく今の若い人たちには通じない話だと思うんですよね。

果たしてその元ネタを知らずに単純な創作物として観た時に面白いのかというと…少し微妙な気はしました。あくまでこの時代の、世界一般の共通認識の上で「実はこういう話だったのかもよ?」で面白さが活きる映画なのかなと。

なので、時代を問わずに面白いものが多いワイルダーの映画の中では、イマイチ落ちる一作と言っちゃって良いような気がしないでもないでもないでもないな、と思います。

それと、僕はシャーロック・ホームズ自体にはまったく慣れ親しんでいないので、果たしてこの映画のホームズがどうなのか、いわゆるシャーロキアンの皆さまがどう思うのかまではまったくわかりませんが、ただなんとなく…特に序盤で描かれる人物像に関しては、一筋縄でいかないちょっと鼻につく優秀な探偵像っていうのは結構“それっぽい”んじゃないかなと言う気はしました。演じるロバート・スティーブンスも名前を聞いてもピンと来ない人だったんですが、ずっと観てると段々「この人マジホームズっぽい」と詳しくもないのに謎の説得力を感じるという不思議さが面白いという。ただ、この映画の一番の見所は…あの人でしょう。

続きはWebで!(久々の展開)

ネタバレフト・ホームズ

BSで流していたタイミングを逃しちゃうとなかなか今の時代にこれを観るぞ、って人も少ないと思うので書いておくと、この映画のモチーフになっているのはいわゆる「ネッシー」です。ネス湖の。

僕なんかは「うわーネッシーなつかしー!」なんて思って観ていましたが、もはや今の若い人なんてさっぱりわかんないんでしょうね、きっと…。

ネット全盛っていうのもあるんでしょうが、ああいう怪物伝説的な胡散臭い、でもロマンのあるお話ってあんまり聞かなくなったような気がしてそれはそれで寂しいな、と思うんですが、ただこれもよくあるオッサンの懐古趣味的なものなんでしょうね。いつの時代もそういうやつおったで、みたいな。

このシーンがイイ!

ラスト前、“お別れ”のシーンは味があって良かったですねぇ。あの品がある感じがイギリスっぽいというか。アメリカ映画だったけど。そこは一つショナイの方向で。

あそこはワイルダー映画っぽいオシャレさがあった気がする。

ココが○

上に書いた「あの話」の使い方、現実とのリンクのさせ方は面白かったです。ほんとにこういう話ありそうだなーと。

ココが×

まず序盤の謎のプリマドンナ求婚話が本当に謎。

どうせならあれもバッサリカットして90分程度で観やすくするか、本編30分増やしてより深くするかして欲しかった。もちろん事情があってのことなので難しかったんだろうとは思いますが…。

MVA

ということでこの映画の一番の見所、こちらのお方。

クリストファー・リー(マイクロフト・ホームズ役)

劇中ずっと、「このマイクロフトの人、シュッとしててかっこいいなーイギリス紳士っぽいなー」と思っていたんですが、エンドロールでクリストファー・リーという文字を観てビックリしました。そうか、クリストファー・リーってこんな感じだったのか…! と。

ヨボヨボのドゥークー伯爵のイメージじゃあきまへんで。ホンマに。当時(おそらく)48歳、「歩くダンディ」という言葉がピッタリでしょう。本当にカッコイイおじさまという感じで。結構出番もあるし、完全に弟を食っちゃってましたねぇ…。

ちなみにクリストファー・リーはシャーロック・ホームズとマイクロフト・ホームズの両方を演じたことのある(2017年現在)唯一の役者さんだそうです。なるほど納得。シャーロックの方は観てないけども。納得。知らないけどきっとそう。

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