映画レビュー0542 『Re:LIFE ~リライフ~』

先週「コードネーム U.N.C.L.E.」を観た後に「どうせみんなヒュー・グラント最高だった、って言ってんだろ~ん~?」とリアルタイム検索したところ、別の、しかも主演の映画が公開中という情報を今更知り、ファンとしてダメすぎると猛省しつつ、終わる前に急げ! と仕事終わりに久しぶりのレイトショーで観に行って参りましたこちらの映画。

場所はあの「怒りでスタッフロール途中に帰った(現時点での)最後の映画」として個人的に思い出深い「ファイナルファンタジー」を観に行って以来となる、イオンシネマ大宮(当時はワーナーマイカルシネマズ)でございます。

結構大きめの良いスクリーンでの上映でしたが、お客さんは自分を含めて4人という悲しみ。みんなもっとヒュー・グラント観ようぜ!!

Re:LIFE ~リライフ~

The Rewrite
監督
脚本
マーク・ローレンス
出演
ベラ・ヒースコート
クリス・エリオット
音楽
クライド・ローレンス
公開
2014年10月8日 イギリス
上映時間
107分
製作国
アメリカ

Re:LIFE ~リライフ~

かつてアカデミー脚本賞を受賞するも、その後はヒット作に恵まれずにくすぶっている脚本家・キース。妻とも別れ、家の電気まで止められるほど生活に困っていた彼は、エージェントに紹介された片田舎の大学での脚本講座の講師の仕事を渋々引き受ける。“昔の遺産”にしがみついて生きる自分を受け入れられず、同時に講師の仕事にも向き合わない彼だが、次第に生徒たちや同僚との関わりから自分を見つめ直していき…。

ヒュー・グラントのファンサービス映画。

8.5

かつての栄光で食いつなぎながら「こんなんじゃダメだ」とわかりつつも自堕落に過ごし、でも周りの人たちに影響されながら再起を目指す、言ってみればよくあるパターンのヒューマンコメディ。

大体予想通りに展開してエンディングも裏切らないので、安定感はある反面、「突き抜けて良かった」というような高評価も得にくいという、やや厳しい言い方をすれば絵に描いたような“フツーの映画”の一種と言えるでしょう。

ちょっとウルッと来た瞬間はありましたが、期待からすると全然物足りなくて、正直に言えばもっとグッと来る、カタルシスを感じる内容にして欲しかったところ。

ですが、この映画には大きなポイントがあります。

そう、ご存知ヒュー・グラントが主演なわけですよ。

多分、彼を「数いる外国人俳優の中の一人」としか捉えていない人にとっては、「フツー過ぎてイマイチ」な映画かもしれません。実際、僕もフラットに評価するなら、7.0点がいいところかな、という気がします。でも、この主役を演じるのがヒュー・グラントとなるとやっぱり話は別だな、と思うわけです。

劇中、「この役を他の人がやるなら誰がいいかなー。どうなるかなー」と考えながら観ていました。例えばジョージ・クルーニーがやったなら。ちょっとキザな気がする。あんまり困った感じがしないし、スマートすぎる感じになりそう。ダメっぽさが足りない。印象的にもちょっとダンディ過ぎるし、役柄的にもう少し若いイメージがいい。

じゃあポール・ジアマッティ辺りはどうだろう。んー、ちょっとコメディ過ぎちゃってダメかも。女に軽い感じも弱いし、感情移入も弱くなりそう。

僕はこの両名どちらも好きなんですが、そんな感じでイマイチ合わない気がしました。が、ヒュー・グラントだともうピッタリハマり過ぎているんですよね。ほんとに。昔売れて天狗になり、今は落ちぶれてるんだけどそれを受け入れられなかったり、ちょっと嫌なやつなんだけど嫌になり過ぎない感じだったり、意外とちゃんと生徒のことを考えて語りかけられたり、でも感動的になりすぎないで程よく軽かったり。もう本当に完璧に「ヒュー・グラントのための役」になっていて、こりゃーファン向けには良い映画だな、とたまりませんでした。

ちなみにヒュー・グラント、年齢的にはジョージ・クルーニーの1つ上、ポール・ジアマッティに至っては彼よりも7つも上です。さすがにオッサンにはなってきたとは言え、まだまだ全然カッコイイ。

序盤、赴任前にいきなり女子大生をゲットしちゃいますが、それも全然違和感がない。(立場的なものがありつつ、ですが)女子大生が惹かれてもおかしくない雰囲気があるし、同時に女子大生を食っちゃってもおかしくない(いい意味での)ナンパなイメージがある。

これ、すごい大事なんですよね。「女子大生が好きになりそう」以上に「女子大生を食べちゃいそう」なイメージって。そういうストーリーをまったく違和感なく受け入れられる存在感、キャラクターを持つこのお方、やっぱりすごく貴重な役者さんだなぁ、と改めて思いました。

役柄的には、特に序盤では意外と嫌なやつで、ヒュー・グラントお得意の、過去によく観た「情けない男」のイメージとは若干違う感じ。それも明確に「嫌なやつ」というわけではなくて、微妙にプライドの高さが「講師」という仕事を受け入れたくない感じが表に出ていて、なんかいけ好かないよね、みたいな雰囲気があります。この辺もすごくうまいし、リアルな感じもあって、ベタな展開でもそれなりに素地がしっかりしている印象。

脚本家の話でありながら、小道具だったり演出だったりでうまく見せる辺りが若干皮肉ではありますが、ありがちなストーリーをうまく底上げしている作りは嫌味さもなく、割と誰でも楽しめるタイプの映画だと思います。

ただ、なにせ「ハリウッドの脚本家が主人公の話」なので、ちょくちょく映画ネタが出てきます。この辺が理解できないと少し置いて行かれる感じがして面白くないかも。僕はこの手の映画にしては珍しく、結構観たことがある映画の話がちょくちょく出てきたので、これがまたより楽しめて高ポイントでもあったんですが。

なので、おそらくはライトな映画ファンでもそれなりに楽しめる映画だとは思いますが、もっとマニアックな映画ファンの方がセリフひとつひとつに楽しみがあっていいかもしれません。

ただそうなるとストーリーのベタさが引っかかる。となるとやっぱり「ヒュー・グラントファンの映画好き」が一番この映画を楽しめるんじゃないかな、と思うわけです。

何はともあれ、ありがちではあれど爽やかにほっこり笑いつつ前向きになれる素敵な映画なので、気になる方はぜひ。レイトショー、人の少ない劇場でじっくり観て、暗い中いろいろ考えながら帰る時間も込みで、とても幸せな気持ちになれました。

良い映画は観た後の余韻の時間がまたいいですね。

このシーンがイイ!

終盤、ホテルのレストランでキースがクレムに言葉をかけるシーン、期待通りで素晴らしかった。

あとはエンドロールがちょっとしたエピローグになっているのも、これまたありがちとは言え好きです。

ココが○

嫌味のない、誰にでも受け入れやすいシンプルなストーリーは誰が観ても一定程度の評価は得られそう。ヒュー・グラント好きなら必見です。

ココが×

何度も書いていますが、やはりベタなまま強い何かを残さずに終わっていくので、サラッとしているのはいいもののあまり残る何かがないのも事実です。もう少し引っかかる何かが欲しかったかな。

あと、鑑賞中に「これ、どう考えてもタイトルはリライトでよくね?」と思ったんですが、案の定原題はRewrite。なんでリライフに変えたのか意味不明。相変わらず配給会社の仕事はダメですね。

MVA

“オヤジキラー”メガネ女子大生のベラ・ヒースコート、初めて観ましたがかわいい! この子は今後要注目ですね。

期待のJ・K・シモンズは出番は少なめなものの、さすがの名脇役ぶり。まさかのかわいいお爺ちゃん。その他、同僚教師の面々も素敵でしたが、もちろんこの映画はこの人のものです。

ヒュー・グラント(キース・マイケルズ役)

もう散々上に書いたので改めてどうこうってこともないんですが。

「コードネーム U.N.C.L.E.」は役柄的にあえて少し老け目にしたのかな、という気がしたぐらい、こちらは“いつものヒュー・グラント”。

もちろん歳はとっていますが、とても50代半ばには見えない。全然イケてる。でもやっぱり情けない。その感じが最高です。ほんっとこの人の存在感は特別だなぁと思います。

今でもこうしてこの人が主役のこういう映画が出てくる、っていうだけですごく嬉しいので、今後もまたこの手の映画、期待したいですね。

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