映画レビュー0344 『シャイニング』

これまた非常に今さらなチョイスだろうとは思いますが、かつて働いていた会社で(自称)死にやすい上司に薦められたことがあり、ずーっと観たいと思っていた作品。

正月に観るにはあまりにも不釣り合いな作品ではありますが、「ニューイヤーズ・イブ」と一緒に借りてたのでしょうがない。

実はサスペンスだと思っていたんですが、「ホラー映画だ」と聞いて尻込みしつつ…。

シャイニング

The Shining
監督
脚本
スタンリー・キューブリック
ダイアン・ジョンソン
原作
『シャイニング』
出演
シェリー・デュヴァル
ダニー・ロイド
スキャットマン・クローザース
バリー・ネルソン
音楽
バルトーク・ベーラ
ジェルジ・リゲティ
ウェンディ・カーロス
アル・ボウリー
公開
1980年5月23日 アメリカ
上映時間
143分(通常公開版)
119分(国際版)
146分(プレミア上映)
製作国
イギリス・アメリカ

シャイニング

小説家志望のジャックは、冬の間は閉鎖されるホテルに管理人として就職、妻と息子を連れて3人だけの孤独な生活を始める。そんな中、彼の息子・ダニーは超能力を持っていたために、見知らぬ双子やドアから滝のように流れる血を目撃する…。

好きじゃないけどさすがにスゴイ。

8.5

まず大前提として僕はホラーが嫌いなチキンガイなので、いかにもな煽りで展開されるシーンはどうも凝視できないんですよね。「夜観るのなんて絶対ムリ」と思ってあえて昼間に観たんですが、それでも入り込みすぎるとおしっこ漏れそうなので携帯いじったりしながら。そんなチキンなのではっきり言って向いていないわけですが、それなりにごまかしつつ観た感想を。

まず概要。

主人公の小説家志望・ジャックは、冬の間、人っ子一人いないホテルの管理人の仕事に就きます。面接の時に支配人から「以前の管理人が発狂して妻子を殺して自殺した」という曰くつきの仕事である旨を伝えられるも、あまり気にもとめず、むしろ静かだと物書きがはかどるからいーんじゃね? ぐらいの勢いで、奥さんと息子を連れてホテルでの生活を始めます。

その息子は「シャイニング」と呼ばれる不思議な能力を持った少年で、その能力のおかげか、かつてホテルで起きたのであろう双子の姉妹が殺されている現場や、その他様々な怪奇現象を目撃し、このホテルに良からぬものを感じます。

しかし父であるジャックはそんなこともつゆ知らずにタイプライターを打ち続けていたある日、自分が妻と息子を殺す悪夢にうなされて目が醒め…というお話。

さて、大して参考にならないチキンガイのレビューですが、まず最後まで観た感想としては「そこまで怖くもないな」というか、自分が嫌うグロいシーンはほぼ無かったので、もうちょっとしっかり観ても良かったな、と反省。

「シャイニング」と言うと、斧を片手に発狂したジャック・ニコルソンが殺人鬼と化し…みたいな先入観があったので、首チョンパ的なシーンがワンサカ出てくるのかと思ってましたが、そういうこともなく。

確かにホラーはホラーですが、精神的なホラーの色が強く、痛かったりグロかったり、っていうのはあまり心配しなくていいので、結構間口の広い映画のような気がしました。

で、そういうホラー的な解説を除いて、映画としてどうこう言うのであれば、まず「シャイニング」というタイトルの割に、そのシャイニングの部分、要は息子の能力の部分ですが、その扱いがかなり小さく、はっきり言って別にいらないんじゃないか、と思うぐらい存在が軽くて、なーんかモヤモヤしたような感覚がありました。結局のところ「ホテルに何かある」という情報提示のためだけの「シャイニング」だったので、その扱い方が少し気になったというか。

確かに話を進める、理解させる上では必要なんですが、結果的にその能力のおかげで何かできたとか影響があったとかも特に無いので、なーんか腑に落ちないような、わかりやすく言えば「これいるのか?」って感じが拭えず。

そんなところでモヤモヤしていたわけですが、ただ主人公・ジャックが狂っていくのは(おそらく)「ホテルに何かある」からで、その描写のためには必要なんでしょう。

映画全体について言えば、確かに怖かったんですが、ただそれも多分に昔らしい煽りの音楽だったり、役者陣の熱演ゆえだったりもするので、話自体にそこまで怖さがあるのかというと、実はそうでもないような気もします。振り返れば。

この辺はあえて、なんでしょうが、人物(特にジャック)にフォーカスしているためにそう思わせる部分が大きく、「ホテルそのもの」の存在をもっと強調した方がより怖かったんじゃないかと思います。が、そうしなかったのは、おそらくキューブリックが「ただのホラー映画」にしたくなかった、ってことなんでしょう。

ってことを考えると、おそらくは「ホテルのせいで狂った」というよりは、ホテル含めた外的要因でジャックの自我が崩れていった、という話なんでしょうが、そうなると(そうでなくても、ですが)ラストがあまりにも呆気なさすぎて腑に落ちないんですよね。もっと見せて欲しかったし、「え!? いきなり!?」って感じがどうにも。おまけに最終的にはホテルの存在を強調したかのようなカットで終わるので、ここで少しちぐはぐな印象がありました。

もっとも、僕のようなしっかり観てもいないチキンガイが、かの大監督スタンリー・キューブリックに物申せるはずもなく、きっと僕の理解していない意図があったんだろうと思います。

思えば「2001年宇宙の旅」も、二十歳そこそこで観たせいもあるんでしょうが、当時まったく面白さがわからず酷評した記憶があるので、キューブリックとは相性が悪いのかもしれません。きっと僕にはそこまで高尚な理解力は無いんだと思います。

少し話が逸れたので戻しますが、そう、その「終わり方」の部分、ここがすごく残念だったんですよね。

結構道中盛り上がってきて、気味悪いながらも引きこまれていった部分があったんですが、まさかのサックリ終了した感じにすごくガッカリしちゃったんですよ。これは多分にカット割・構成の部分で変えられたと思うんですが、「いきなり朝、ズドーン」っていう流れにかなり唐突な感じがして、もう少しそこを予感させるものがあってよかったと思います。

本当にここだけはまさに“ただのホラー映画”になっていて、驚きとともにこの顔を見せたかっただけなんだろうか、と不思議で仕方なくて、もう一回戻して観てみて「やっぱりえー」みたいな感じになりました。

僕だけなんでしょうか。これって。

他の人のレビューを読んでもあんまりそういう触れられかたはしていないので、多分僕だけなんでしょう。流れも理由もわかりますが、もう一歩だけ、丁寧さが欲しかったな、と…。

ただ、中盤の怖さ、ラストの小道具のニュアンス、この辺りは「さすが名作と言われるだけある」と思ったぐらい、他にはないものは感じました。それだけに朝を迎えたシーンがもったいない気がしたし、なんとも評価の難しい映画だな、と思ったのが正直なところです。

それでも他の人のレビューを読んで補完したい気持ちも結構あるし、やっぱり他にはない“何かがある”映画なんでしょう。

そう、ホテルにも…。

サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。(久々淀川オチ)

[2017年追記]

やっぱり今思い出してもこの映画はものすごく印象に残っていて、そのために評価点も上げたわけですが、ただ文章自体を読んでいると全然そんな評価が高いようには読めないのでちょっと補足したいと思います。

この数年後に「ROOM237」を観たことも関係しているとは思いますが、まずこの映画はとにかくいろんなシーンを鮮烈に覚えているんですよね。

ジャックが壁当てしているようなどうでもいいシーンもそうだし、血が流れてくる有名なシーンもそうだし。ここまで映像の記憶が風化しない映画というのは自分の中ではなかなか珍しいので、やはりそれだけ印象的で脳に焼き付けられるような映画だったんだろうと思うんです。

あとはやっぱり、キューブリック映画にありがち…な気がしますが、映画そのものだけではやや説明不足な部分、理解しきれない部分が結構あるので、それを補完するような作業、例えば他の人のレビューだったりそれこそ「ROOM237」を観たりという作業を経ると、「なるほどそういう話なのか」とより深く響き、「やっぱりあの話すごいな…」と印象に残るような部分はあるのかもしれません。

その辺を考えてももう一度観るべき映画なのかな、と思います。

このまた数年後にレビューを書くことになるわけですが、自分としても十数年ぶりに「2001年宇宙の旅」を観てひどく感銘を受けたこともあっただけに、やっぱりキューブリックの映画は「一回観たぐらいで偉そうに語るんじゃねーよ」案件なのかもしれないなと思います。

…と補足になっていない気もしますが。

総論としては、上記レビューのようにいろいろと不満な点は間違いなくありました。

が、この映画を観たことで、漠然と…ですが映画に対する理解が一段深まったような気もするんですよ。なんとなく。

それは後年作られる映画に、この映画の要素が共通言語的に埋め込まれている部分もあるんだろうし、単純にこの映画のシーンを目にする機会が多い(「ツイスター」とか)せいもあるんだとは思うんですが、やっぱりこれを観ているか観ていないかで他の映画の見え方が変わってくる部分は確実にあると思うので、映画が好きな人は一度観ておいた方がいいのかな、と思います。

観た結果、好きか嫌いかは人によって違っていいと思うんですよ。僕も当時はそんなに好きじゃないな、と思ったわけで。

ただ、時間が経つにつれて存在がどんどん大きくなっていく不思議な映画の一本だったのも間違いないので、改めてやっぱりキューブリックってすごいんだな、と思うんです。

「映画好きのくせにキューブリックのすごさがわからないのか」と思われたくなくて書いているわけではなくて、本当にそう感じるんですよね。っていうかそういうプライドはゼロでやっているのがこのブログの唯一のウリなのでその辺りはご理解いただきたいところなんですが。

観たけど嫌い、でも時間が経つと観ておいてよかった、やっぱりすごかったという映画になる…この映画の他には「ブレードランナー」もそんな一本ですが、歴史的に評価されている映画はそういう部分があるのかな、と思います。

それはきっと、上に書いたように自分で意識しているしていないに関わらず、どこかしらでその影響を他の映画に観ることで意識付けされていく面もあるのではないでしょうか。

やっぱり映画っていろいろ深いよな…と改めて思います。

もう一度観たい、シャイニング。

このシーンがイイ!

例のジャケットで有名なジャック・ニコルソンの顔。「おおお、このシーンか!」とドキドキしましたね。「タクシードライバー」のあのシーンを観た時と似た感覚。

が、一番のシーンは、奥さんがタイプライターの原稿を見たシーン。これねー、超怖かったですよ。文字だけなのに、超怖い。すごいな、と思いましたね。恐ろしいです。

あのシーン最高すぎる。多分一生忘れない。

ココが○

ホラー嫌いの視点としては、やっぱり「痛い・グロい」シーンがあんまりないところ。思ったより見やすかったのが良かった。ただ風呂のババアだけは怖かった。

それと映像に関しては言わずもがな。控え目ながら「恐怖の館」が存分に表現されています。昼のシーンが多いのも、「夜に怖いのは当たり前だからね」なんて自信の表れだったりするんでしょうか。

子供視点でカートを追う映像もなんだか気味が悪いし、全体的に完成度が高く、今の時代に観てもチープさが無いのはスゴイ。

ココが×

僕がケチを付ける部分はきっとズレてると思うんですよね。ことこの映画に関しては。

それでも書くなら、やっぱり決着の仕方、朝の迎え方だと思います。唐突すぎると思うんだよなぁ…。「ハイ、時間切れ!」って感じで。

あとは、時代的に仕方のない部分ではありますが、今観るには少し音楽が安っぽいです。映像がイイだけに、余計に感じたような気がします。いかにも煽ってます、という感じなんですよねぇ…。

MVA

ンマーやっぱりこの手の狂っていく男をやらせたらジャック・ニコルソン、さすがです。怖すぎます。でも、もっと怖かったのはこの人です。

シェリー・デュヴァル(ウェンディ・トランス役)

逃げる奥さんですが、すんごい怖いんですよね…。

鬼気迫る感じがとても演技とは思えず。…と思ったら、実際現場でもかなり意図的に追い込まれていたらしく、あの鬼気迫る怖さは半分リアルだったようです。そりゃー他の人、叶わないよ…。

あと息子も賢く可愛い感じがグッドでした。結局主要3人みんな良かった、って話です。

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