映画レビュー0340 『ソーシャル・ネットワーク』

またも劇場に観に行こうか悩みつつ、行けなかったシリーズ。あんまりフィンチャーにこういう映画のイメージがないので、期待と不安が半々な感じで観てみました。

ソーシャル・ネットワーク

The Social Network
監督
脚本
原作
『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』
ベン・メズリック
音楽
公開
2010年10月1日 アメリカ・カナダ
上映時間
120分
製作国
アメリカ

ソーシャル・ネットワーク

彼女との口論で苛ついたマークは、酒の勢いも手伝ってブログに彼女の悪口を書き倒し、やがてハーバード大学のネットワークをハッキングして学内の女子生徒の画像を集め、投票して比較するサイトを立ち上げる。このことを問題視され処罰を受けたマークだが、逆にこれを契機に能力を知られることになり、「ハーバード大学の男子学生と出会えるサイトの立ち上げ」の協力を依頼される。

今時社会派映画。飽きさせないスピーディさが新鮮。

8.0

おそらく僕のように勘違いしていた人も結構いるんじゃないかと思いますが、僕はてっきり「フェイスブック作った俺ってクールだろ? 女も抱き放題なんだぜ」的な現代の伝記をスタイリッシュにお送りする映画なのかと思ってましたが全然違い、「クセのあるオタク的男子がフェイスブックを立ち上げて大きくなるまで」の過去の話と、その過去に関わってきた人たちに訴えられた現在の話がクロスする形で進む、今時のネット社会をリアルに描いた社会派映画っぽい雰囲気の作品でした。

スピーディに飽きさせず展開するストーリー、ちょいテクノっぽい高揚感ある音楽、そしてフィンチャーらしい夜が印象的な映像と、どれも高次元にまとまっていて、さらに存命中の人物を描いている割に、確信犯的に主人公があまり魅力的には描かれていない作りが面白く、「ただの成功譚」になっていないのがすごく良かったです。

あらすじはまさにフェイスブックの立ち上げそのもの、なんでしょう。詳しくは知りませんが、フィクションも交えつつも、いかにも“それっぽい”上っていく感覚と、いろんな人間の思惑が交錯する「汚さ」、そして堕ちていく人、と社会派的に必要な要素は揃っていて、単純に物語として面白いです。そこに、まさに今世界的に広まっている“フェイスブック”という現在進行形のSNSがテーマになっているだけに、ネット社会に生きる現代人には興味深い部分もあるんじゃないでしょうか。

主人公であり、実際にフェイスブックを立ち上げた男・マークは、オープニングでの彼女との口論からもわかる通り、普通に見てあまり魅力的な人物ではありません。いかにも頭はよさそうだけど、いかにもクセのある感じで、まあなんというか友達がいなさそう。

そんな彼がフェイスブックを作り、“ナップスター”(超懐かしい)の創業者との出会いなんかを通して会社を大きくしていく様と、その過程で生じたトラブルを原因にした訴訟の場に引っ張りだされてかつての友人たちと戦っている現在を交互に描いていくわけですが、面白いのは、上に書いた通り、確信犯的に主人公を「嫌なヤツ」として描いているところ。

このマークは世界最年少の億万長者らしいですが、そういう人に対する一般市民のやっかみも計算に入れているんでしょうね。あからさまに主人公を「敵役」として進めていきます。

ただそれで終わりではなくて、終わりに向かっていくにつれ「彼も普通の人間なんだな」と思わせる作り(特にエンディング)にすることで、「そんな悪いヤツじゃないな。人間臭くていいじゃないか」みたいにフェイスブックの営業を邪魔しないように作っている辺りがウマイ。

存命中の人物を描く以上いろいろな配慮が出てくるのは仕方ないと思いますが、その“配慮”と物語としての面白さのバランスの取り方が絶妙で、「どうせ媚売り映画なんでしょ」とか逆に「悪意ある貶め映画なんでしょ」とかそういう裏読みを良い感じに裏切ってくれる映画になっているように思います。この辺りはやっぱりフィンチャーの演出の腕と、脚本自体の良さがそうさせるんでしょう。

フィンチャーと言えばやっぱり「セブン」「ドラゴン・タトゥーの女」のような“エグいサスペンス”のイメージが強いわけですが、こういう映画もさすがにウマイんだな、と感心。

テーマ上、どうしてもPC関連の言葉がバンバン飛び交うし、対象年齢がある意味狭いのが難点ではあります。ラストシーンのマークが何を繰り返してるのか意味わからん、みたいな人もいると思いますが、ネットに慣れ親しんでいる人であれば大抵の人は楽しめるんじゃないでしょうか。

ちなみに僕はフェイスブックはやっていません。今後やるつもりもありません。それでも面白かったので、特にフェイスブックに興味が無いと面白くない、ということもないと思います。

アメリカンサクセスストーリーと、その周辺にある裏事情みたいなものも(表面的にですが)窺い知れるので、現代人として観ておいて損はないんじゃないかと。

このシーンがイイ!

本線とはあまり関係がないんですが、ボートレースのシーン。かなりピントの狭いレンズ(?)を使用することで全体がミニチュアのような映像になっていて、なんというかフィンチャーらしいカッコイイ絵だな、と。同時にかかる音楽もマッチしててすごく印象的でした。

ココが○

話自体が面白くて飽きさせない、っていうのもありますが、上に書いたように音楽もすごくかっこよくて映画に合ってたし、この映画っぽく言うなら、映画自体もしっかり「クール」なんですよね。当たり前だけどなかなかうまくできない、「テーマに沿った映画」になってます。地力が無いと作れないうまさというか。

ココが×

特に無いかな?

もうからっきしPC関連わかりません、って人は難しいと思いますが、そうでなければ普通に楽しめる人がほとんどじゃないかと。

MVA

いやぁ、わかっちゃいましたがオープニングのルーニー・マーラ、びっくりしました。こっちが先なんですが、僕は「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットが先だったので、いや聞いてはいたけど全然違うな! と。すーごいかわいいですね。この映画だと。

さて、MVAとしては…若干悩みました。二択で。外した方はジャスティン・ティンバーレイク。もういかにも怪しいしいかにも軽いし、いかにもこういうやついそうだし。もっと「TIME/タイム」みたいな役と演技が多いのかなと思ってたので、こういう「かっこいいけど胡散臭い嫌なやつ」みたいな演技は新鮮でした。

でも、やっぱりこの人かな…。

ジェシー・アイゼンバーグ(マーク・ザッカーバーグ役)

いかにも頭がよさそうで、でもいかにも嫌なやつで、でも本当はそんな嫌なやつじゃなくて、っていう複雑なキャラクターを見事に演じてます。生々しいまでの「マークっぷり」は本当にお見事でした。

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