映画レビュー0565 『第三の男』

映画好きとしてはタイトルを知らないとモグリと言っていい映画の一つですが、観てないのもモグリじゃないのか、ということで観ました。

もう66年も前の映画なんですねぇ。イギリス映画だとは知りませんでした。こういう「観たいけど借りるほどじゃない」映画をやってくれるBSプレミアムは助かります。

第三の男

The Third Man
監督
キャロル・リード
脚本
グレアム・グリーン
音楽
アントン・カラス
公開
1949年9月3日 イギリス
上映時間
105分
製作国
イギリス

第三の男

アメリカの売れない小説家、ホリー・マーチンスは、幼少期からの親友であるハリーから「一緒に仕事をしないか」と誘われ、戦後間もないウィーンへやってくる。しかし到着間もなくハリーが事故で死んだことを告げられたホリーは、そのまま彼の葬儀へ参列、ハリーの悪い噂を聞く。親友としてハリーの悪事を信じられないホリーは、彼の最期について調べていくうち、その場に居合わせた謎の“第三の男”の存在を知る。

大人の映画。

7.0

日本ではあのヱビスビールのテーマ曲でお馴染みのメインテーマをバックに始まるモノクロ映画。ジャンルとしては一応サスペンスになるんでしょうか。ただ人間ドラマの色合いの方が強い気はします。

「親友の知られざる一面」と、その謎の死、そしてそこに関わったと思われる“第三の男”、それらを親友の恋人だったアンナとともに追うホリーのお話。

主人公のホリーは、独自に親友・ハリーの交友関係を中心に聞き込みしつつ、葬儀で知り合った軍少佐・キャロウェイにも情報を提供してもらいながら、ハリーの死の真相、そして少佐の言う「ハリーの悪事」が事実か否かを追っていきます。当然ながら、タイトルにある“第三の男”が何者なのかが肝になってきますが、実は割と早い段階でこの人が誰かが判明します。そこからが本編…ではありますが、ネタバレになるので控えておきましょう。

さて、感想。

まず序盤はどうも集中できなくて、実は風邪の時に1回観ようとして眠くなって断念、後日だいぶ風邪も良くなってきてまた今回観たんですがやっぱり序盤は眠くて大変でした。今の時代にこういうことを言うのはやっぱり酷ですが、どうしても古い映画は展開が少し遅く感じる部分があるので、眠くなりそうな予感がするときは避けたほうが無難かもしれません。とは言え特に難解なわけでもないので、完全に体調と集中力の問題だとは思いますが…。

正直なところ、僕はもっと「驚きの結末!」的なものを想像していたので、“第三の男”が判明して以降の、サスペンスよりもむしろ人間ドラマ的な味わいの強い内容には若干肩透かしを食らった印象はありましたが、ただそれが悪いというわけでもなく、特にラストの後味はさすが名作と言われるだけあってなかなかのものでした。

モノクロの味わいを活かした陰影の強い夜のウィーンもとても味わい深く、これほど夜が映える映画もなかなかないな、と思わされる良さがあったし、カメラ割りも印象に残るシーンが結構多く、さすがに絵作りは今観ても素晴らしいなと感じたんですが、ただストーリーは全体的にややあっさり目で、今の刺激の強い映画に慣れてしまった身としては、もう少し引っ張ってーの盛り上げてーのでグッと来る一発をお見舞いされたかった、という気はしました。

でもそれをやっちゃうと安っぽくなっちゃってこの映画らしい一種の「高貴さ」みたいなものも失われそうだし、これはこれで完成形なのも十分わかります。今の時代に沿った“何らかの面白さ”を求めるべき映画ではないんでしょう。

現代的視点からすれば、なんだかんだ言って結構地味だし、今ひとつ引力に欠ける面は否めませんでしたが、それでも人間模様、感情の描き方はやはりこの時代特有の味があって、なるほどこれは大人の映画だね、という気がします。個人的にはもう一歩グッと来る何かが欲しかったですが、それでも十分楽しめました。

このシーンがイイ!

これはもうラストシーンでしょうね。ハードでボイルドなエンディングでした。

ココが○

なんだかやたらと夜のウィーンを走り去る映像のイメージが強いんですが、その時のカメラの角度が良かったですねぇ。

そんな感じで、映像の良さはすごく印象に残りました。モノクロ映画らしい味わい。

ココが×

例のテーマ曲がメインでよく流れるんですが、なんとなくあの明るい曲調が映画にマッチしていなくて、どこまで行っても“軽く”感じられたのが残念。曲自体は好きなんですが、映画を引き立たせていたかと言うと正直疑問。

MVA

オーソン・ウェルズは初めてちゃんと観た気がしますが、流石に良かったですねぇ。僕にとっては「イングリッシュ・アドベンチャー」のイメージなんですが。この人でも良かったんですが、うーん、こっちにしようかな。

アリダ・ヴァリ(アンナ・シュミット役)

ヒロインですが、この時代らしい悲劇的な雰囲気と意志の強さが伺える感じが素敵でした。この映画にとって、この人の存在は大きいですね。

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