映画レビュー1230 『必殺!恐竜神父』
今回も急遽開催されたウォッチパーティで強制的に観させられる形となった映画です。ものすごい不安だったんですが…。
必殺!恐竜神父
ブレンダン・スティアー
ブレンダン・スティアー
グレッグ・コーハン
アリッサ・ケンピンスキー
ダニエル・スティアー
アウレリオ・ボルテール
ニコラス・M・ガロフォロ
ジェシー・テューリッツ
フェルナンド・パチェーコ・デ・カストロ
D.A.マコーミック
2018年9月28日 イタリア
70分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

ツッコミに忙しい超Z級大爆笑映画。
- 成り行きで恐竜の力を得た神父、そのせいで謎の忍者軍団に追われる
- 感情が高ぶると恐竜になるっぽいものの回数としては数えるほど
- 斬新な演出に始まり、よくわからないロマンスを経てよくわからないエンディング
- とにかくツッコミどころ満載で大爆笑
あらすじ
なんでもB級(Z級)愛好家界隈ではかなり有名な映画らしく、なるほど確かに「なんかすごいもんを観た」という衝撃体験を味わいました。しかし衝撃体験だったくせに直後に内容はさっぱり忘れるという後味の爽やかさ(?)もすごかった。
ある日、とある教会の若く敬虔な神父・ダグ(グレッグ・コーハン)の目の前で両親の乗る車が大爆発、両親は爆死。
傷心のダグは旅に出ることにして中国へ行きますが、そこで出会った謎の組織に追われている謎の女性に謎の化石を託されます。
その化石のせいで妙な夢に悩まされるようになった彼は、ある夜中に街を彷徨い、公園へ行くと娼婦のキャロル(アリッサ・ケンピンスキー)が強盗に襲われるところに遭遇。感情が高ぶった彼はなんと恐竜と化し、強盗共を喰らい尽くすのであった…!
助けられたキャロルは「その力を使って罪人を始末して世直しするべきよ!」とダグにアドバイス。
かくして敬虔な神父だったダグは「恐竜神父」という別の顔を持つことになるのでした…。
乗っかるのも悔しいものの
正直もうよく内容は覚えていません。時間が経ったからというわけでもなく、もう本当にゲラッゲラ笑って「すごいもん観た」と言った1時間後には忘れてました。
気持ちがいいぐらいに忘れやすいのはどうでもいい内容だからでしょうか。ところどころ衝撃のシーンは覚えているんですが、一応ネタバレになったりならなかったり(そもそもネタバレが気にならないという説もありますが)するので書くのはやめておきます。
まあもう話なんてあってないようなものというか、観るべきところはそこじゃないんですよね。きっと。こういう映画は。
かなり意図的に“Z級”にしていると思われるので、そういう意味では「ゾンビーバー」にも近い映画ではあるんですが、しかしまあふざけるにもここまでやるとすごいというか…やっぱりこれは上手い、のかなぁ…。
今まで観たことがないレベルでひどい映画で、一人で観てたらどうかはわかりませんが、まあみんなでワイワイ観るにはこの上ない最高の映画の一本と言えるでしょう。ウォッチパーティ本当に楽しかったです。
笑ったレベルでは「中国超人インフラマン」にも近いんですが、あっちは大真面目にやっていたのが良かったのでこの映画とはちょっとベクトルが違います。
こっちはかなりふざけてるしそれに乗っかるのも悔しい気持ちがありつつ、でももう本当にバカすぎて笑っちゃうんですよね。たまに言いますがこれは映画というよりはコントに近い気がします。
まあよくAmazonもこんなものを配信するよねという話で、作った人たちもまさか海外で観られるとは思ってない…のかどうかもわかりませんが、しかしまあ結果面白かったので良しとしましょう。
例えばオープニングの「両親爆死」も字幕ベースで「特殊効果」とか出るだけで、すごく人を食ったような作りなんですよね。
その後の中国も「明らかにその辺の林だろ」って場所でロケしてるし、その後も同じ林でばっかり撮影してて大爆笑。最初は手軽だからやってるんだろうと思ってたんですが、あまりにも同じ林ばっかり出てくるのでこれは“天丼”なのでは…と身震いしました。狙ってやってる…!
恐竜のキグルミもあからさまに質が低く、「キグルミであるのがバレバレ」である上に質が低いのでダブルでひどいんですが、その上「なかなか恐竜が出てこない」のもポイントです。なぜか無駄にマッチョな神父を見させ続けられるという謎の時間。
キャロル絡みのシーンもまあひどくて笑い転げるし、忍者軍団のやる気のないトレーニング他ツッコミどころは枚挙に暇がありません。そもそも忍者なのになんで中国なの、とか。
もしかしたらつっこんだら負けなのかもしれない。それぐらいに小ネタが満載で、よくこんなものを作ろうと思ったなと清々しい気持ちにすらなりました。
ぜひ誰かと一緒に
僕はベクトルとしては「中国超人インフラマン」の方が断然好きなんですが、とは言えここまで笑わされると認めざるを得ません。
あんまりアメリカコメディにないタイプの笑いというか…「笑わせに行ってる」よりかは「笑われに行ってる」プライドのなさが結構衝撃的で、まあ本当によくこんな映画作ったなと半分呆れつつも称賛です。
特に誰かと一緒に観るには最高の一本足り得るので、ぜひウォッチパーティなりなんなりでワイワイ笑いながら観て欲しい一本ですね。
このシーンがイイ!
いきなり始まるPVっぽいシーンが一番笑いました。なんなんだよあれ。
ココが○
1時間ちょっとで終わる潔さ。無駄に伸ばさずバカバカしい作りを貫き通す姿勢。最高です。
あとは地味にズームを多用するカメラワークも笑えるのがすごい。カメラワークだけで笑わせにきてる。
ココが×
本当にどうしようもなくくだらない映画なので、合わない人はまったく合わないでしょう。
それに当然期待して観ると損します。期待しないで観ましょう。
MVA
無駄にマッチョな主人公も良かったですが、こちらの人に。
アリッサ・ケンピンスキー(キャロル役)
ヒロイン。そこそこかわいい。
彼女の存在が無かったらもっとスッキリした話で終わったと思うんですが、無駄に込み入らせて無駄な恋愛要素が入ってくる感じ、メタ的に他の映画の「無駄な恋愛要素」をバカにしているようで好きでした。
あと無駄に強い。そこがまた笑うんですけど。