映画レビュー0773 『砂上の法廷』

今週末観るべき映画」でご紹介されていて観たかった一本なんですが、ネトフリに入っているのを発見したので早速。

意外とわざわざレンタルしに行った映画が気付いたら入っていたりして、オリジナル以外の映画も結構充実してきている気がします。ネトフリ。

砂上の法廷

The Whole Truth
監督
脚本
ニコラス・カザン
出演
ググ・バサ=ロー
ガブリエル・バッソ
ジェームズ・ベルーシ
音楽
エフゲニー・ガルペリン
サーシャ・ガルペリン
公開
2016年3月25日 日本
上映時間
93分
製作国
アメリカ

砂上の法廷

弁護士のブーンが殺害され、彼の息子・マイクが容疑者として逮捕される。ブーンの友人でもありマイクとも長い付き合いの弁護士・ラムゼイがマイクの弁護を引き受けるが、彼は自供もしており、勝ち目は薄い。それでも無罪を勝ち取ろうと奮闘するラムゼイだが…。

前フリ無しの真相は驚かせたい感が強くてダメ。

6.0
完全黙秘を貫く親殺しの事件の真相とは
  • 法廷中心で地味ながら見応えアリ
  • 少しずつ明らかになっていく情報の出し方もオーソドックスながら◎
  • ただ丁寧な道中と相反するエンディングは残念感強め

主人公の弁護士・ラムゼイを演じるのはキアヌ・リーヴスということで、なんと僕自身彼を観るのはあの「マトリックス」以来になります。マジカヨ。ただ実はこの映画、最初はこの役をダニエル・クレイグが演じる予定だったのが1週間前ぐらいになってドタキャンというひどい話で、ピンチヒッターとしてキアヌがあてがわれた様子。でも結果的にはキアヌの方が似合ってた気はするな。

冒頭で語られる通り、「最初から勝ち目の薄い裁判」が物語のスタート。ものすごい豪邸に住み、傲慢で「なんでも意のままにできる」と思っているかのような大金持ちの弁護士・ブーンが自宅寝室で殺害されるんですが、警察が駆けつけた頃には息子のマイクが遺体の前に座り込んでいて胸に刺さったナイフには指紋もべったり、本人も自供しているということで犯人はほぼ確定、あとは「どうその罪を軽くするのか」が争点の裁判と言った様相を呈しております。

ちなみに弁護を引き受けるラムゼイさんは元々ブーン家のお抱え弁護士なんですが、それだけでなく彼の師匠格がブーンという構図。駆け出しの頃にいろいろ弁護士としての心構えを教わったような存在ですね。

で、容疑者である息子のマイクも弁護士を目指していて、今度は彼を教える側にいたラムゼイがこういった事件の成り行き故に彼の弁護を引き受けることになる、というなんともやるせない因果を感じる事件でございます。

ロケーションはほぼ裁判所オンリーで、たまに弁護士チームが陣取るモーテルの一室や拘置所が出てきたり、回想シーンでブーン宅(超豪邸)やチャーター機の機内が出て来る程度で、映画としては低予算映画と言って良いでしょう。物語もそれに準じて裁判所がメイン、あとはちょっとした回想シーンと弁護士チームの作戦をご案内する程度で、至ってオーソドックスな法廷サスペンスと言って良いと思います。なんなら2時間ドラマでもできそうなレベル。

ただまあ主演がキアヌですからね。なんつっても。おまけに裁判所のシーンではまったく気付かなかったんですが、被害者ブーンの奥さんがあのレネー・ゼルウィガーですよ。ブリジットでおなじみの。髪をアップにした回想シーンでようやく気付く節穴ぶり。その彼女が夫にバカにされ、虐げられる悲しい妻を演じる…わけですが、この人が演じている以上そうそう素直に受け取れない話なんじゃないの〜? と思ったりしつつも当然詳細は書きません。はてさてどんなお話やら。

まあ冒頭の話通り、「勝ち目が薄い裁判」のまま行って負けましたーではお話にならないので、そこにどういう作戦があり、そしてどういう結論を経た先にどんな真実があるのか…というお話なわけですが…もちろんそれは書けません。書けませんが、ただあまりにも前フリがなさすぎて、「ただ観客を裏切るためだけの結末」みたいな流れがねー。やっぱりちょっと残念でした。

道中は法廷モノとしてベタではありますが過不足もなく、この手の映画が好きな人には割としっかり楽しめる映画ではあると思います。特段無駄なお話も出てこないし。法的に無知な人間から観た分には特に矛盾も無いし。至って真っ当に、地味ながらしっかり法廷ドラマを見せる映画としてはなかなかじゃないかなーと思って観ていました…が、やっぱりその結末がね。余計かなと。

やっぱりある程度裏切る必要がある、裏切りたいと考えるのはよーくわかるんですが、かと言ってそれが唐突すぎるとやっぱり醒めちゃうじゃないですか。なんの確証もなく「実はこういう話なんじゃないのー?」と思ったのがそのままご案内されちゃった系ではあったんですが、ただそれは僕が鋭いということではなく、単純に「一番なさそうな線で驚かせようとしたらこうなる」っていうよくあるびっくり人選狙いとしてのわかりやすさがアダになっちゃった感じで。途中までは期待していただけに結構ガッカリ。

もちろん振り返れば伏線がゼロではないとも思いますが、ただおそらくは観ている人が気付いちゃって面白くなくなるのを防ぎたい意図が強く出ている印象で、ヒントがかなり薄く控え目なだけに「いきなりそう言われましても…」的なエンディングを迎えるガッカリ感。もう少し上手くやってほしかったな…。

ということで特に他に語ることもなく、じっくりアラ探ししてやろう的に身構えて観るほど作り込まれているわけでもないことからも2時間ドラマっぽい映画かなと言う気がします。決して観て損した系というほどひどい作りでは無いと思いますが、最後に余計な一言を言っちゃったがために振られちゃった男のような映画かなと。

振られるチャンスすら無い男が言ってやったぜ。

ネタバレの法廷

真犯人が主人公でしたっていうのはまさに「犯人はヤス」以来の衝撃…!

なわけあるかー!

一番なさそうな線でどんでん返しを狙います、っていう作りはやっぱり基本的には悪手じゃないかなと思います。そこへの導き方が上手ければ全然いいんですけどね。サッパリでしたからね。最初の回想シーンで後からスーツ着てやってきたラムゼイはなんやったんや。

結局途中で助手が感づいたように奥さんが真犯人で、それをコネコネした方が面白くなったんじゃないかなーと思うんですよ。まあ奥さんも犯人ではあるんですが、でもそこでフリの効いてない主人公でビックリー! って言うほど素直やないんやで。こっちは。

結末を知った上で振り返ると、一番疑問なのはマイクの動きでしょう。おそらくは逮捕後に時計があったことを思い出して真相に気づいた…んでしょうが、だったら裁判中の動きもちょっとは変わったんじゃないのという気もして。まあ彼はお母さんを守りたかったということを考えれば、彼女が不利になりかねないラムゼイ主犯説は訴えにくかったのかもしれませんが…でもなんか釈然としない。裁判中にラムゼイとぶつかってぐちゃぐちゃにしてやればよかったのに。(無責任発言)

あとは真犯人的に悪人イメージのないキアヌはベストキャストだったとは思いますね。これで主人公を演じるのがケヴィン・スペイシーだったらもうね。おなじみですよ。

このシーンがイイ!

終わってからわかることですが、おそらくこの映画を観る上で最も重要なヒントを語っていたであろう、助手のジャネルとラムゼイが最初に話すシーンでしょうか。これから観る人は気をつけて観ましょう。

ココが○

シンプルに事件と法廷に絞ったストーリーはわかりやすくて集中しやすく、良かったと思います。

ココが×

やっぱりラストは「実はこうでした!」っていうこの手の映画の一番重要な部分なので、そこにいかに説得力を持たせるかということにもっと腐心して欲しかったと思います。バラエティにありがちな「最後の問題に正解した人は1万ポイントでーす」的なおざなり感を感じる。

MVA

キャスティングとしては皆さん良かったと思うんですが、かと言って他の人を食うほど良いなと思う人もおらず…消去法的にこの人にしたいと思います。

ジェームズ・ベルーシ(ブーン・ラシター役)

被害者の傲慢弁護士。そう、ベルーシさんですよ。ジョン・ベルーシの弟さんです。当たり前ですがもう立派なおっさんになってしまわれて…。

彼の傍若無人さ、愛せないキャラが裁判において重要だったことは間違いなく、言ってみれば「ウォッチメン」におけるコメディアンのように、冒頭で死んでいるのにキーマンでもあるという美味しい役どころ。良かったんじゃないでしょうか。

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