映画レビュー0956 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』

いやぁもう本当にね、嫌になりますよ。マジで。

冗談抜きでまだついこの前正月終わったような気分だったのがもう年末ですよ奥さん。

ってことでね、ブログも年末進行ですよ。溜まったレビューを吐き出しタイムですよ。今年も残り数日ですが、ちょこちょこ折を見て更新していきます。ただ今年はそんなに溜まってないのでそんなに更新しないです多分。

ということで今回はこの映画。

ついにこれも配信終了、ってことで観たよ観たよ観たよ。

しかしなぜか(?)WikipediaでもIMDbでも製作国に日本が入ってるんですよね…CGとかで関わったのかなぁ。なんか信憑性が怪しいのでここでは外してます。

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!

The World’s End

イギリス映画好きにはたまらない贅沢5人衆の時点で大満足。

8.0
かつてやり残した“ゴールデン・マイル”を再び! と集まった5人の地元がなんかおかしい…
  • おなじみのメンバーによるSFアクションコメディ
  • 良い年こいた大人たちによる懐古話かと思いきや「ショーン・オブ・ザ・デッド」にかなり似た印象
  • 声だけ出演のアノ人も贅沢チョイスで笑う

あらすじ

おなじみエドガー・ライト×サイモン・ペグ×ニック・フロストが送る“スリー・フレーバー・コルネット3部作”の3作目でございます。

タイトルの「ワールズ・エンド」はもちろん世界の終わり(世界の危機)にかかりつつ、登場人物たちが目指す“最後のパブ”の名前にもなっています。ちなみに撮影には使われていないものの同名のパブもロンドンにあるそうで。かっこいい名前のパブだな!

主人公はおなじみサイモン・ペグ演じるゲイリー・キング。名は体を表す的に「キング」と呼ばれ、学生時代は5人組のリーダーとしてブイブイ言わせてましたよと。

彼はその5人組が高校を卒業する日に“地元のパブを一晩で12軒はしごする”「ゴールデン・マイル」にチャレンジしたんですが9軒で終了、しかし最高の思い出として心に残っているわけです。あの輝かしい青春の日々的な。日々っていうか一日だけど。

時は経って現在、彼は悲しいかな無職のアル中になってしまい、例の映画やドラマでよく見る「アル中患者が集まって自らの経験を語る」断酒会に参加してその時の経験を語るわけです。で、ハタと思いつくわけですよ。「もう一度アレをやって、今度こそ12軒制覇してやる」と。

他の4人はそれぞれ普通に職につき、結婚してたりパートナーがいたりで充実した日々を送っているんですが、そこに「あの頃のまんま」のややイタいゲイリーが押しかけてきて「やるぞ!」ってことで召集をかけ、一行はかつて暮らしていた地元へ帰還。

最初の何軒かは普通にはしごしてお酒飲んで各々の境遇だったり過去の思い出だったりを語って「いかにも男友達らしい集まり」を微笑ましく観ていたところ突然現れる驚異…! こんな話だったんかい…! と驚く展開以降はぜひご覧くださいましね。

ゾンビじゃないのでグロくない

っつーことでね、スリー・フレーバー・コルネット3部作(他に「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」)最後の一作なわけですが、今回も舞台は田舎町、そしてパブと。っていうかパブ好きすぎだろイギリス人。

まあタイトルからして酔っ払いの話なのでそりゃあパブも行くよねって話なんですが、それにしてもビール好きだな相変わらず。日本でこの「ゴールデン・マイル」をやるんだったら絶対赤羽だよねと思うわけですがそれはさておきですね。

今回はかつての親友同士5人が集まり、リーダー格のゲイリーによって半ば強制的に「やり残したゴールデン・マイル」を再度チャレンジするという企画なわけですが、その途中で地元に起きた異変を知ることとなり、やがて地球存亡をかけた戦いに身を投じることになる…というなんとも壮大なお話なんですがやはりこのメンバーなのでどこかゆるい。敵もイマイチ強そうで強くないというなかなかいい塩梅のお話です。

今回何が良い、って「ショーン・オブ・ザ・デッド」と割と似た内容なだけに同じゾンビでやるわけにもいかないぞ、ってことでちょっと違った形の団体を相手にすることになるんですが、その表現的にグロさがだいぶ軽減されてるのが良いですね。これ完全に僕個人の好みの問題だろうと思うんですけどね。

でもやっぱりなんか(ゾンビ含め)生身の人間相手に戦うのはあんまり好きじゃないだけに、この映画の路線はなかなか面白いし良い変化球にしてきたなと思います。(予告編を観ればわかる話ですが詳細は一応書かないでおきます)

タイトルがタイトルなので、酔拳のようにベロンベロンになりつつ地球を守ってやるぜ的な印象を受けたり受けなかったりって噂ですが、実際はさして酔っ払ってる風でもなく、酒は飲むけど普通に戦うみたいなあんまり酔っ払い設定が活きている印象もないのが少々残念。っていうか酒飲みつつあんなに動いたら絶対気持ち悪くなって吐くべや…。全員普通の中年男性のようで実はすごい手練れなんじゃないかという噂。

イギリス映画好きなら見逃せないメンバー

で、その肝心の5人組がイギリス映画好きにはたまらないチョイスでですね。

いつものサイモン・ペグ&ニック・フロストに加え、過去2作ではちらっと出てきた“贅沢カメオ出演”からメインキャストに出世(?)したマーティン・フリーマン、いろいろ他でもなんか見かけることが多いパディ・コンシダイン、そして一番地味ながら(個人的に)素晴らしいチョイスのエディ・マーサンという面々ですよ。

それぞれにそれぞれ思い入れが深い映画があるぐらいに全員好きなメンバーだったので、もうこの時点で最高じゃんという。成功が約束されてますやんと。エセ関西弁も出ちゃうぐらいにはテンションが上がるメンバー。

で、マーティン・フリーマン演じるオリヴァーの妹としてですね、言わばヒロイン的に出てくるのがあのロザムンド・パイクですよ。あの。もー彼女出てくると「ゴーン・ガール」が浮かんじゃって震えますけども。普通のガールでした今回。イギリス人だったんですね、彼女。

そんな面々が(結果的に)地球の危機に立ち向かうお話なんですが、エドガー・ライトの映画らしくテンポは良いし劇伴の絡ませ方もそれっぽいしでやっぱりどこか独特な魅力を感じる映画に仕上がっておりますよ。

メインの演者が一緒、っていうのもあるんでしょうが、やっぱりこの“スリー・フレーバー・コルネット3部作”、どれも他のシリーズとはちょっと違ったテンポ感があって面白いですね。好きな人はとことん好きになるような、ホヤのような味わいがあるような気がしますがホヤ食ったことなかったわ。そもそも。

どれでも良いから1つ観てみてチョーダイ

いつにも増して非常に内容の薄いレビューですが、他に特に言うこともなく…。まあこういう話はね、考察して人間の感情にどーたらこーたらって話でもないですからね。なんなら一緒に酒飲みながら観るとより楽しいんじゃないの、っていう。

やっぱり僕はサスペンス好きなので、3部作の中では一番変わった作風だった「ホット・ファズ」が一番好きかなーと思うんですが、その次に今作が好きですね。「ショーン・オブ・ザ・デッド」と比べればグロくないし、バカバカしさもより強いしで。「ショーン・オブ・ザ・デッド」は最終的にちょっといい話にしようとしてる感じが少し合わなかったかなと。

とは言え3つ全部観てみると確実に「このシリーズにしか無い作風(≒エドガー・ライトの作風?)」みたいなものが感じられるので、どれでも良いから1つ観てみて良かったら他も観てみるのをオススメします。全部単体で完結した話なので順番はどうでもいいです。

イギリス映画好きとしてはそれぞれ(ちょい役でも)いろんな人が出てくるだけで楽しいし、その上気楽に観られるしで良いシリーズだと思いますね。強いて言えばおヒュー出してくれよってぐらいでね。まあしょうがないですね。

ネタバレ・エンド

あんまり深く考察するような話じゃないんでしょうが、少し気になったのはオリヴァー(マーティン・フリーマン)がどこでロボ化したのかな、っていう点。

ピーター(エディ・マーサン)は明らかに囲まれてやられるシーンがあったのでいいとしても、オリヴァーはいきなり差し替わってたので何があったんやと。それっぽいシーン、見逃してたのかなぁ。

「輝いていた若い頃に戻れるぞ」っていう“ネットワーク”の提案を蹴った割に最終的に“あの頃”のように(若い)仲間を従えて生きる道を選んだゲイリー、ちょっとどっちつかずじゃないかなという気もしたんですが、まあ今の4人を引き連れるわけにもいかないし、若かりし頃の姿をした4人にあの頃の4人をダブらせて「俺が面倒見てやらないと」みたいな感じになったんですかね。ただ物語の閉じ方としては良かったんじゃないかなと思います。

このシーンがイイ!

終盤、ビール飲もうとするんだけど邪魔されてなかなか飲めないゲイリーのシーンがテンポよくてなんか良かったですね。小気味いい感じで。

ココが○

前半の「かつての仲間たちが集まってお酒を飲む」感じからして好き。学生時代の仲間が集まって変わっちゃった現状との違いが見える話ってなんか好きなんですよね。自分の年代とすごく近いっていうのもあるんだろうけど。

あとは相変わらずのテンポの良さだったりその他諸々がいつも通り良いです。

あとあえて名前は書きませんが、ある人が声だけの出演をしてまして、僕は知らなかったのでまったく気付かなかったんですが…その辺注目して観るとよりイギリス映画感が増して良いんじゃないかなと。贅沢な使い方だなオイ!

ココが×

邦題のせいで「酔っ払い」に比重を置きすぎなのかもしれませんが、もうちょっと酒がキーになるような話でも良かったような気がしないでもない。ビールで倒すぜ的なバカバカしさが観たかったなーと。まあイチャモンレベルですこれは。

MVA

そんなわけでみんな好きな人たちなので悩ましいんですが…結局この人にするかなー。

サイモン・ペグ(ゲイリー・キング役)

主人公。

今回はかなりイタい感じの「高校生のまま大人になった」役柄で、いつもの感じとはまた違った芸風を披露してくれた気がしますね。今の歳になってもこのノリの友達いたら絶対迷惑だよな、っていう。

相棒のニック・フロストは逆にちょっと大人っぽい感じの役柄でこれまた良かったです。まあみんな良いわ。そりゃ。このメンツなら。

映画レビュー0956 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』” に対して2件のコメントがあります。

  1. momoji より:

    観終わって、ぜってーこの作品しゅういちさんの好みだろうな~と思って来てみたら、、、案の定もう観られてましたね!
    同じく酔っぱらいならではの展開があるのかと思いきや。
    でもイギリスらしくて、いい映画でした。
    何て言うんだろう、雑草魂?
    老猫の飼い主より。

    1. しゅういち より:

      お返事遅れちゃってすみません、ご無沙汰してます!
      この映画はちょっと最初にハードル上がりすぎちゃった気はしたんですが、
      それでもやっぱり出てる人たちが良かったので好きでしたねw
      たまにはこういうバカっぽいのもいいですよね!

      言うまでもないですが…猫ちゃん、大事にしてあげてくださいね。

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