映画レビュー0553 『ゼロの未来』

実は今年一発目に観たのはこちらの映画でした。去年劇場に行って観たかったんですが、タイミングが合わなかったことに加え「なんか外しそう」だったからやめたわけですが、はてさて…。

これから4本、レンタルが続きます。

ゼロの未来

The Zero Theorem
監督
脚本
パット・ラッシン
音楽
公開
2014年5月14日 イギリス
上映時間
106分
製作国
イギリス・ルーマニア

ゼロの未来

“我々”は、一本の電話を待っていた。人生の真理を教えてくれるはずの電話を。そのためには、家で仕事をしたい。“我々”は、うんざりする通勤を経て、会社へ直談判に向かった。

いくらなんでもシュールすぎ。

4.5

テリー・ギリアムと言えば、独特の世界観でクセのある映画を撮る監督の一人ですが、まあ僕も合う映画合わない映画ありました。

ただこの映画の前に撮った「Dr.パルナサスの鏡」は、シュールな中にもストーリーはあったし、神話のような童話のようなストーリーとギリアムの世界観がすごくマッチしていて、「ああ、これはこの人にしか作れない映画だわ」と感動したので、今回もよりすごい映像で大変な映画を観せてくれるんじゃ…! と期待しましたが、ちょっとシュール過ぎてウーン、という感じ。

主人公は中年から老年に差し掛かったぐらいの労働者。一人称は「我々」。彼はただひたすら「一本の電話」を待ち続けていて、いつ電話がかかってきてもいいように、会社ではなく自宅勤務を希望します。そこで会社から下った指令が、「自宅でいいからゼロの定理を解明せよ」というお仕事。かなりの難航が予想される仕事を自宅でひたすら進める彼は、果たしてゼロの定理を解明できるのか…というお話です。

…というお話です、が。

はっきり言って、上に書いたような思わせぶりな要素、「我々」だったり「一本の電話」だったり「ゼロの定理」だったりは、ある意味でいわゆる“マクガフィン”、結局のところ観客の興味を引くための小道具の一つに過ぎず、何やら意味深に見えて実は中身は空っぽというなんとも残念な内容。

もちろん、僕の能力の低さ故に気付かなかった奥深い何かがあったのかもしれませんが、ただなんとなく…この映画は「それっぽい要素を散りばめて勘違いさせる」ことに重点を置いた映画だと思いますね。「わからなかった」って言うとしたり顔で「ほんとダメだねー、これはこうでこうでこうで…」と監督・脚本家も意図していない謎の深みをツラツラ勝手に紡いでくれる観客が一番いいお客さん、という。目があっただけで「あの子俺に惚れてる!!」と思えるような人がターゲットというか。妄想力たくましい人が勝手に良い話を作り上げてくれるのを期待した、実は中身の薄いストーリーに見えました。

ただ、これを見て「テリー・ギリアムはやっぱなんかなー」っていうのもちょっと気が引けるのが、脚本は別の人なんですよね。監督と脚本家がどこまで共同作業で作ったのかによるとは思いますが、仮に上がった脚本を監督しただけ、だとしたら、ちょっとテリー・ギリアムも気の毒かなという気がします。

確かにこの手のシュールなストーリーに向いている監督だとは思いますが、さすがにいくらなんでも中身がなさすぎるし、一応監督はそれなりに優れたテクニックを持っちゃってるだけに、それなりの衣をまとえてしまうのが不幸だったのかな、と。逆にこの人でなければこれだけの世界観は作れないだろうし、そうするともうどうどこを切り取ってもただの芸術気取りな監督オナニー映画にしかならなかったと思うんですよね。うまいからこそ期待も膨らむし、そのせいで余計に「あー、やっぱりこういう映画だったのね…」という残念感が増幅されちゃうという…。

一応評価点上はかなり低いんですが、ただ終始クソつまらなかったのかと言うとまったくそういうことはなくて、さすがテリー・ギリアムだな、と感じさせる奇妙な世界観はものすごくよかったんですよ。

主な舞台となる主人公の住む教会からして素晴らしいセットだし、出勤風景はどこか「昼間のブレードランナー」的な味もあったり。明らかにゲームをやっているだけにしか観えない仕事風景も、進捗がまったくわからない謎の試験管交換も、全部ギリアム映画らしい“たまらなさ”があったし、本当に独特な、この人にしか描けない世界はとても面白いものがありました。

ただ、その核となるストーリーがまったく陳腐なので、だったらもうこの映画の設定資料集とか読んでた方がマシじゃん、みたいな。

惜しいよなぁ、本当に惜しい。

終わり方を少し現実味あるものにするだけでも全然評価が違ったと思うんですよね。「深いでしょ、こういう話だよ」って下心ありきで見せようとしているところがわかっちゃう時点でダメです。この手の話は。

看板に弱い人、「すごい世界だな、わかるわかる、そういう話だよね」と流されちゃう人を除けば、大抵の人間は「は? 逃げないでもっとちゃんとやれよ」って思うと思うんだけどなぁ…。ラストに向けてそれなりに盛り上がりがあっただけに、結局そっちに逃げるのか、という残念さも強く、薄い話っぽいなと思ったら案の定薄かった、というとても困ったストーリーでした。

そんなわけで、大体の人にはあまりオススメしません。この人の世界観を観たいなら他に良い映画がもっとあると思うし、ちょっとどうにもストーリーがオススメできません。

多分アレだな、全編シュールならまだよかったんだけど、ラストに向けてやや人間味を見せてきたところにこの終わり方、だから気に入らないのかもな…。中身があるように、中身が詰まってるように進めて空っぽ、っていうこの虚無感が許せないんでしょう。

とても残念。ギリアムマニア以外はスルーで問題ないと思います。

このシーンがイイ!

とあるシーンで主人公のコーエンが鼻水を出す時があるんですが、そこはすごいな、さすがクリストフ・ヴァルツだな、と感動しました。ああいう演技ができるのは本当にすごい。

ココが○

とにかく美術面は素晴らしいです。本当にこの人の映画でなければ観られないものだらけ。この人が美術監督をしたティム・バートンのファンタジー、とか全然違って面白そう。

ココが×

ストーリー。タイトルがタイトルなだけに、その終わり方はどうなのよ、と。

MVA

そんなわけで気難しそうなクリストフ・ヴァルツはとても良かったんですが、今回は初めて観たコチラの方に。

メラニー・ティエリー(ベインズリー役)

デジタルコールガールのお姉さん。

そんなかわいいわけではないけど、雰囲気がエロすぎて最高。この雰囲気も含めてのギリアムワールドなんでしょう。あと一瞬写ったおっぱいがとても綺麗だったことも見逃せません。

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