映画レビュー1559 『13人の命』
アマプラグッバイ計画の一環です。
実話系。
13人の命
ドン・マクファーソン
ウィリアム・ニコルソン
ヴィゴ・モーテンセン
コリン・ファレル
ジョエル・エドガートン
ポール・グリーソン
トム・ベイトマン
ノファンド・ブーニャイ
サハジャック・ブーンタナキット
ヴィタヤ・パンスリンガム
ティーラドン・スパパンピンヨー
2022年7月29日 アメリカ
149分
イギリス・カナダ・アメリカ
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

不満もあれど、事実が強すぎるので良作。
- 2018年にタイで実際に起きた事故の顛末を映画化した作品
- 救出にあたったダイバーチームを中心に、膨大な数のボランティアの奮闘を描く
- 洋画ではあるもののほぼ全編タイが舞台、タイの俳優さんもいっぱい出てくる
- 映画としてはオーソドックスで良くも悪くも卒がない作り
あらすじ
記憶に新しい事件の映画化として大きな不満もない良い映画でしたが、個人的なロン・ハワードの印象もあってなんとなく「もうちょっとやれたのでは?」という気がしないでもないという一本でした。
2018年のある日、練習を終えて「洞窟行こうぜ!」と観光地の洞窟へ繰り出した少年サッカーチーム一行。
しかしその後急に豪雨が何日も続いたせいで洞窟はほぼ水没してしまい、中に入った少年たちは取り残され、連絡も取れずに安否も不明な状態に。
救出のためタイ国内はもちろん、海外からもボランティアが駆けつける事態になりましたが、その中には洞窟ダイビングの専門家であるジョン(コリン・ファレル)と彼に依頼され同じくタイにやってきたリチャード(ヴィゴ・モーテンセン)の姿がありました。
メンツもあってかタイの海軍も洞窟の中を進みますが少年たちを見つけることは叶わず、ジョンたちの専門家チームも洞窟の狭さと水流に調査は難航、安否不明のまま数日が過ぎます。
何せ片道8時間程度かかるような長大な洞窟に捜索は困難を極めますが、ついに少年たちを見つけたジョンとリチャード。しかし無事に運び出す手立てがありません。
彼らはいかにして少年たちを救い出そうとするのでしょうか。
卒がない良い映画
この事故は2018年、今から8年前の話なのでさすがに覚えていましたが、とは言えニュースで数分観るのと映画で細部を観るのとでは当然大違い、ここまで困難な救出作業だったとはつゆ知らず、まあいろんな意味で圧倒されましたね。すごい出来事だったんだなと。
当時も「これ映画化しそうだなぁ」とのほほんと言っていましたが、そののほほん具合からは計り知れないぐらいに相当絶望的な状況で、それ故に映画化する意味もある事件だったことは間違いありません。
ちなみにこの映画含め現時点で映画は3本作られているようです。それだけ大変なことだったんだなと。
どうでしょう民であれば、同じタイの「タマンヌガラ国立公園のデブでヒゲだとダメな洞窟がほぼ水没した状態で救出作業を行った」と言えばその作業がいかに困難なものだったかがわかるでしょう。しかも全長はあんなものじゃない、片道8時間ですからね。
酸素ボンベを背負い、濁流の中ギリギリ通れるかどうかみたいなところも通りつつの救出作戦なので、そりゃあどうやって助け出せばええんやとエセ関西弁も飛び出す始末。
その中心となったイギリス人ダイバーたちを主人公に据えて描いた映画…だからなのかはわかりませんが英語の映画になっています。ただ当然タイの人たちはタイ語で喋ります。
これは余談になりますが、最初アマプラの音声は「タイ語(オリジナル)」で観ていました。わざわざオリジナルとあるのでこれがデフォルトなんだろうなと。
ところが少し進んでから出てくるコリン・ファレルもタイ語を喋ってやがったんですよ。は?
結局「英語」を選択したら普通にコリン・ファレルもヴィゴ・モーテンセンも本人が喋ってるし、タイ人の俳優さんもタイ語で喋ってるしでこっちがオリジナルじゃねーか! と軽く暴れた次第です。
日に日にアマプラへの不信が高まっているのでこういった出来事があると怒りが増幅されて大変よろしくないですね。
映画としては実話系ということもあって特に解説(なんてしたことないけど)が必要なこともなく、普通に観てすごいとか感動したとかそういう形に収束していく映画と言って間違いないでしょう。評判も上々です。
作りとしても至って無難で、煽りすぎたり感動に寄せすぎたりと言うこともなく卒がない映画でした。
ただ監督のロン・ハワードは例の「ダ・ヴィンチ・コード」以来(我ながら忘れてやれよと思いますが)不信感が強いのでちょっと穿った見方をしてしまいがちな側面があり、なんとなくですが「このシーンいらなくない?」とか「トラブルわかりづらくない?」とかちょこちょこ不満があったのも確か。
でもきっとロン・ハワード不信のない人が観れば気にならないレベルだと思います。僕が異常です。おそらく。
ただやっぱりなんかどこかでやっつけ感というか、「この辺でまとめときゃええやろ」みたいな雰囲気が感じられたんですよね。
雑、というのとはちょっと違います。
もう一歩踏み込んでより大きな感動を呼ぼうとするほど努力をしていない感じが見えるというか。
「大体この程度で十分だろ」みたいなリミッターを設定している感じが伺えたんですよね。穿った見方だとは思うんですが。
言ってみればこの手の「実話系感動ドラマのフォーマットに則って作る以上のことをしなかった」というか。
事実が強すぎるのでそれでも十分良い映画になっているんですが、ただ事実が強すぎる分もう少し頑張って細部にこだわればより強い感動なり緊張感なりを作り出せたんじゃないか…という気がしたんですよね。
まあ作り手でもない客の無責任な見方ではあるので全然的外れかもしれませんが。
なので良い映画ではありつつちょっと惜しさを感じるような部分がありました。
もしかしたら“ハリウッド飽き”から来るこなれ感がそうさせているのかもしれません。大体の作りが見えてしまうというか。
なので他の2本も観てみたいところですね。特にタイで作られたものを。
多分誰が観ても良い映画
ただ米(英)・タイ合同映画として観るとその価値もなかなか高いと思うし、きちんとタイ人役者の方々もいっぱい出てきた辺りはすごく良かったと思います。それでも制作国にタイが入っていないのはなんでなのか良くわからないですが…。(そもそも制作国の仕組み自体よくわかってない)
いずれにしても普通に誰が観ても面白い映画だと思うので、一度観てみるといいかもしれません。
あんまり「これはないな」と批判する人がいなさそうな、至って優秀な映画だと思います。
このシーンがイイ!
ラスト近く、ダイバーチームが自然と笑ったところはすごくグッと来ました。いろいろ心情が伺えるシーンでしたね。
ココが○
コーチがまさかのティーラドン・スパパンピンヨーでオープニングからグッと掴まれましたね。「コーチ、ティーラドン・スパパンピンヨーじゃん!」って。声に出して言いたい名前、ティーラドン・スパパンピンヨー。
ココが×
上につらつら書きましたがそれも自分の偏見の可能性があるので、それを除けば特段何かがまずいとかはおそらくないでしょう。
事実としてどうだったのかがわかればまた違うかもしれませんが。実はダイバーチームにアジア人がいた…とかなら話は変わってきますが、さすがに最近の映画でそんなヘマはしないと思います。
MVA
皆さん良かったですがこの人に。
コリン・ファレル(ジョン・ヴォランセン役)
ダイバーチームの一員。主人公の一人。
コリン・ファレルは本当に作品によってだいぶ印象が違う役が多くて面白い役者さんだなと思います。今作はだいぶ落ち着いたいい人っぽくて。
あとジョエル・エドガートンも良かったですね。


